男は「愛してる」と言わない方が良いと感じている
「男性は女性よりも感情表現が苦手」というのは、多くの場面で正しいと感じることのできる都市伝説的な現象である.
もちろん男性に限定した話ではないし、全ての男性に当てはまる訳でもない.
しかしそんなことよりも優先して注目するべきことは、「苦手ではなく、苦手だと思われるような素振りをした方が良い結果に繋がると感じている」という点である.
この意味不明な文章の意味をこれから噛み砕いて説明していく.
我慢すれば愛される
当たり前の話だが、私たちの誰もが子供時代を経験しており、誰もが親の愛を求めていた.
それは「親に愛されたい」という、DNAにプログラムされた欲求である.
この欲求が満たされるとき、つまり親からの愛を最も得られていると実感するのは、「我慢したことを褒められたとき」である.
「がんばったね!すごいね!」と言われるたびに、もっと褒めてもらえるように、もっと我慢しようとする.
「我慢することで“親の愛”を獲得できる」といった、ある種の成功体験を積み重ねることによって、親からの愛だけでなく、“自分が求めるものを手に入れるためには我慢が必要だ”と無意識に考えるようになるのである.
「愛してる」と言わない理由
さて、幼少時代を通して「我慢すれば愛される」といった成功体験を積み重ねている人が多いことを説明した.
そして、成人してもなお、その成功体験が思考に大きく影響していることも、お分かり頂けたと思う.
ここまで読めば、タイトルの意味がわかる人も多いだろう.
つまり、「なぜ“愛してる”と言わない方が良いと感じているのか」ということである.
その理由はほとんどの場合、次のどちらかである.
①「単純に愛していないから」
②「愛しているし、相手にもっと愛されたいから」
ひとつ目に関して説明は不要だと思うのでカット.
②を簡単に説明すると、親の愛を得るために我慢する子供と同じように、「自分の感情を抑えて静かにしていた方が愛される(子供の場合は褒められる)」と無意識に思っている、ということである.
最後の謎:なぜ「感情表現が苦手=男」なのか
感情表現が得意な人、苦手な人の両者が存在する中で、その得意か不得意かという点は、本来なら性別とは無関係のはずである.
しかし世界中で「男の方が感情表現が苦手」と認識されているのは一体なぜなのか.
その理由は「抑圧的な教育方針と美徳観念」にある.
「男はメソメソするな」
「男は泣くな」
「女の腐ったような奴だ」
これら以外にも、「男性は感情的な表現を慎むべきだ」という、悪しき教育方針や美徳観念が世界中に存在している.
この内容に従って生活すると、誰かしらに褒められることになるので、“親の愛を感じるために我慢する子供”と同じような状態になる.
つまり、世界的に見ると性別に関係なく「感情的な要素が感じられる表現を抑圧する教育方針」が存在する中で、「男性の方が感情表現が苦手」という事象が世界中で実際に起こっているのであれば、女性に対する抑圧よりも、男性に対する抑圧の方が人格形成に大きく影響していると考えることができる、ということになる.
抑圧的な教育方針が男女のどちらに対して、より影響を与えているかという点は本題ではないので、今回は追求しないでおく.
あまりに複雑だと思い込んでいる
今回の内容は以上になるが、ここまで読んでみて何を思っただろうか.
私たち人間は大なり小なり社会というものに属しており、日々悩んだり高揚したりする.
「悩みの9割は人間関係」という、嘘か本当か分からない文言まで存在する世の中で、とにかく分かるのは、“みんな何かしらの人間関係で悩むことが多い”ということである.
もっと複雑で、理解し難い何かによって悩まされているとか、社会のあらゆる部分が脅かされていると感じる人は多いだろうが、それは多くの場合真実ではない.
人は誰しも欠点を抱えているものであり、多くの人が同じ欠点に悩まされているのも事実である.
その一つがまさに「灯台下暗し」である.
未来のことや夢のこと、好きなあの人のことを考えていると、どんどん分からなくなっていく.
それも人間の性というものなのかもしれない.
男は「愛してる」と言わない方が良いと感じている
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