命の宿った人形のアリスインワンダーランド
「……?なに?私が映ってる?」
目の前にある鏡に映る自分を見て困惑している人形がいた。
人形がいたというのはいささか普通ではないとは思う。
人形はいたというものではなく、あるというのが正しい表現だ。
それに困惑しているというのはおかしい話だ。
「私!?なんで動けているの!?それにしゃべれてもいる!?」
その人形は動けてもいるし、しゃべれてもいる。
それに人形自身も驚いている所もある。
人形自体は困惑している中でも、きらきらしたような目で世界を見ていた。
「すごい!すごーい!!」
喜んでいる人形は跳ねまわっていた。
カタカタと音を立てて、関節を動かしいた。
服もふわふわとしてかわいらしい。
人形には新しい世界がそこに広がっているのだ。
その新しい世界に触れることで新たな発見を人形を探しているのであった。
「これからどんな世界が広がっているんだろう!」
今まで誰かに連れられて見ていた世界とは別の世界。
自由にいきたい場所に行くことができること。
それを楽しみにしていた。
「まずはこのほこりっぽいお洋服をどうにかしないとね!
こんなんじゃお外を歩けないわ!」
周りを見渡し、ほこりが払えるものを探した。
「あった!あそこに小さいほうきがあるわ!
あれなら払うことができるわね!」
大きな羽があったのでそれを使ってほこりを払おうとした。
しかしそれは羽ではなく、羽ペンだった。
持とうとしたときに重さで体制を崩し、ペンに刺さっていたインクが漏れ出してしまった。
「ああああ!!なによこれええ!
服が真っ黒になっちゃったじゃない!
けど……この黒い服もいいかもしれないわね…
少し濡れて重たいわぁ……」
少し服を乾かすために、日の当たる所に移動した。
羽ペンをとろうとして体制を崩して、机から落ちてしまったときにほこりも一緒に払われたみたいで、ほこりは気にならなくなっていた。
日の当たる窓のに移動をし、外の景色をみた。
そこに広がっていたのは、彼女にとってのアリスインワンダーランドだった。
「これから私はこの世界を見て楽しむことができるのね!
楽しみだわ!!」
世界を見ることを楽しみにしている人形のお話。
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