若排リアコ、終焉

最近髪を伸ばしている。


単純に美容院へ行くのが面倒というのもあるが、推しの現場に行くにはこの髪型、というのがこれまでなんとなくあった。ワンレンで、ベリーショート。金か銀、たまに青や黒だった。

私は群れるオタクが嫌いなので、必然的に彼女たちがこぞってしている、ミディアムやロングで茶髪、可愛いアレンジをほどこす髪型も苦手だった。偏見が凄いと自分でも思ってはいる。


だがそのアイデンティティは、今現在進行形で終焉を迎えようとしている。


この終焉は私のリアコの終焉にも似ている。


なぜならずっと彼女たちとは異なる(と思っている)髪型をしていたのは、推しに顔を覚えてもらいたかったという醜悪な浅慮から来ていたものだからだ。


なんて醜いんだろう。ドブを煮詰めて糞とゴミをどっさり足して数週間放置してもこんな醜さにはならない。


髪型を変えるタイミングなんてごまんとあるのに、推しの記憶に残って、あわよくば、なんて思っていた。気持ち悪い。好きという気持ちは、間違った方向にブレーキをかけず進んでいくと、こんなにもグロテスクになることが出来た。


今はその凄惨なヘドロをあっさり洗い流そうとしている。

なんともあっけないものだ。


未だに、その程度の気持ちだったんでしょ?と言われれば憤るほどには私は推しを1番愛していたし、1番憎んでいた。

だが、とある人気舞台に出た推しを有象無象が無遠慮に消費していくのを見て、

あまりに、あまりに虚しかった。


たった数日前に推しを知った人が推しを軽い気持ちで好きと言える、無知蒙昧さが羨ましかった。


軽い。

その好きは軽いんだよ。


でも、なんにも詰まっていない好きを掻き集めることで、彼は人気者になった。


私なんかがいなくても、代わりはいくらでもいるというのは重々承知していたつもりだったが、やはり「つもり」だったようだ。

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