《鬓边不是海棠红》(「君、花海棠の紅にあらず」)尹正、ライブ配信インタビュー


久しぶりに最近すごくのめりこんだ中国語ドラマがあります。

今まで人並(日本で観られる中華圏ドラマを好んで観てきた人たちの中で並み)程度に観てきた中で、心に残る作品もいくつかあり、過去には大女優斯琴高娃の《大宅门》や大好きな周迅の《大明宫词》と《射雕英雄传》、つい最近では马天宇が主役と知り観始めたのに韩东君から目が離せなくなった《三国机密之潜龙在渊》などが特に印象深い作品です。

しかし、《鬓边不是海棠红》はここ数年間で観た作品では私の中で大ヒットでした。

爱奇艺で《鬓边不是海棠红》の配信が開始された頃に見かけたのですが、ここ2年くらい爱奇艺のサスペンスシリーズが好きでそちらを主に観ており、新作サスペンスを待つ隙間に第一話をさらっと観て完結せずに放置していました。それが最近、尹正が話題になっている事とこのドラマが日本でも人気だという事を知り腰を据えて開始したら。なんとこれが凄くて凄くて夢中になって観てしまいました。

そして《鬓边不是海棠红》をきっかけに観た尹正出演の他のドラマやバラエティ等から推察される彼の人柄、またインタビューなどを通して知った彼の仕事に対する姿勢などに触れ、すっかり彼のファンになってしまい、いつもの如くネットを漁り始めていたらそんな尹正の一端がとてもよく察せられるインタビュー動画をYoutubeで見つけました。
このインタビューでは、彼の《鬓边不是海棠红》中での役作りや演技に対する思いを語ってくれていて、尹正の役者としての姿勢やひたむきさにとても心を打たれましたので《鬓边不是海棠红》を観ていらっしゃらない方にも、大陸にはこんな役者さんがいるのだ(他にももっともっと沢山素晴らしい役者さんもいらっしゃいますが)ということを知っていただけたらなあと思い、以下にその内容の訳を書き出しました。

動画は、ライブ配信中の尹正へのインタビュー部分をOlivia Miさんが5分程度に編集して下さったものです。Olivia Miさんの許可を得て訳出しています。Olivia Miさん、ありがとうございます。

訳に関しては、全体を通してわかりやすくしたり日本語にする際に避けたい表現をやわらかくぼかしている部分があります。
尚、私自身のために音声を書き起こしていますが、話し言葉のため前後が文法的にかみ合わない部分や語気助詞等を割愛した部分があります。


