後に美談になるだろう今
後に美談になるだろう今は
何も先が見えないまま
ただひたすらに、暗闇を走っている
杉並の路地裏の様な狭い道を
直進もできずに、立ち止まっては進みだすを繰り返す。
後に美談になるだろう今は
先のことなど何も考えないまま
抑圧された環境と、制約のある時間に抗うように
己の湧き上がるエネルギーに身を委ねて
後悔のない挫折と失敗を繰り返す。
流れる時の長さが加速していく中で
足跡のない自分に嫌気がさし
移り変わりのない日常が
ココロに焦りと苛立ちを生み出していき、乾かしていく
ぶつける場所を見失った感情が
頭の中に籠り始めて、曇らせていく
後に美談になるだろう今という考えが
生きているココロを支えている
それでも
朝の空気は澄んでいて
月は届きそうなくらい綺麗で
身体は軽やかに
鼻から胸いっぱいの空気が吸えるのだから
その日を待ちわびて今日も
積み重ねる