文化とか伝統とか風土とか

丹波地域では「シューベルティアーデ」という国際音楽祭が開催中です。
シューベルティアーデは、シューベルトが自宅に友人を招いて音楽会をしていたことから、各地で音楽好きな仲間が集まって音楽会を行うようになった取り組み。なんと丹波地域では30年間もシューベルトの曲を中心にクラシックを身近に感じる取り組みとして街角コンサートなどが住民の手で行われて来ました。

オープニング・最終コンサートはウィーンからの演奏者や関西フィルのフルオーケストラと合唱団
街角コンサートや各学校でも本格的なプロの演奏が楽しめます。

今年は30周年ということで、最終のガラ・コンサートと同時開催で私たちが行なっている「世界を旅するマルシェ」を行うことになりました。
https://www.instagram.com/sekatabimarche/

シューベルティアーデや街角コンサートは、なんとなくの名前を聞いたことはあっても内容をきちんと理解していなかったので、若い人たちは全然知らないのではないかなぁ。

中心で行なっている音楽プロデューサーの畑さんや、その同級生たちも70歳を超え、SNSもあまり使っていなかったり、来てくれるお客さんもシニア層が多い印象。
それでも30年来のファンもいて、オープニングコンサートは丹波地域ではあまり見ないようなクラシック好きなオシャレなおじさまおばさまたちがたくさん来られていたし、街角コンサートには地域のおじちゃんおばちゃんたちがプロの演奏を楽しんでいて、とても素敵な取り組みだなと感じました。
そして、何より、高校生以下は全て無料。子供の頃に一流の音楽に触れさせたいという文化的な心を育てる考え方がすごく素敵だなと思ってます。

丹波地域の取り組みは、「丹波の森構想」というものの上に全て作られています。
加古川と由良川の上流地域である丹波地域の自然や人や暮らしや文化や歴史を、丹波の人たちだけでなく、流域全体の人たちで守っていこうという想いのもとに2万を超える人たちの署名と、1000人の集会で宣言された「丹波の森宣言」。それが宣言されたのが昭和63年ということなので、もうかれこれ37年も前にそのような今の時代の先駆的ともいえる考えを住民主導で行なっていたということが、本当にすごいことだと思っています。

ちなみに、この丹波の森構想の参考にしたのが、ウィーンの森という、ヨーゼフ・シェーフェルが中心となった住民運動。ウィーンはベートーベンやシューベルトを生み出した文化の豊かな国で、丹波から当時たくさんの人たちがウィーンに視察に行っています。

その丹波の森構想をベースに行われてきた取り組み、
丹波の森大学も36年 https://www.tanba-mori.or.jp/kyoukai/wp-content/uploads/0dcb74af390af3156f933c695c2db511-1.pdf

NPOは解散されてしまいましたが、未来の杜(もり)を意味する地域通貨未杜(みと)
おさんの森やムッレ、有機の里いちじまの丹波太郎やビジョン委員会、野菜を販売してきた丹波組、織田まつりや愛宕祭りなど、住民主導でたくさんの取り組みが行われてきたように感じています。

しかし、今中心で行なっている人たちはみんな70代を超え、(37年前は3-40代でバリバリやってきた人たち、)私たちの世代に引き継がれていない実情がどこの活動においても起こっていて課題としてあがっています。

恐らく、その世代の時には、景気もよく、行政からの羽振もよく、商売も売れば売れた時代と言われている時代。今の世代は必死に働いてもなかなか生活が楽にならず、そんな中で市民活動に時間が割けない状況もよくわかります。うちだってそんなことばかりしてれば会社が潰れちゃう。

だから、経済はすごく大切だなと感じていて、ボランティアになりがちな市民活動もやっぱり利益を得られる構造は絶対に大切だなと。
ただ、経済に偏り過ぎたナショナルチェーンばかりの地域は、まちの個性が失われるのも確かで、今のうちに丹波地域で70代が頑張っている取り組みをきちんと経済的に回るようにして、関わる人たちが利益を得られるような仕組みができるのが1番いいのではないかと思っています。

11年前に関西に来て、地域にすごく歴史がたくさんあるということに驚きました。
こちらに来てからそういう視点が養われたというのもあって、地元静岡にも源頼朝が伊豆に流されていた形跡だとか徳川家康が駿河にいた功績だとかもあるというのはわかるようにもなったのですが、本当にこちらには日本の文化は関西を中心に興ってきたのだと実感できるようなものが至る所にあります。
だから歴史は本当に大事だなと。残り伝わるもの。その地に自然に育ってきた風土。大切にしていく伝統とかも時代に合わせて変えていく部分もあるとそれがその時代の文化にもなる。
文化って人の営みそのもので、ただ生きるためだけの活動ではなく、生きることをどれだけ楽しめるかということが文化の豊かさだなと感じています。下手したら娯楽と言われかねないお祭りや音楽も、豊かな文化の象徴で、それを続けていくためには、やはり経済的な発展は欠かせない。

11月の丹波市長選では偏りなく、この地域の大切なものを理解し、維持発展させていける人がなってほしいなと本気で思っています。

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