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小久保柚香短歌集(2023年1月)

ひとこと
 
2023年は夫婦揃って新型コロナウイルス感染症発症で幕を開けました。
 療養期間終了後も心身の不調が続き外出がままならないので、短歌を(私としては)多く作ることができました。
 昔の思い出を題材にした短歌もでき、楽しかったです。

~小久保柚香短歌集~(2023年1月)

夜歩く私の耳にキリンジのエイリアンズと踏みきりの音

人間に猫の手触りあるのなら戦争なんか起こらないかも

両親と電話で話す我をさす蜜柑のような黄色い灯り

辛いこと抱え布団に潜る夜連れていってよタイムマシーン

迷ったり立ち上がったりせわしない私の心サーモスタット

喘息の発作で起きる夜明け前胸に響くはナンバーガール

雪の前窓打ちつける強い風ドラムロールを聞いているよう

風強しまるでお客を招くよに商店街ののぼりは回る

ばらの花眼鏡の君が口ずさむ吐く息白く私は返す

様々な異国の言葉飛び交って地球儀欲しい深夜のストア

マスク越し目から上しか見えぬまま精神科医と心の話

「寂しい」と気持ちを投げても捕手は居ず孤独の球はただ転々と

居酒屋であなたの恋の聞き役に私の気持ち一体どこに

生きている意味はあるよと言われてもわからないまま言葉を紡ぐ

【参考】

エイリアンズ/キリンジ


OMOIDE IN MY HEAD/NUMBER GIRL


ばらの花/くるり