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熱狂的な顧客を生み出す「Golden Circle」とは

同じプロダクトを提供しているのに、売れる会社と売れない会社があるのはなぜか?
Appleが提供しているMacbookは、PCですよね。
でも、Macbookが初めて登場した年に、他のPCより爆発的に売れたのはなぜか?

その秘密は「Golden Circle」にあるかもしれません。

「Golden Circle」の概念を提唱しているSimon Sinek氏から学んだことをシェアします!

How great leaders inspire action | Simon Sinek
https://www.youtube.com/watch?v=qp0HIF3SfI4

Golden Circleとは?

人々の心を動かしてきた過去の偉人には共通点があります。
それは、彼らの考え方にあります。

ずばり、「Inside out」の考え方。

Golden Circleとは、自分の内側にある情熱が波及して周りに伝わり、黄金の輪(=絶大的支持)を得ること。お金や名声などの外発的動機ではなく、情熱や信念などの内発的動機からくるものを軸に考えて/伝えて/行動することが大切だよ、という考え方。

キレイゴトのように聞こえるかもしれませんが、自分たちが善人であろうとなかろうと、なんだかんだ人間はやっぱりキレイゴトが好きなんだと思います。

そしてそのキレイゴトのことを人は希望と呼ぶのかなあと...

さてさて、私のぼやきはここまでにするとして、Golden Circleの概念を体現しているApple、ライト兄弟、マーティン・ルーサー・キング牧師の例を通じて、Golden Circleについてもうちょっと深堀りしていきます!

Appleが体現する「Golden Circle」の威力

みなさん、Appleってなんの会社だと思いますか?

パソコンとスマートフォンを提供している会社というより、MacbookとiPhoneを提供している会社って答える方が多いのではないでしょうか?

それは一体なぜか。

答えはAppleの「伝え方」にあります。

もしAppleがこのような伝え方をしていたら、どう思うでしょうか?

We make great computers. They are beautifully designed, simple-to-use and user friendly. Wanna buy one?
我々は最高のパソコンを開発しました。美しい見た目とシンプルな操作でユーザーフレンドリーなパソコンです。買ってみませんか?

うーん... って感じですよね。うさん臭いというか...

一方で、Appleがこのような伝え方をしていたら?

Everything we do - we believe in challenging the status quo. We believe in thinking differently. The way we challenge the status quo is by making our product beautifully designed, simple-to-use and user friendly, which is happened to make great computers. Wanna buy one?
我々がやるすべてのことは、status quo(=現状)を変えるためにあると信じています。我々はthinking differently(=人とは違う考え方をすること)が大事だと信じています。現状を変えるための手段として、我々はプロダクトを美しく、シンプルに、ユーザーフレンドリーにします。そしてこの最高のパソコンが生まれました。買ってみませんか?

おおお!って感じですよね。キレイゴトに聞こえるかもしれないけど。
うさん臭いのは嫌だけど、キレイゴトは信じたいと願うのが人間かもしれない。
ご想像の通り、ずばりAppleが成功した理由は、後者の伝え方をしたから。

Simonさんいわく、

People DON'T buy what you do.
People buy WHY you do it.
(人々は、あなたがやっていることにお金を払っているのではない。
あなたが「なぜ」やっているかにお金を払うのだ。)

やっていること(=Appleの場合だと、パソコンを売っていること)だけを伝えるのではなく、なぜやっているのかを伝えた上でやっていることを伝える。
伝え方の構成をちょっと変えただけで、受け手側からの反応が大きく変わる。
人間って面白いですね。

いいプロダクトをつくることはもちろん大切ですが、いいプロダクトをつくるだけじゃ足りない。なぜプロダクトをつくるのかを伝える必要がある。そしてその「なぜ」は、こういう需要があるからこういうプロダクトが必要なんですっていうただの因果関係の方程式では意味がない。その「なぜ」には壮大な夢が詰まっているからこそ、人々は心を動かされる。

奥深いですね...

