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母が滅人になってからもう数ヶ月が経つ。 魂がゆっくり体から抜けていくことで、肉体の輪郭が段々と朧げになっていき、最後にはすべてなくなってしまう病気。乖離性魂亡失躰症候群。 その罹患者が通称『滅人(ほろびと)』だ。 早くに夫を亡くし女手一つで、とお涙頂戴的に言いたいところだけど、母は兄弟が多かったこともあって何かと助けて貰いながら、一粒種の私も伯父や伯母に頼りつつ、すくすく育つことができた。おかげで母も育児ばかりでなく、仕事に趣味にと忙しく、そして楽しく過ごしていた。 私