風の客人
こんな風の強い日には
客人など誰も来ないでしょうな
雨まで激しく降っているし、
くわえてこんなご時世だから
(実に暗あいご時世ですね)
あれ、ドアが空いたな、
と思えば、やっぱり、こんな日は
やって来るのは、風ばかり!
やって来るのは、風ばかり!
店の中は風の客でいっぱい
風が本を読む、風が本を読む
パラパラとページをめくり、
次々とめくり、詩を読む、詩を読む!
風は詩を覚えて、帰っていく
不機嫌そうだったが、実際は嬉しげに、
何処かへと去って行った。
今また外で、
ぼうぼうと低い声で乱暴に唸っているのは、
あれはきっと、詩を唱えているのでしょう。
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