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Sports Team "Deep Down Happy"
本当にグッとくる素晴らしいデビューアルバムだった。アルバムを聞き終わる頃には何缶と缶ビールを空けられる。1曲目の”Lander”でAlexのシャウトの始まりを聴いた時、新しいアルバムにこんなにワクワクさせてくれて素直にありがとうって気持ち。
バンド音楽の何が好きか?その要素の一つには、青臭く感じるかもしれないけど、バンドの成長だったり、その成長の過程で一緒にその熱狂にのめり込んでいけるという要素が僕にはある。そのリアルタイムの感覚の海に僕自身もダイブし、興奮できる。
Sports Teamは努力のバンドだ(と勝手に思っている)。近い界隈と比較したら、Shameほどの剥き出しのパンク性は無いし、Sorryのような差し引きの賭けを楽しむような型破りなクリエイティブさも無い。HMLMDのエキセントリックでドラッグめいた力強さとも全然違う。正直に申し上げれば、初めてSports Team聴いた時、このバンドのストロングポイントを自分の中でうまくキャプチャーできず、そこまでハマれなかった。僕自身が浅はかなジャッジをしていたのだ。
調べれば、フロントマンのAlexはイギリスの名門、ケンブリッジ大学を卒業している。おそらく多くの選択肢がある中でバンド活動を選んだと推測できる。バンドメンバーもケンブリッジ大学で出会ったメンバーで、そのうちのギターのHenryはCNNのスポーツ記者を辞めてバンド活動を開始したことも知った。
2017年のバンド結成以降、このデビューアルバムでも十分に感じられる純粋な音楽への好奇心と意欲が彼らをドンドンと次のステージへ突き上げ、彼ら自身の進化をマネジメントしていったように思う。実際に時系列を追うごとに彼らの曲は良くなっているし、バリエーションもどんどんと増えて行った。僕がSports Teamに対して見る目が大きく変わったのはこの曲ぐらいから。
例えば、2018年9月には、彼らの当時のTwitterフォロワー数より大きいキャパシティを備えるScalaというロンドンのヴェニューでのライブを完売させ、その1年後には2300人キャパシティのO2 Forumでのライブも成功させた。
外野からは無謀に見える状況でも全力疾走を緩めない、無理な姿勢からでもシュートに持ち込もうとする泥臭さ(Alexはサッカーには興味が無く、クリケットの方が好きらしいけど)。そうした直向きな野心が少しずつ支持者を増やし、バンドを成長させた。Sports Teamというバンド名も、インターネットの検索で非常に引っ掛けにくいけど、彼らの在り方としてそれじゃなきゃいけなかったような気もしてくる。
彼らのその野心は決して独りよがりでは無く、DIY的な美しさも現している。彼らがSpotifyで公開しているプレイリストをよくチェックしている。ロンドンやジャンルを超え、彼らがどのインディアーティストにシンパシーを感じているのか、またどの新しい若手アーティストとこれからの音楽を盛り上げていきたいのかその姿勢を分かりやすく表していると思う
粗削りさの中に高潔な理想が潜むロマンチシズム。かつての自分を自分たらしめたSupergrassやPavementを想起させる90年代的なギターサウンドに現代のロンドンの状況や資本主義のシステムに真っ向から立ち向かうストーリーテリング。2010年代にロックは無かったって言う人にSports Teamが見えていなかったことは全く問題ない。今のロックミュージックは見る人がしっかりと見ていることの方が100倍は肝心。単なる過去のコピーではなく、彼らに夢中にさせてくれる確かな何かががあるということを感じさせてくれる方が遥かに大事なのだから。だからHere’s the thingは2020年の僕のアンセムにする必要があるし、一緒に”It’s all just lies, lies, lies, lies”と歌う必要がある。
Sports Teamのデビューアルバム”Deep Down Happy”のリリースと共に2020年代インディロックのワクワク扉が盛大に開いた(とか言ってみたくなる)。レディ・ガガに僅かに及ばなかったけど、全英初登場2位おめでとう!!
It was Blur Vs Oasis, and we were Oasis. Took it closer than we had any right to. Will be paying back the IOUs well into our forties but fuck it. What a ride. Love you all. pic.twitter.com/3bCLi67JHj
— Sports Team (@SportsTeam_) June 12, 2020
そういえば、Sports Teamが2018年から2年連続で夏に彼らが主催したMargate Bus Tripというイベントは流石にコロナなご時世だから今年は無いのかな。MargateはGoogle Mapで調べるとロンドンより東に2時間半車を走らせたところにある東海岸沿い街。そこで彼らは好きなアーティストをブッキングしてバスツアー込のライブイベントとしてファンを招待する企画をしているのは凄く面白そう。1回目の2018年の開催はAlex自らバスを運転したとかね。本当にいつか行ってみたい。
参考:
Supergrass - Alrigth
Pavement - Cut Your Hiar
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