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ショートストーリー

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3~5分程度で読める、オチがあるようでない感じのお話です。
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2020年5月の記事一覧

好奇心で猫は動く

猫と散歩するのが好き。 ふらりと帰宅した飼い猫が催促するので、今夜はちょっと(猫的に)遠出して、近所の公園に行くことにした。 普段は我が物顔に闊歩する猫も、見知らぬ場所へ行く時は足取りが重い。 それでも、猫特有の好奇心には勝てないのか、私の後をのったりと付いてくる。 時計はとうに0時を回り、冷え込みは相当。 出掛けに着てきたコートのポケットに、コーヒー缶を入れて暖をとりながら、歩くこと7分。 公園に入ると、何だか人の気配がする。 警戒しながらも、猫と同じ位の臆病さと好

路上にて

「ついさっき、失恋したんですよ。そこの角で」 まるで、ぽろりと落し物でもしたみたいに 彼女は困ったように笑って言った。 僕はただ、「あぁそうですか」と頷いて。 「そんで、慰めてくれる人大募集中!なんですが」 なんですが、って。 ねぇ? 僕はただのしがないよっぱらいで。 一昨日振られたばかりのよっぱらいで。 ここでこうやって大の字になって歩道にねっころがって。 誰かに構って欲しくって、しょうがないんですよ。 そんな僕に、慰めろだなんて。 ねぇ? 「とりあえず、ちょっと起