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「母の姿はとてもきれいだったんだ。」 なぜ、ちゃんと最期を看取らせてくれなかったのか。 そう母の遺体の傍で、そして心の中で、何度も責めた。 そうしているうちに、きっと言わなかっただけで相当苦しかったんだろうなという思いが込み上げてきた。 痛みは本人にしかわからないから。 そう由美さんは、これまで溜め込んでいた大きなものを一つ一つ苦しみながら吐き出すように話す。 「安置所でさ、眠っているようだった。 一目見てわかったよ、やっと解放されたんだなって。」 由美
由美さんのお母さんは、肝臓がんだったという。 貧血のような、めまいのような、まあ寝ていればそのうちよくなると言い、一日横になっている日も少なくなかったが、ある日たまたま行った血液検査を皮切りに見つかった。 ただ、その時にはすでに遅かったらしい。 転移している可能性もあって、医師はさらに精密な検査を勧めたが、真実さんは痛み止めの薬を希望するだけでそれ以上は望まなかったという。 由美さんが二十歳を過ぎたあたりだった。 真実さんは50代の半ば、旦那さんのおじい