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あり得ない日常#15

 とりあえず井上さんにだけでも連絡はしておこう
携帯端末ケイタイを枕元から手繰り寄せる。

 一応あの帰宅後、雨に濡れたことで体調危なめな予感がしますと正直な直感を伝えてはおいた。

 まさか、本当にそのとおりになるとは思わなかったけども。

 この時期には大体体調崩れる傾向があるので、去年なんともなかった分を回収しているんだろうという心持でいることにする。

「え?大丈夫?そっち行こか?」

 と即レスされる。さすが井上さんだ。

 大丈夫だと思います、いま汗をかいて起きて気が付いたところでした。着替えて、ストック用の固形食食べたとこです、と続ける。

「社長からヘルプ来てて終わったら寄ろうか?」

 まだこれから寝るのでお気遣いありがとうございます、汗かいて体温も落ち着いたし食欲もあるから回復するだけだと思います。薬もあるし。あと、どうせなら昨日来てもらいたかったかもしれません 笑

 とちょっと遊び心というか余裕を含ませておく。

「大丈夫そだね 笑 わかった。お大事にね。なんかあったら言うんだよ。」どうやら意図が伝わったようだ。

 あの時代のような勤怠に縛られない現代社会の良さだなあと、なんだかじわじわと有難さがこみあげてきた。

 井上さんもありがとう。
あなたのそういうところは好きだ。

おやすみなさい。

 そろそろ朝も7時になろうかというところだが、若干身体を冷やしてしまったこともあって、市販品ではあるが薬を飲んで寝る。

 葛根湯は優秀だ。

 そういえば、これまで数々のワクチンの接種を受けてきたが、そのたびに体調を崩すことが多々あった。風邪に似た症状もあれば、目まいで起きられないことだってあった。

 寒気がするときは葛根湯でなんとか乗り切った。ただ、ケースバイケースだとは思うので接種時の説明書をよく読んでおくべきだろう。

 さて、先ほどまで横になっていたベッドにまた入る。

 汗で濡れてしまった洗濯物は、洗濯機にセットして乾燥まで自動でやってくれるのでそのまま任せることにする。

 そういえば、何かの話の途中だった気がするが、今はゆっくり休ませてもらおう。

 カレンダーを見れば今日は木曜日。

 あの事務所のサーバーが忙しくなるのは、大体週末に多い傾向があるので、おそらくはゲームかマップ関係のアプリの処理が多いだろう。

 平日は行政かドローンの中継あたりか、いずれにしてもそれぞれ言語が違うようなものなので、処理中のデータの中身を覗いて見たところでわけがわからないものになっている。

 それは利用する側がどんな言語を使うのかによって変わるため、解けない事は無いだろうが至難の業だろう。

 かつての、第二次世界大戦時のエニグマ解読のようなテンプレートが見つかれば話は別かもしれない。

 もちろん、しっかり法に触れるのでやらないに越したことはないが。

 テキスト系のプラットフォームのサービスはそんなに負荷がかからないため、動画や生配信関係の処理が重ならなければ問題はないはず。

 そもそも、うちの会社だけが一手に引き受けているわけではないので、分散して上手く機能するはず、などと考えているうちに、徐々に意識が遠くなり、再び深い眠りにつくのだった。

この物語はフィクションであり、実際の人物や団体とは一切関係がありません。架空の創作物語です。

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