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秋津のなべちゃんのこと。

まえがき(2022年10月3日記) 
 この作品は、2020年3月に開催予定だった東京野球ブックフェアで文春野球学校のブースで販売予定だった在校生有志の作品集『野球とごはん』に寄稿したものです。
 皆さんもご存知のように新型コロナウイルスによりエンタメが壊滅状態に陥り、東京野球ブックフェアも延期を余儀なくされました。
 約2年半の時を経て、やっと今年の10月2日(日)に開催することができました。
 私は身辺の変化や健康上の理由や様々な事情で、2020年の年末に文春野球学校を卒業しました。
 パートで東京野球ブックフェアに行くことができず『野球とごはん』を入手していないため、卒業生の文章が掲載されているかどうかはわかりません。
 もし私のコラムが掲載されていたら、ご笑読ください。
 紙で書籍化されるので、オンラインにアップする時とは異なりレイアウトの関係上、字数制限というよりも行で制限がかかっていたので勝手が違って戸惑いました。
 でも、書いていて楽しかったです。
 ちなみに字数は800字以内でした。
 脱稿から約2年8ヵ月が経過しているので、コラムに出てくる立ち飲みスタジアム「なべちゃん」にも大きな変化がありました。
 旧店舗が老朽化で立ち退きを余儀なくされたため、昨年から同じ秋津の別の場所に移転しています。
 新型コロナウイルスの影響で(私は基礎疾患持ち)、3年近くなべちゃんから足が遠のいています。
 また、健康状態の悪化で昔のようなお酒の飲み方ができなくなりました。
 このコラムのアップをきっかけに、なべちゃんの新しい店舗にうかがう計画をわくわくしながら立てています。
 それでは、私の拙いコラムをお読みいただければ幸いです。
 

秋津のなべちゃんのこと。(2020年2月7日脱稿) 
 西武池袋線秋津駅もしくはJR武蔵野線新秋津駅から約200m離れた場所に、プロ野球好きが集まる立ち飲みスタジアム「なべちゃん」がある。
 
 私が初めて秋津のなべちゃんに足を踏み入れたのは、二〇一一年六月九日。主人と一緒に西武ドームで交流戦の埼玉西武対広島戦を観た帰り。
 この日、当時一番のごひいきだった広島の松山竜平選手がプロ初ホームランを打ち、上機嫌だった。
 ほぼ常連の主人を盾にするようにおそるおそる入店。主人におかみさんから、「おかえりなさい。」の声が。主人が大将とおかみさんに「妻です。」と紹介してくれた。松山選手のレプリカユニを着た私に皆さんがが次々と祝福の声をかけてくださった。
 西武ファンの常連さん達に、松山選手がドラフト指名された時に、牛を売って大学に行かせてくれたおじいちゃんにお礼を言いたいと会見で泣いていたという話をしたら、苦労をして頑張っている選手は敵味方なく応援したいと言われた。
 この一言で私は、「ここは私が居ていい場所だ。」と判断。
 
 それから九年。私達夫婦は二〇一七年二月に練馬から東村山に転居。なべちゃんに行く頻度が高くなった。おかみさんは私にも「おかえりなさい。」と言ってくださるように。テレビでプロ野球中継を観ながら皆さんと、「松本(西武・松本航投手)は顔が四角いな。」等のたわいない会話をしたり、ファインプレイに歓声をあげたりしながら日替わりの家庭料理とお酒を楽しむ時間が大好き。
 
 私にとって一番の「野球とごはん」のコラボだ。