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トゲのついた言葉は口の中も切る.

 「譲れないこと」という話題に関して言えば、多少攻撃的に守るべき場面がある.
プライドという“それ”がネガティブなものとして捉えられることの多い中、どこかで線引きをしなければ、本来バラバラな現存在である人間はシルエットを失ってしまうからである.

 本来バラバラな現存在という文言は、単体で見た人間がいかに複合的な存在であるかを物語ると同時に、その複合体としてのシルエットをどう維持するのかという意思決定の重要性についても示唆している.

 上記のように、我々人間は最初から最後まで、誰しもがバラバラな現存在であるので、「譲れないこと」や「プライド」というのは自然な流れで重要な要素となるのである.

 タイトルにある「トゲのついた言葉は口の中も切る」という言葉は、私が愛してやまない音楽グループ、聖飢魔IIの「 SAVE YOUR SOUL ~美しきクリシェに背をむけて~ 」という曲における歌詞の一つである.
本曲は、現代を生きる大衆や群衆の心理的、精神的、物理的位置付けを暗に語りながら、同時に大衆や群衆の心が「行き過ぎた合理性」によって侵されている部分があるのではないか、というメッセージが込められていると考察できる.

 「トゲのついた言葉は口の中も切る」という歌詞に、「柔らかく言うだけじゃ洒落にならないぜ」という歌詞が続く.
「柔らかく言うだけでは洒落にならない」とは、バラバラな現存在である私たちの心理的・精神的・物理的な自由を守るために主張し、それによって複合的な存在である人間としてのシルエットを守るためには、多少攻撃的にならなければならない場面があるという意味であり、冒頭で書いた「攻撃的姿勢の必要性」と通ずるものがあるのではないかと私は考えている.

 忘れてはいけないのが「口の中も切る」ということである.
必要な場面であっても、攻撃性は文字通り生易しいものではない.
人間はどれほど正しさを誇っていても、その正しさを主張することに攻撃性を含む必要がある場合、人間同士である故に、必ず自分の何かを傷つけることになってしまうのである.

 自分を守るため、正しさを主張するためなど、何かを多少の攻撃性を以って主張することが必要になる場面がある中で、我々は生まれながらにしてあらゆる犠牲を払いながら多くを守っている.
人間生命のジレンマとも呼ぶべき不完全的不都合な現実が、やはり我々人間がバラバラな現存在であることを証明しているのかもしれない.

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