Schrecken vom Himmel

空に軌跡が残る。
空の色は何色だろう。
彼女はそんなことすら考えていないだろう。
計器、レティクル、画面。
今の彼女にはそれ以外に見えているものはなく、聞こえているものもは
時折聞こえてくる作戦時間を伝える通信と目標までの距離の通信。

「空での作戦行動は久しぶりね」

複座席からふいに声が聞こえてくる。
古くからの相棒であるアムレートの声。
いつも聞いてる優しい声だった。

「そうね……集中していかないといけないわね」

作戦時間は刻々と迫ってきている。

「どうしたの?今日はやけに静かじゃない?緊張してる?」

アムレートの声が聞こえてきた。
そんなに静かにしているつもりはなかった。
集中していて会話が少なくなってしまっていたのかもしれない。

「別に緊張はしていないわ……大丈夫よ」

この時はまだ私は弱かった。
一人ではなにもできない。
それを自覚しないまま一人前だと錯覚していた。
だから相棒でに負担をかけていたところもあるだろう。

「さぁ作戦時間よ」

作戦本部からの通信が入り、本格的に戦闘態勢に入った。

「ソラリス1 エンゲージ エンゲージ」

敵と接敵をした通信を送る。
同時にアラートが鳴り響く。

「フォックス2‼フォックス2‼」

ミサイルのロックオン音が鳴り響く。
と同時にミサイルが自機から発射され、破壊目標に向かって飛んでいき
次の目標に向かっていく。

任務はあっけないほど簡単終わっていく。
すべての目標の破壊に成功した後に通信が入る。

「お疲れ様彩乃 今回もいい腕前だったわね」

複座席のアムレートだった。

「私一人の力ではないと思っているわ ありがとう」

そんな任務が終わり安堵しているときだった。
急にレーダーにUnknow機が現れ、急速に接近してきた。

それと同時にミサイルアラートがなった。

「フレア!!」

アムレートの声がヘッドフォン越しに耳に残るくらいの大きさで飛んできた。

私の反応が遅れ、回避もフレアも間に合わなかった。
ミサイルのアラートが鳴り響いて、時が止まったかのように感じた。

「ごめんなさ…い……」

それが私が彼女のに対し、発した言葉だった。

ミサイルの直撃を受けてしまい、私たちの機体は四散した。
間一髪で私のベイルアウトは間に合った。
間に合ったというのは嘘だ。
私は脱出装置に手をかけてなんていなかった。

アムレートが私の代わりにひいてくれていたのだろう。
ベイルアウトし、意識を取り戻した私の眼前にはアムレートの姿はなかった。

「なんでよ……」

私のミスが引きおこしたことで相棒を失った。
そのあと彼女は姿を消してしまった。

それからだった彼女が自分を語らなくなり、誰にも素性を明かさなくなったのは。
誰からも知られなければ、誰のことも知ることはない。

ただの利害関係が成立していればいい。
そのようなものが今の彼女を作っていた。


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