ガールズエンパワメント

ひらいての映画も見た!
言葉数少なな映画だったので、小説を読まずにジワジワ体感していく方が楽しめたかな…!?と思ったけど、結果としてディティールの説得力に圧倒されて、監督の強い原作愛を感じられたから小説を先に読んだのも損ではなかったなと思った。

文章に映像や音がつけば否が応でも余白が埋まってしまうけど、特に愛と美雪のディティールの詰めかたが凄まじくて、私服のセンス、カラオケでの選曲、下着、使う言葉、母親との関係、なにもかもが雄弁で「この子ってそういう子」と輪郭を象っていた。
これは相当原作、、愛と美雪への熱がないと達成できないと思うから、ほんとうに監督さんはひらいてが大好きなんだなと感じた。
もちろん街の感じとか、音とか、温度感とか、全体的な空気感もイメージ通りだった。

それを掴んで表現できる役者さんもすごいなーと思う。
とくに愛役の山田杏奈ちゃんの、童顔で小柄で可愛らしい容姿でありながらずっとムスッとして腹の底に何か飼っているみたいなじゃじゃ馬感、あれは『ひらいて』そのものだなぁと思った。


原作と比較すると、ガールズエンパワメント的な意味合いが強くなっていたと思う。

映画には文化祭の出しものとして女の子たちが●●坂46を模した踊りを練習しているシーンがあるのだが(しかもそのチームには学校の中でもかわいい子しか選ばれない)、その中でひときわムスッとした顔をしている愛。

当日は清純アイドル風の衣装まで着るのだが、結局はその格好のままリハーサルの前に抜け出し、自分に好意を向けてくれる男子からの花束もぞんざいに受け取るだけ。

ニコニコ愛想を振りまいて可愛らしく振る舞って花束をもらうだけじゃ満足できない女の子。
それがこの映画のアイコンだと思う。


愛と美雪のディティールに圧倒されたと書いたけど、たとえは原作とは印象が違った。
原作はもうちょっと男らしいというか、高圧的というか、それでいて臆病で壁があって、、
とにかく映画のたとえは清廉だった。

監督の意向なのか役者の都合(素の人柄か、または解釈)なのかわからないけど、なんか普通に守ってあげなきゃ感があって、DV父に殴られて「女2人に守られて…」と言われるシーンも、侮辱的な意味合いよりなんかしっくりの方が強かった。

小説を読んだ段階でもガールズエンパワメント的な意味合いのある話だなとは思っていたけど、原作はもうちょっと"男女"の方もしっかりやっていたと思う。
たとえは家庭環境のせいかしみったれていて汚さや怖さを感じるところがあったし、なんというか男としてもうちょっとエロかった。
(個人的には映画のたとえの方が好きだけど)

愛ももっと異性愛の自覚が強かったし、塾が一緒の女友だちは特に大きく違っていた。

そんなこんなで全体的にめっちゃ"女の子愛"を感じた。
原作のたとえもエロいだけでそこまで血が通ってるようなリアルさは感じなかったけど、映画のほうが"女の子"にフォーカスが当たっていたし、女の汚さに迫真のものはなかったと思う。

原作はもっとカオスでいろんな感情がゴチャゴチャして、特に性に関しては割り切れなさを感じたけど、
映画は"男を愛す"というのをあまり感じなかったなー。

たとえが清廉で女の子に守られるのが似合う男の子だということも、●●坂46を飛び出していく女の子の背中を押すよね。

というのもあって、より強くガールズエンパワメントの要素を強く感じたかなあ。
だし、より令和っぽいなぁと思った。


と、ここまで書いて思ったけど、女誰しも愛ほどパワフルじゃないよな。。
飛び出していくというよりは馴染めないのほうが正しいのか…??🤦‍♀️
(わたし自身が愛とはまったく違う人間ではあるけどあんまり馴染むタイプじゃないので、今山田杏奈ちゃんのインタビュー動画を見てそうか…と思った)

ガールズエンパワメントって何だ…?
エネルギー過多の人間って結局は何しててもはみ出さないか…??


とにかく監督さんの原作愛をめちゃくちゃ感じたし、丁寧で熱くて良い映画だった。
やっぱり何より愛を感じてえ。

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