訳)
Q)先ほどのゲームで尹正さんは反応が非常に速いということがわかりました。では、京劇に初めて接した時もすぐに適応なさったのでしょうか?
A)実際のところまあよかったですけど、適応がとても早かったというわけでもありません。私が非常に信頼する畢谷雲先生(検索すると京劇関連の方のお名前の日本語表記で「卒谷雲」とあるのですが、ここでは音声に従い「畢」としています)の言葉に「多くの人が京劇はとても難しいと言いますが、京劇が難しいのは当たり前です。とてもとても難しい。ではなぜか。つまりそれは、素晴らしいからこその難しさなのです。」とあります。この言葉もあるので、当初あまり多くの事は考えず、兎に角とても貴重で素晴らしい物語ですし魅力的な役柄ですから、私の全力を尽くしてこれをしっかり解釈し表現したいと思いました。
Q)私たちは多くの場面で困難に出くわします。その時は気持ちを奮い立たせて立ち向いますし、投げ出さずに立ち向かい続けることは生きていく中で必要不可欠なことでもあります。
私事ですが、京劇の「蘭花指(指の動作)」にとても興味があり尹正さんのドラマを観ながらそれを学びました。この「蘭花指」は一見簡単そうですが実際は基礎的な技術が非常に試されるものだと思いますしそれをものにする能力も試されると思います。そこで尹正さんに伺います。これらを学ぶ過程で困難はありませんでしたか?
A)学んでいく過程では実際常に困難はありました。しかし有難いことに私たちの先生は皆さんとても素晴らしく、牟元笛先生、尹俊先生、それに畢谷雲先生(先に説明記載)と、すべて非常に素晴らしい先生方でした(ので助けられました)。
しかし実際のところ役柄を表現する部分ではとても難しい問題が二つありました。一つは内面的なこと、もう一つは外面的なこと。
まず内面的なことについてですが。例えばこの役柄の持つキャラクターの豊かさ、多様さは今まで私が出会った中で一番です。
彼のポイントは、男性が女性を演ずる女形の役者、ということです。それなのに問題なのは実際のところ彼には女性らしさが全くない。
Q)舞台の上と下では違う人物なのですね。
A)そうです。舞台の上では楊貴妃、降りると張飛なのです。それに彼は読み書きができず食いしん坊でけんかっぱやい。
Q)もも肉を食べていました。
A)そう。それにちょっと変わってる。彼はギャップが大きすぎて二つの(性質の)中間というものが永遠にない、つまり氷と火、極まっている、非常に極まった二者を持つのです。
Q)極端なのですね。
A)そうです。ですからどうやってこの二つが衝突し合わないように、矛盾しないようにやるか。一方はもう職業病で、それに女性らしさのかけらもない女形の役者で舞台の下ではしとやかさなど皆無、私たちには想像もつかないような人物なのです。
Q)とても難しそうですね。
A)それからもう一つ。外見上の事ですが。これについては監督と演劇指導者とにはバトル、衝突があるとの認識がありました。それは何か、舞台の上では見栄えの良さのためにふっくらとしていなければならない、一方舞台を降りた通常の撮影では太っていてはいけない。どちらかを選ばねばなりません。この件、結局最後は解決できたのでよかったのですが。
では、これら二つの問題をどう解決したかということです。
まず一つ目の問題については私たちは監督と長時間話し合いました。毎日毎日部屋でも話し合って、そして結局、受動的な職業病を演じようということになりました。例えるならば細かく演じるということ。普通の男性の場合、「あれ取ってくれ」とだけ言うにしても、こんな風に、その彼の持つ雰囲気と座る姿の全てが普通の男性のそれです。しかし毎日女形をやっているとなると彼が伸ばした手の所作はこんな(やわらかい)感じ、役者ですから(普通の男性とは異なります)。また例えば、普通の男性がこう座るとすると、彼はそうは座らない、きっとおしり半分で(椅子の)前の方に座る、なぜか、それが習慣になってしまっているからです。
では何を習慣というか、私は心地よさを感じられることがつまり習慣だと思います。多分足も組むでしょう、こう座って、でも腰はまっすぐ、彼の持つ雰囲気は男性の持つそれです、話し方や言葉がどうかとかではなく(雰囲気です)。しかし「ちょっとそれ取って、こっちに持ってきてくれ」彼がそう言うときに伸ばす手の所作はこう(やわらかい感じ)、すると衝突がなくなるのです。
Q)つまり彼の中の二つが結合して生活の中にとてもすんなり溶け込むのですね、舞台上の役柄としての。
A)こういったことで、商細蕊、この人物には皆さんが持つ女形の役者に対する一貫したイメージとは異なったところがあります。
では外見の問題をどう解決したか、そこは監督が妥協し「ちょっと太ろうか」となりました。ふっくらした顔をこう引っ張り上げると見栄えが良くなります。男性の五官にはもともと女性のような柔和さはありませんし。ですので、引っ張り上げることでとがった感じも際立ちます。
Q)そうですね。では、あなたの(演じた)商細蕊への非常に高い評価について。
A)私にはコメントする資格はないのですけど。彼の一生を演じられたこと、いや一生とは言えないですね、後の半生はやっていませんから。しかしうれしいことに彼の生涯の一時期を演じられたことは私にとって光栄なことです。
Q)では、演ずる過程では尹正さんは完全に役柄の中に入り込んでいたのでしょうか?自分を商細蕊という役の中に送り込んでいたのでしょうか?
いつでもどんな時でも自分を商細蕊だと感じていた?
A)私はこの仕事(俳優)をやる人間ですから。あなたのようなMCがもしセリフを忘れたり進行を間違えたりすると仕事をなくすでしょう?私はこれをやる人間ですから。こうするしかない、俳優と役柄の二者は極限まで近づき合います、俳優が役柄により近づくか、役柄が俳優により近づくか、ただそれだけの違いです。

