僕らは本が好きだった

僕らは本が好きだった
二人でよく本屋に行ったものだ
棚から面白そうな本を引き出して
互いに見せ合って
静かに微笑を交わしたものだった
そんな時間が心地よく
そんな時間がとても好きだった

いま目の前にある古本は確か
二人で行った遠くの町の古本屋で
買ってきたものだ
その本に触れてページを開くと
あの時間の記憶も一緒に
心の中に浮かんでくるようだ

僕らは本が好きだった
だから今、僕は古本屋をやっている

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