わたしのすきなドラマのはなし③30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい

タイトルの印象と実際とのギャップがこんなにある作品を、わたしは知らない。

noteのオートセーブに騙されデータが消えました、にわかドラマファンのちょと申します。はじめまして、2度目まして、3度目まして。(しつこい)

チェリまほ、最高です…!
原作をTwitter上でチラリと読んだことがあったのと、柘植役の浅香航大さんが出演されるということで…なんとなく気になるな〜程度でドラマを観初めたのですが、ドカンとハマりました。

安達かわいい!黒沢かっこいいのに様子がおかしい!柘植ギャグ線高すぎ!湊くん美少年!
メイン4人以外にも藤崎さん、六角、浦部さん…それぞれのキャラクターがめちゃめちゃ素敵なんです。

タイトルの通り安達が30歳の誕生日から魔法を使えるようになる、というお話なのだけど、安達を演じている赤楚くんは本来ならばキラッキラのイケメン。なのに安達になると絶妙にモッサリしていて、それにご本人のちょっと不思議なキャラクターが合わさって、めっちゃめちゃにかわいい。
ずるいことをできない真っ直ぐさや、ここぞというときに決められるかっこよさもあって、本当に魅力的。

黒沢は営業成績ナンバーワンのイケメンエリート…なのに実は妄想が激しく、たまに様子がおかしい(それは心が読める安達しか知らないのだけど)。
町田啓太さん本当に面白かったなぁ、心の声と涼しい顔のギャップがすごかった。あんなに美しいのに妙にオタクっぽい言動が似合うのは何故なんだろう…。

柘植は初登場時には大人っぽい色気があったのに、恋をしてどんどんコミカルになっていく。どこか達観していた柘植が、恋愛によって"愚か"になっていくのが最高だった。
浅香航大さんの感情表現がもう、喜怒哀楽全部面白くてズルかったぁ…特に、好きな人を前に気を抜くとニコーっと微笑んじゃう、みたいな表情が不審者ギリギリのラインで今思い出しても笑う。

湊くんはぶっきらぼうに見えて実は…みたいなキャラクターなのだけど、めんどくさい(褒めてる)恋人感がかわいかった。
演じているゆうたろうさんが本当に美人さんで、骨格どうなってんの!?って思うほどに華奢だし、色白すぎて発光してた。一人だけちょっと作画が違う感じが、湊くんだけ歳下なのとうまい具合にマッチしてた。

メイン以外の登場人物についても語りたいけど、長くなるので一言ずつ。
藤崎さんは原作から設定変更があるのだけど、わたしはどちらも大好き。こんな人になりたい…!
六角はかわいいワンコ系後輩で、サラッといいことを言う。友情にも厚い、いいやつ!
浦部さんはデリカシーのないことを言ったりするのだけど、どこか憎めない、絶妙なバランス。鈴之助さんが実はめちゃめちゃスタイルが良くて、ビジュアル的にも黒沢が浮かないようになってるのかなぁと思ったりした。

それぞれ、かわいいだけ・かっこいいだけではなくて、弱いところやちょっとズルいところ、明るいだけでない心のうちが、魔法の力で明らかになる。
みんなそれぞれ何かを抱えていて、その上で優しかったり笑顔でいたりする。もう箱推しになっちゃう…!


深夜に優しい気持ちになれるストーリーも好みだった。
1話30分の中にクスッと笑えるシーンと切ないシーンが詰まっていて、観終わるとじんわり心が温かくなる。
(ただ興奮するので全然寝れない。リアタイめちゃめちゃ楽しかったなぁ…!)

チェリまほは、悪い人が出てこない優しい世界ではないのがすごい。
セクハラやパワハラ、前時代的な考えの押しつけ…主人公達も現実でよくあるようなモヤモヤを抱えている。それを打ち倒すのではなく、愛想笑いや魔法の力でかわしていく。まるで眼中にないみたいに。(六角の的確な指摘も痛快!)
安達も黒沢も、誰かを変えようとはしない。賢いやり方だなぁと感心したし、リアルだった。

恋愛においても、無理に相手の心を動かそうとする人物はいない。
好きだなぁと思う気持ちで行動はするけれど、結果は相手に委ねる。駆け引きやズルい手は使わず、真っ直ぐ。
事故的にベッドに押し倒しそうになるシーンがあるのだけど、その時に壁に片手をつくんですよ、床ドンみたいにならないように。相手を怖がらせないように。きっと2人ともすっごくドキドキしたろうに、お互いに何も手を出さず。
ちゃんと段階を踏むんだよね。想いの伝え方に引っかかるところがないから、どこまでも応援したくなる。


OPEDもすごくよかった。30分のドラマなので、ともすれば(その分本編をやってくれ…!)となってしまいそうなのだけど、映像も音楽もコンセプトも素晴らしくて、録画で観ていても飛ばせない。

黒沢がカーテンを開けるシーンから始まるOPのバックで流れるのは、Omoinotakeさんの産声。
歌詞がめちゃくちゃ安達で驚愕した…!その一節に、"自分で引いた停止線の前で足踏み繰り返す"というものがあって、あああそういうことある!となったし、確かに安達にもそういうところがある。
滑らかに繋がっていくメロディーにのせて黒沢と安達がそれぞれ自分の部屋で朝の時間を過ごしているのだけど、光の加減の違いやリンクする動きが美しく、本編の補完にもなっていて…本当に大好き。

対してEDのグラユラは、ポップな曲で黒沢の気持ちが歌われている。曲調がOPとEDでずいぶん異なるのだけど、その違いさえ安達と黒沢のキャラクターのカラーに思えてしまって、ありがたい…!という気持ちになる。
こちらの映像は夜、ふたりで過ごす時間。もちろん本編の補完にもなっている。話がしんどいターンに入っているときも、EDではふたりが楽しそうにしていて…どれだけ救われたか…。

しかもOPEDともに、ストーリーが進むと映像が変化する部分もあって…!
いやもうなんか、すごくない!?本編にも感じる細部へのこだわりとか、全体を通しての質の高さとかが、OPEDにまで発揮されている。
OPED両方ともガッツリ曲を使って固定の映像を流すドラマってあんまりないと思うのだけど、作り込まれているから全く退屈しないし、贅沢な気分になった。


最後に、30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい、というタイトルについて。
正直はじめは、素敵なドラマなのになんでタイトルを変えなかったんだろう?と思った。家族がいると録画しにくいし、リアルで話題に出しづらい…!って。
原作はSNS映えとかでキャッチーな語感を重視しているんだろうなと思っていたのだけど、ドラマは「チェリまほ」とかでよかったのでは?なんて。

でもある時ハッとした。
この世界では、30歳まで童貞だと、本当に魔法使いになれるのだ。つまりこのタイトルは、あの世界ではただの事実であって、現実でネットの隅に落ちているような悪意やからかいを含んだものではないんだ。
悪意があったのはわたしの方だった。目からポロリと鱗が落ちたような気持ちになった。

きっとあの世界でのこの言葉は、こう続くんじゃないかな。
30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい。一歩踏み出せるように、少しだけ力を貸してくれるんだって。