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中学生の時、親父とラブホテルに行きまくっていた話.

僕は中学生の時、親父とラブホに行きまくっていた.

行きまくっていたと言っても、もちろんそれは客としてではない.
経営者として行っていた.

当時、親父はビジネスホテルとラブホテルを混合で経営していて、経営者自ら視察に行ったり現場を指揮したりと、自分の持っている物件に行くため、日本中を飛び回っていた.

それに同行していたというだけの話だが、中学生にして軽く100軒以上のラブホテルに足を運んでいたし、経営におけるあらゆる知識が身についていた.

親父が運営していた物件は、親父が建てたものではなくて、売りに出されていたものや、運営を委託したいとの意向で貸し出されたものがほとんどだった.

新しくてきれいな物件もあれば、何十年も前から建っているであろう、かなりボロボロな物件まである.

特別なコンセプトルーム(電車の車両や病院の診察室のような作りの部屋など)を備えている物件も多く見たし、かつてその物件を運営していたであろう過去の経営者たちが、あらゆる策を講じて集客をしていたのも、その物件を見れば理解できた.


親父は現場を指揮するが、僕ができることは、ほとんど観察と視察しかない.
邪魔にならないよう気を付けながら、働いている方たちの作業を観察したり、どんなサービスを提供すればお客さんがより集まるのか、どうすれば口コミサイトなどの評価が上がるかなどを考えていた.

実際に部屋に泊まり、環境としての居心地の良さや、設備の不備がないかなど、あらゆる細かな部分にまで目を向けて観察、考察した.

部屋にプレゼントボックスを用意して、その中身が毎回ランダムに出るように、そして同じ人が同じ品を引き当てないように用意してみてはどうか、というプレゼント企画と運要素を融合した案も採用された.


一般客に対しての案や策も大事だが、実はもっと重要なのはデリバリーヘルスの仕事をしている、いわゆるデリヘル嬢の方々への配慮だ.

デリヘルのサービスを利用する男性客がホテルや家などの場所を指定することも多いが、デリヘル嬢や派遣所が場所を指定することも多い.

その際、彼女たちが気にするのは、やはり危険行為や犯罪に巻きこまれるリスクに対するホテル側の配慮などであるので、隠しカメラを隠せるような場所を部屋からなくしたり、男性2人以上が同時に入室できないような決まりを作るなど、物件によってさまざまだが、あらゆる体制をとっていた.

もちろんホテル側やデリヘル嬢自身がどれほど気を付けていたりしても、危険行為に及ぶ迷惑な客や犯罪行為をしようとする人間はいる.

そういったリスクを出来るだけ未然に防ごうとするのは、やはり難しい課題だった.

物件やスタッフに対して何らかの恨みを持っているのか、部屋のシャワーを壊して水を止められないようにしたり、エレベーターが動かないように配線を切ったりなど、あらゆる迷惑行為に及ぶ客も多かった.

物件の運営や経営は、ただただビジネスをするだけでなく、一部の迷惑な人間とも戦わなければいけない現実に、若干ヒトコワの要素を感じたのも事実である.

いろんなことを知ったり考えたりする良い機会だったが、僕はホテルの経営をしたいとは思っていない.




「中学生の時、親父とラブホテルに行きまくっていた話.」

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