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日本銀行の政策方針

日銀は5/11に金融政策会合における意見を公表

今回はその会合から、金融政策運営(公開オペ)・緊急経済対策についての方針を紹介する

企業金融面
社債、CP買入れや既存の特別オペを拡充
新型コロナウイルス感染拡大により企業収益は悪化、破綻企業も出ている為、十分な資金繰り支援により倒産を防ぎ、雇用を守ることが優先課題。
●社債・CP等の発行体毎の買入れ限度の緩和
・一発行体当りの買入れ上限:
通常1000億円→CP等5000億円、社債等3000億円
・一発行体の総発行残高に占める日銀の保有割合上限:通常25%→CP等50%、社債等30%
・買入れ対象の社債等の残存期間:
通常1年以上3年以下→1年以上5年以下
●社債およびCP等買入基本要綱の一部改訂
・コロナの深刻化により、追加買入枠を2兆円(3/16)
・その後異例の2ヶ月連続会合を開催し、買入枠を20兆円に増額(4/27)
●CPオペ初の下限設定
・日銀が金利のボラティリティ(変動)の上昇を避ける目的として下限設定を行い、企業サイドの安心感に繋がった。
・日銀は買入れるCPの下限金利を-0.1%に設定
・買入額8000億に対し、1兆3,243億円の応募
・最低落札利回りは-0.068%で平均は-0.027%

※CPがわからない人は過去記事参照
日銀のCP(コマーシャルペーパー)買い入れとは

政府の緊急経済対策
前例に捕らわれず、財政・金融・税制といったあらゆる政策手段を総動員
①感染症拡大の収束に目処がつくまでの
「緊急支援フェーズ」(現時点)

I.感染拡大防止対策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発
・マスク、消毒液の確保
・検査体制の強化と感染症の早期発見
・医療提供体制の強化
・治療薬、ワクチンの開発強化
・帰国者等の受け入れ体制の強化
・情報発信の充実
・感染国等への緊急支援対策に対する拠出等の国際協力
・学校の臨時休業等を円滑に進めるための環境整備
Ⅱ.雇用の維持と事業の継続
・雇用の維持
・資金繰り対策
・事業継続に困っている中小、小規模事業者等への支援
・生活に困っている人への支援
・税制措置
②収束後の反転攻勢に向けた需要喚起と社会改革の推進を図る「V字回復フェーズ」
日銀は緊急経済対策と併せて、
金利低下を企図して積極的な無制限の国債買入を行うことで、政府との連携を強化。
Ⅲ.次の段階として官民を挙げた経済活動の回復
・観光、運輸業、飲食、イベント、エンターテイメント事業に対する支援
・地域経済の活性化
Ⅳ.強靭な経済構造の構築
・サプライチェーン改革
・海外展開企業の事業の円滑化、農林水産物ら食品の輸出力の維持・強化及び国内供給力の強化支援
・リモート化等によるデジタル・トランスフォーメーションの加速
・公共投資の早期執行等
Ⅴ.今後への備え:新たな予備費の創設

まとめ
政府の現状の経済対策では、事態の早期収束に重きを置きながら、回復力の基盤を築き、
雇用と事業と生活を守り抜く段階ではある為、大幅に落ち込んだ消費の喚起にまで手が回っていないのが現状
日本銀行としては、企業の倒産を防ぎ、雇用を守ることが優先課題。その為の公開オペを拡充。
しかしCP・社債等の買入れ拡大の恩恵を受けるのは主に大企業であり、中小企業の資金繰りに対して、更にコミットメントできるかが今後の課題。
実際に日銀は中小企業の資金繰りの工夫を、
政府の緊急経済対策における制度なども踏まえて検討すべきとしている。

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