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あり得ない日常#41

 国民といっても、子供部屋おじさんもいる。

 平日の明るいうちから社会や周囲に不平不満をポエムにして、さも自分は真っ当な人間という顔をしている人物すらいる。

 私は吐き気がするくらいに身が受け付けないので、どなたか耐性がある人が構ってあげて欲しいものだ。

 自分がどう見えているのか一度冷静に考えたらどうかと思うが、すべてがもう無駄だろう。


 年金制度があった時代も、親の年金が振り込まれないと生活ができないために、死体を何年も放置した結果、死体遺棄罪と年金詐取で捕まった人間も少なくはない。

 現代の最低給付保障制度ベーシックインカムでも、その年金詐取問題を引き継ぐ形で度々騒動が起きている。

 そのため、年に1回は行政のポータルサイトで指紋認証による本人確認手続きを行わなければならなくなった。

 選挙などの投票でも指紋認証を行わなければならないので、発覚するタイミングを早くすることは出来たものの、根本的な解決にはなっていない。

 一部でもそうした人間が出てくると、余計な手続きやルールが増える。

 面倒臭くしているのは自分たちに他ならず、余計な制限を受けたくなければ余計なことをしなければいい。

 それがわからない人間が後を絶たないのは仕方がないのだろう。
全員が最低限、賢いわけではないからだ。

 そこから先は、警察か公安に任せるしかない。
多民族化も少しずつ進み、かつ個人の時間が増えた現代においては、それらの行政機能は予算と規模が拡大した数少ない組織といえる。


 さて予算といえば、給付金以外に所得がある人は、年に一回清算する必要がある。

 昔で言うところの確定申告だ。

 手続きは簡単。
自分の社会保障番号に過去一年間の取引履歴が紐づけられているから、その内容に間違いが無ければそのまま提出ボタンを押せばいい。

 すると納めるべき税金が請求されるので、そのまま決済に進むか、分割決済すれば完了だ。

 また、医療費用に関する補助申請も、同様に行政のポータルサイトから行う必要があるので、毎月の給付金を詐取し続ける事は現実的ではなく、出来にくくなっているといえるだろう。

 

 西暦2,100年に近い現代の国の人口が約6千万人で、国の年間予算は120兆円だといわれている。

 人口はかつてよりずいぶん少なくなったが、低地に住むことを禁止した事への対応や防衛予算も含まれている。

 最低給付保障制度で半分の60兆円が使われるため、残りの60兆円で運営するわけだ。

 税率は給付金を除いた所得に一律30%とされていて、2人に1人が年間1,300万円を稼ぐ計算になる。

 ただ10万円は毎月誰でも給付されるので、よほど高額な固定費でなければほとんどは余剰収入になるだろう。

 株などの有価証券で利ザヤを得ようが、働こうが税率は同じなので、それぞれのスタイルで所得を得るわけだ。


 法人税が課されていないため、海外資本が拠点を設けやすくなっており、勤務する日本の国籍を持たない住民も同じ税率で税金を納めている。

 海外で法人税を支払うか、永住権を狙う社員を日本に住まわせるか、日本人を雇うかの選択肢がある。


 この一律30%という税率にしたことで、簡単に税率をいじれなくなったところがポイントだ。

 国民側からは解りやすく、複雑な計算が必要なくなる。

 経費にできるかどうかは考える必要があるかもしれないが、それは自分の所得が減るか増えるかだけの問題なので、それぞれ頑張っていただきたいというシンプルなスタイルだ。

 国もそれをわかっている。
景気をより良くするか、できるだけ安く運営するか、両方か腕の見せ所だ。

 最低給付保障制度の分を除けば、国民一人当たり年間100万円で運営する必要がある。

 

 海外への電力輸出や、海底資源へのアクセスも検討されているが、やはり支払い能力が十分な国家への債券投資を積み上げてきたことによる利息が、今なお重要な収入源となっているかもしれない。

 翌年蒔く種を食べてはならない。
そう言われるのは納得せざるを得ないだろう。


 この物語はフィクションであり、実在する人物や団体とは一切関係がありません。架空の創作物語です。

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