ヴァイオレット・エヴァーガーデン(アニメ版)を観た感想

もうね、ホントにただただ自分の心の中を全て吐き出すかのように書いていくんで、特に万人受けするようなやつではないと思います。それだけご了承ください。

まず、先日初めてヴァイオレット・エヴァーガーデンのアニメをNetflixで見まして、全話一気見したんですね。いやもうめっちゃ泣きました。毎話毎話号泣ですよ。頭痛くなりましたねその日は。

何が凄いって映像美も作画も勿論凄いんですけど、あの世界観がとても好きでした。特にヴァイオレットちゃんの心情の移り変わりだったりとか、「愛とはなんだ?」というテーマから、少しずつ周りの人に教えて貰う愛のカタチだったりとか。

そもそも「愛」って一言で表したらまず殆どの人が思いつくのが「男女間の愛」だと思うんですけど、一話目のギルベルト少佐が最後に残した「心から愛してる」も、一見「男女間の愛」に見えて、「いや…これは違う」って気付かせてくれるのがまず凄い。アニメの一話ってたった25分〜30分しかないんですけど、その短い時間でヴァイオレットちゃんとギルベルト少佐の関係性に細かくはないけど的確に触れていて、その二人の間にある愛というのはそんな上辺だけの愛じゃないと気付かせて貰えたのがもの凄くよかった。

そして感情の表現だったり汲み取りが出来ないヴァイオレットちゃんが「愛ってなんだろう?」と考え始める。そのヴァイオレットちゃんと一緒にわたしたち視聴者側もギルベルト少佐の言った「愛」とはなんなんだろう?と考えさせられる。ヴァイオレットちゃんの成長と一緒に成長出来るという…これはアニメではなく教育番組なのでは??と思いました。

各話で触れられる「愛」は勿論男女間の愛でもあるんですけど、親子間であったり兄弟間であったり、友人間であったり…愛って色んなカタチがあるんだって事に触れていて、自分の中で「愛」というものはとても壮大で美しいものだな、と思ったんですね。それで、このヴァイオレット・エヴァーガーデンという作品への印象を纏めてみると、

残酷だけど、美しい世界

という印象になりつつあったんですね。戦争で心に傷を追った人、大事な人を無くした人、そこは確かに残酷な世界なのにも関わらず、それに向き合って一生懸命生きるという美しい世界。

ヴァイオレットちゃんも自分の罪であったり心に向き合って懸命に愛を探す中でその片鱗に触れていくっていう…そして最終的には第一話で「愛してるが、分からない」と言っていたヴァイオレットちゃんが「今なら愛してるも、少しは分かるのです」と言ったシーン。超号泣しました。しんどかったー!!!

戦争で「兵器」と呼ばれ、道具である事に徹して感情を捨ててきたヴァイオレットちゃん。ホッチンズの"沢山の人の命を奪ってきた事実は境遇がどうあれ経緯や理由がどうあれ、さてきたことは消せないんだ"という言葉に酷く共感した。そうなんですよ、理由も経緯も境遇も、やってきた事は連続殺人犯と同じことなのだから。でも、だからこそ過去に向き合って贖罪をしていくヴァイオレットちゃんには本当に幸せになってもらいたいと思った。

さて、ここまで作品素晴らしかった!ヴァイオレットちゃん最高!と語ったのですが、1個だけ納得出来ない事がありまして……

あ、この先ネタバレ注意です。アニメ版しか知らないって方、映画版も原作の方もネタバレしてないって方今すぐUターンお願い致します。(急にぶっ込んでくるやん?)



まぁわたしも実際映画版を観た訳でも無いのでここで偉そうに語って炎上したりしたら困るんですけど、あくまでわたしが現状抱えてる疑問点なので!!わたしの心との戦いなので!!!(保険です)



え……ギルベルト少佐生きてるん??????

知ったのはアニメ版良かったし原作も読みたい!買おう!と思ってネットサーフィンしてた時なんですが、原作の話に触れている人の書いたブログか何か?で知ったんですけど、原作の最終話で

ギルベルト少佐とヴァイオレットが二人きりで会って想いを伝え合う

って書いてるのを見てしまったんですよ………もう頭の中はてなマークだらけですね。アニメの方では結構徹底してギルベルト少佐は亡くなったと思わせる描写ばかりだったので、最終話まで見た感じ「ギルベルト少佐=亡き人」だと思ってたんですよ。

