ほら、偽物

男「俺は何でも出来る道化師!さぁさぁ!寄ってらっしゃい!」

女「そこの、誰の許可を取って営業してるんだい」

男「な、なぁに、さすらい者に許可を求めないでいただきたい!奥様もどうです?」

女「何でもと言ったね?ナイフ投げは?」

男「得意でさぁ!私は下にひれ伏しナイフがドンドン落ちてきても刺さりはしない!ホレホレ!」

女「玉乗り」

男「ホイホイ」

女「火の輪潜り」

男「じゃぁーんぷ!」

女「最後だ、この私のペット。ライオンのタマと遊んでご覧よ?」

男「っ、は?」

女「なんだい?調教師がいないと出来ないのかい?何でもできると言ったじゃないか!」

男「言ったが、こ、こいつはっ…ひ、ヒョウだ!ライオンじゃねぇ!じゃれ合ったらたまったもんじゃ…」

女「逃げるのかい?」

男「に、逃げ、逃げるとか、そういう話じゃ…」

女「あっはっはっは!道化師!笑いな!アンタは道化師だ!偽物!ほら、笑え!笑って!食べられんだよ!!」

男「ひっ、ひぎゃあああああっ!!!!」

女「タマ!」

男「あ、ぁあぁ……神様」

女「ふん!人の領地で商売するからだよ。いいかい、アンタらも覚えときな!この魔女が生きている限りタマが喰らいに行くからね!あっはっはっは!いい見世物だ!偽物道化師あっはっはっ!」

男「おらぁ、それ以来商売なんて辞めたんだよ。シャブ漬け。わりぃか?ハハッダメな奴さ。だがな、世の中じゃもっと怖い奴なんかゴロゴロいるんだよ。気ぃつけな、ガキンチョ」