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堕天使債(Fallen Angel)の投資妙味

コロナウイルス影響拡大により3/1以降から

米国および欧州・中東・アフリカ地域における堕天使債の規模は1500億ドルまで拡大しており、最大で4000億ドルまで拡大する可能性がある。

※堕天使債(Fallen Angel)とは
社債市場で、投資適格(BBB以上)の格付けで発行された社債が、その後企業の信用力の低下によって投機的格付けに格下げされた社債。

本格的な金融危機突入への可能性の高まりから
FRBは4/9に資金供給策としてジャンク債(BB以下)に下がった社債まで購入することを発表。
3/22までBBB格以上の投資適格だった社債であれば、新型コロナウイルス感染拡大による影響でジャンク級に格下げされても、残存5年未満BB格までの社債を買い入れ対象とした。

堕天使債は信用力低下による利回り上昇(クレジットスプレッド拡大)とFRBの買い支えによって下値(債券価格の下落)余地を抑えられ得るメリットが生まれている。

今回は堕天使債の投資妙味をまとめる。
近年の米国市場では、投資適格債券の最下位とされるBBB格の社債の発行が急増していた。
・発行体(社債を売り出す企業)は、最下位であるとはいえ、投資適格での金利水準(=投機的格付けより低金利)で発行コストが抑制できる
・投資家は、比較的に利回りの高い投資適格債を購入できる

というメリットがあった。
しかしコロナの影響で発行体企業と債券市場は激変し、投資適格級からジャンク債に格下げされる債券が急増した。
機関投資家を中心として、ジャンク債に格下げされた社債には投資できないルールとなっていることも多く、
そうした社債を投げ売りするしかなく、
社債価格が急落した(利回りは急上昇)。
米国BB格債のクレジットスプレッドは拡大し、
FRBによる金融政策の発動などを後押しで縮小するものの、依然としてワイド(高い利回り)な状況が続いており、投資妙味は残っている。

足下の状況確認
・2020年の始めから日米の金利は低下。
その後日本国債の10年金利は上昇に転じているが、米国10年債はFRBが政策金利を0〜0.25%まで下げたこともあり、0.7%程度の金利状態。
・米国内のコロナ感染者150万人突破
感染拡大の影響から経済危機を危惧し
4/20にトランプ大統領が4500億ドル規模の追加経済対策を発表。

上記の実体経済の影響と米国中央銀行による金融政策により、「売られれば買い戻される」
つまり、
資産価格が変動しづらい状態になっている。
その様な環境下では、
キャピタルゲイン(資産の値上がり益)より
インカムゲイン(資産の利息や配当益)の
投資が有効
になり、債券運用、その中でも堕天使債の投資妙味が期待されるのではないだろうか

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