え????生きてんの????え、ちょっと待って????ものすごくここで納得が行かなくなった。アニメ全話を見終えた感想というか全体的な捉え方なんだけど、そもそも兵器として人々の命を奪ってきたヴァイオレット。でもヴァイオレットも大事な人を失った。その罪に向き合いながら人々の心に触れる事で、自分の心とも向き合えた。自分も大事な人を無くしているからこそ共感出来た…のではないかとわたしは思ったのに。え?ギルベルト少佐生きてんの?(いやめっちゃ死なせたい人みたいだけどごめんなさい)ヴァイオレットは紡いで来た人達の大事な人をもしかしたら奪っているかも知れないのに、ヴァイオレット自身は大事な人を失ってなかった…?え、それって結局その他の人達の人生を無視してる事にならない?ヴァイオレットの独壇場じゃん。………と、思ってしまった。

いや!!待って!!確かにヴァイオレットには幸せになって貰いたかった!!貰いたかったんだけど!!それはあくまで「ギルベルト少佐っていう大事な人を失ってもなお生きようとするヴァイオレット」が前提にあったわけで!わたしが応援したかったのはギルベルト少佐も生きててハッピーエンド♡なヴァイオレットじゃなかったんだよ!!(めっちゃ性格悪い…まじでごめんなさい)

あとね、最後に想いを伝え合うっていうのもなんか……私が観てきた中で感じた「愛」はもっと崇高なものであって、「男女間の愛」とかいう一つのカタチに囚われない愛だったんですよ。だからこそ共感できて、かつ涙したんですね。だからこの一文を見た時に「あ…結局そこに行き着くんだ…」と少しガッカリしてしまったというか(ホントに屁理屈…まじごめんなさい)

ただの解釈違いなのは分かっては居るんですよ。しかもまだアニメ版しか見ていなくて原作も劇場版も観ていないのにも関わらず、そんな感想が言える立場ではないのは分かっているんです。

この事について結構考察好きな妹と議論したんですが、妹の意見は「ギルベルト少佐の言った"愛"とはなんだろう?と考えるヴァイオレットに答えを出せるのはギルベルト少佐一人しか居ない」というものでした。

そう、元々はこの作品のテーマは「愛ってなんだろう?」であって、そのテーマを突きつけたのはギルベルト少佐だから、それに是か非かを出せるのはギルベルト少佐しかいないのは分かってるんです。

でも…愛のカタチに答えって本当にいるのか?と。答えを与えて貰うのは本当に必要なものなのか?

愛ってなんですか?と聞かれて、的確に答えられる人間っていないと思ってるんですよね。人間に与えられたテーマであり、一生を掛けても見つからない、答えに辿り着かないものだと思っているので。でも確かに生活の中には愛がそこかしこに転がっているんですよ。それを見つける旅が人生だと思ってるんです。要するに、誰しもが「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」なんですよ。わたしもヴァイオレット・エヴァーガーデンの一人です。でもそこに答えをつけて欲しいと思っていなくて、愛とは自分で探して見つけるものだから不思議で面白くて美しいものだと思うから。

だからこそ、その最後に生きていたギルベルト少佐と再会して愛の答えを教えて貰うっていうのがなんか腑に落ちなかったというか。自分が屁理屈で意固地な人間なのは分かっているんですけど、なんか納得いかなかったんですよね。わたしの感じた愛に他者から正解不正解という評価をつけて欲しくなかったというか。

妹はこれに対して「あくまで商業だから、話の纏まりとして最終的にギルベルト少佐が生きていた事を作者は選択したんじゃないか」と。元々の「愛ってなんだろう?」というテーマに最終的に答えを出すことで、物語が完結。万人受けするような作品にするには、それが一番のルートだったんじゃないかと。まぁものすごくその意見は分かる。一理ある。てゆうかそれしかないんだと。

恐らくなんですが、ヴァイオレット・エヴァーガーデンに共感しすぎてしまった事で起きた弊害といいますか…要するに「これはわたしの求めていた物語の結末じゃない!!」と癇癪を起こしているだけですね……超厄介な消費者ですよ。ただのMONSTER…


とはいえ、やっぱりここまで考えさせられる作品は中々ない。凄い作品だっていうのは推していきたい。とにもかくにも、原作を読まないとなあと思わせられたので、やっぱり商業的には成功してるんだと思う。

本当に凄い作品だなぁ…ヴァイオレット・エヴァーガーデン。そしてそれを映像化してくれた京都アニメーションには感謝の気持ちでいっぱいです。ごめんねギルベルト少佐……わたしはあなたの事も大好きだよ……遠回しに死んでて欲しかったとか言っちゃってごめんね…

あとやっぱり、ヴァイオレットには幸せになって欲しい。中間部分で「やってしまった事は消えない」って言ったけど、やっぱり境遇がそうさせてしまったのが大部分だから。誰も悪くないんだよ。本当に悪いのは戦争だから。

最終的に何が言いたいかというと、ヴァイオレット・エヴァーガーデンは素晴らしい作品でしたって事です。観たことない皆さんは是非観てください。絶対後悔しない作品になってます。


それではここまでお付き合い頂きましてありがとうございました!