第2話 素晴らしい耳の持ち主
「……ま…おき……さ……」
意識の向こう側で誰かの声がする。多分、自分を呼んでいる。自分を呼ぶ人。自分に声をかける人。
葵は微睡の中でゆっくりと思考する。そしてこの世で1番どうでもいい答えに辿り着く。
『茜《アカネ》が自分を起こそうとしている』葵は眉を寄せながら寝返りをうつ。もう一度深い眠りに潜り込もうと、聞こえる声から意識を外す。体を揺らされるが、丘の上の草のように逆らうことなくやり過ごす。そのうち諦める事を待ちながら。
パァァァンッッッ!!!と、何かが破裂した。これには