音声)
Q)在刚刚游戏过程当中,看得出我们尹正老师反应速度非常快啊,在刚接触京剧的时候,您也是这个适应得非常快吗?
A)其实还好,并没有适应得很快,因为我特别相信就毕谷云先生有一句话,他说:“有很多人说,哇,京剧很难,(他说)当然难啊,好难好难,因为好,它才难。”所以就当时其实也没有想那么多,我就觉得来之不易的那么好的故事,一个那么迷人的角色,就想尽自己的全力把它诠释好。
Q)那我觉得在很多时候,我们都会遇到一些这个困难,我们那鼓起精神也会去带领我们去战一些困难一直坚持,一直坚持和热爱生命当中不可缺少的事情。那由我自己其实对京剧的兰花指这个非常感兴趣啊,跟着你的剧里面学习,我觉得这个兰花指看起来可能他们觉得简单,但我觉得它还是满考验那个功底,还他的那个学习能力的,那我想问一个在这个学习的过程当中,有没有遇到一些困难。
A)学习的过程当中,其实困难随时都会有,但是还好我们的老师很优秀,牟元笛老师、尹俊老师包括毕谷云老师都很棒,但其实在呈现角色的方面其实有遇到了两个最大的困难,一个是内在,一个是外表的,那么,内在的就是比如说因为他这个角色丰满的程度是我目前为止见过最丰满的,他的点是在于他是个乾旦演员,男旦。但是问题是他私底下就一点女气都不沾。因为一个…
Q)就是台上和台下是两个人。
A)就是,台上是贵妃,台下是张飞嘛,他又不识字儿,他是个吃货,没事还要跟人打架
Q)吃肘子。
A)对,而且他脑子好像有点问题这个人,然后就是他反差太大了,他永远没有中间呢,他就有冰与火,极致的,非常极致的两个人,
Q)极端。
A)对,这个是一个就是你如何能够做到就是说不冲突,矛盾嘛。一个肯定会职业病嘛、一个不沾女气的男旦,就台下看一点也不阴柔,这你匪夷所思的就是一个是
Q)其实我觉得很难。
A)然后另外一个是你外形上的东西,当时其实就是导演跟戏剧导知道它们会有battle的,是什么呢,就是上台的话你要好看要胖,但是你在台下的话正常拍的话你要瘦,那你只能取一个,只能取一个,但是最后还好得到了解决。
然后,包括这个就是两个怎么解决呢,比如说第一个他解决我们后来跟导演商量了很久,天天他在房间里边跟几个聊,那就演被动性的职业病,你比如说,演细,细节的细嘛,那比如说,他一般一个普通的男孩儿,他只能会说:”哎,你把那个东西给我拿过来。“可能就这样,但是你的气场和坐姿整一个都是一个正常的男孩子嘛,但他天天地唱旦,他可能一伸手势是这样,他,我是唱戏的,比如说,一个普通的男的我这么坐的,但他一定不会这么坐,他一定是半个屁股坐在前面,因为他习惯了。什么叫习惯,我觉得舒服这个就叫习惯,他可能他可能会跷二郎腿,他会这样,这么坐,他腰板会很直的,他整个人的气场是一个就是男孩子气场,他说话语调没什么,”欸,你把那个东西给我拿过来。”,“你把那个东西给我拿过来。”,他可能一伸手就是这个,就开始他不冲突。
Q)就是他两面结合在一起,它能够非常好的适应生活当中,舞台上的那个角色。
A)所以这个也就是,商细蕊这个角色跟就是大家概念当中一贯的男旦角色不同的地方,包括外形的怎么去解决呢,导演妥协了,导演说:“那就胖点儿吧。“,因为面如满月勒起来才会好看,因为男生本来五官不会比没有女生那么柔和,你勒头的话显得这个人很刻薄。
Q)没错,刚才说啊,您对我们的这个商细蕊有非常高的一个评价。
A)他,我没有什么资格评价,我就能够演义他的一生,也不能说一生,而他后半生我没有演义,只是我能够有幸演义他生命中的一段时光我觉得是我的荣幸。
Q)同时我们也知道,在表演的过程当中,是不是完全沉浸在当中,也是把自己带入到我们商细蕊这个角色当中,此时此刻感觉自己是商细蕊了?
A)我是干这个的。就像您是主持人,您现在要是忘了词儿了,或者进度cue错了,不就失职了嘛,我干这个的,我只能是这样,演员跟角色之间就是无限的两个人靠近,只不过是他向你走近多还是你向他走近多的这个分别。






ここ数年の中華圏ドラマを取り巻く変化はありがたいですしうれしいです。

全く中国とは関係のない私の友人までも最近中国ドラマを観ていると言い、まさか彼女の口から「中国ドラマ」という言葉が出てこようとは、と、とても感慨深くなりました。本当にうれしいことです。

アイドルにも沢山素敵な方がいらっしゃいますので、もっともっと知られて欲しいと思います。


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