「Golden Circle」には脳科学的根拠がある

さてさて、「Golden Circle」には科学的根拠があるようです。
というのも、人間の脳は3つのパートから成り立っているとのこと。
1. Neocortex(new brain)...論理的思考担当
2. Limbic brain...感情担当
3. Reptilian brain(old brain)...意思決定担当

人々は論理的思考よりも感情で意思決定をするものだから、どんなに機能とかベネフィットとかファクトとかとかを伝えてプロダクトを売ろうとしても、

"I understand but... it doesn't feel right."
(いいのはわかるけど、うーん...なんか違うな)

と思われてしまうとのこと。

もちろん論理的根拠があるに越したことはないですが、それだけじゃ足りなくて、最終的には感情を動かせないと意思決定も促せないよってこと。

人って論理的なようで実はそこまで論理的じゃない生き物なんですね...

誰も知らないサミュエル vs 誰もが知ってるライト兄弟のお話

ここで反面教師的にサミュエル氏のお話をします。

サミュエル氏は、ライト兄弟と同じく飛行機研究の第一人者だったそう。
技術的にはライト兄弟にも勝るほどだったそうですが、結局サミュエル氏は失敗に終わり、ライト兄弟は成功を手にした。

そしてその違いは、「モチベーションがどこからくるか」の違い。

サミュエル氏は富と名声のために飛行機をつくろうとしていたけれど、ライト兄弟は世界を変えるために飛行機をつくろうとしていたー

「なぜ」飛行機をつくるのか、この違いが両者の命運を分けたそう。

前者はうまくいかなければ諦めたりピボットしたりするけれど、後者はうまくいくまで諦めなかったから。

マーティン・ルーサー・キング牧師は、プランではなく夢を語った

I have a dreamのスピーチで有名なキング牧師。

彼はスピーチの中で、
"I have a dream..."
"I have a dream..."
"I have a dream..."
と言い続けました。

ここでのポイントは、彼は"I have a plan"ではなく"I have a dream"と語ったこと。

素晴らしいリーダーは、「何をすべき」と「べき論」を押し付けるのではなく、自分が信じていることを語ることで、聞き手に「自分も●●を一緒にしたい」と感化できる人のこと。

最後に... イノベーターは、成功事例ではなく信念をもとに行動する

最近日本でも耳にするようになったLaw of diffusion of innovationー
これは、イノベーションがどのように普及していくのかを示した図。

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出典:Smart Insights

Early adopterは、他の誰かが先に試して確信をもてたら試すよって人たち。
対してInnovatorは、確信がなくても自分たちの信念とマッチしてれば試すよって人たち。

iPhoneが発売するとなったときに真っ先に店頭に並んだ人たちは、iPhoneがほしかったというより、革新的なiPhoneを誰よりも先にゲットすること(=firstになること)に重きを置いていた人たち、とのこと。

「iPhoneを買う」という行為は、「常に革新的な人でありたい」という信念の表れだったということ。

確かに「スターバックスを買う」という行為は、おいしいコーヒーを飲みたいというのもあるけれど、「おしゃれでクールな人でありたい」という信念の表れでもあるし、「ランボルギーニを買う」という行為は、ランボルギーニに乗りたいというより、「ステータスのあるかっこいい人でありたい」という信念の表れでもある。

熱狂的なファンがいるプロダクトに共通しているのは、いかに「なぜ買うのか」を人の心理にささる形で伝えられているか、という点にある。そしてそれは、お金儲けのために後付けされた「なぜ」ではなく、プロダクトを提供している会社自身のまっすぐな想いからにじみ出る「なぜ」であればあるほどよい。

顧客に寄り添うことも大切ですが、顧客をハッピーにしようとする前に、そもそも自分たちは何を信じていてどうありたいのかを考えて伝えることが大切ということを学んだ1日でした。

パートナー選びにおいても、相手に尽くそうとしてばかりで自分の考えとか価値観を持っていない人ってあまり魅力的じゃないですよね。
ビジネスにおいても同じで、自分たちが何を信じていてどうありたいのかを伝えることで、同じ信念をもった人とつながることができる。

「プロダクトを売る」という行為は、目的ではなく、自分たちの信念を実現するための手段にすぎない。だから、自分たちの信念(自分たちは何者でどういう世界を実現したいのか)が欠けている限りは、どんなにプロダクトを売ろうとしても人々の心は動かない。

奥深いですね。

PSYGIGの代表とエンジニアは全員海外出身なので、普段のディスカッションでも海外のスタートアップ哲学についての話題が挙がることがしばしばあります。多国籍スタートアップにいるという立場を活かして、これからも海外のスタートアップ哲学を逆輸入していきたいと思うので、よろしくお願いします!

写真の参照元
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