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コロナで資本主義が変わる!??

コロナウイルス感染拡大による経済の深刻化に伴い、各国が経済の救済措置を打ち出している。その動きの活発化により、経済の仕組みそのものに影響を及ぼす可能性がある。
今回は

アメリカのFRB(米連邦準備制度理事会)が資本主義そのものを変容する可能性

について述べていく。
※FRBとは
日本で言う日本銀行のような機関。

コロナ禍により経済活動が停止している状態のなかで、財務体質の弱い企業の信用リスクが急速に高まっていることはこれまでにも提言してきた。
業種別でも空運、クルーズ船関連、外食、カジノ、エネルギー関連、百貨店、自動車関連はCDSスプレッドが高まっている。

これら被害が甚大な企業への救済措置として、
FRBは地方債やハイ・イールド債券を買入の対象にした。さらにはCLO(ローンを担保に証券化した債券)やCMBS(商業用不動産を担保に証券化した債券)の一部も対象とした。

※CDS
(クレジット・デフォルト・スワップ)とは
クレジット・デリバティブの一種で、
企業の債務不履行リスクを対象にした金融派生商品。対象企業が破綻し、金融債権や社債などの支払いができなくなった場合、CDSの買い手は金利や元本に相当する支払いを受け取るという仕組み。つまり、債券の保険のようなもの
※ハイイールド債券とは
投資適格社債に比べ、一般的に発行体の信用力が低い一方で利回りが高く、投機的格付債・ジャンク債に分類される。

この措置を受けて、
ハイイールド債ETFは急騰した。
1/15の高値88.5から
3/23の安値67.5(-23.7%)まで落ち込んでいたが、現在は79.16
株式市場においてこれくらいの値幅の変動はよく見られるが、債券関連としては異例であり、まさにFRBの措置を反映した相場だろう。
そして企業の信用リスク全般を軽減する
効果があったことも見てとることができ、
全体の底上げに繋がった。

例えば「ダイヤモンド・プリンセス号」のカーニバル社のCDSスプレッドは
4/3のピーク1,568bp(単位:ベーシスポイント)から、ゴールデンウィーク前には990bp近辺まで落ち着いた。
自動車株の中で最も不調のフォードも
3/23ピーク1,504bpから4/17に837bpと低下している。
この影響は、NYダウや日本株式市場には不振業種中心に買い戻しにも波及した。

ここまで読んで頂けたら

経済対策の効果テキメンじゃん!!

と思うだろう。確かに米国経済の失墜は世界経済の失墜と言っても過言ではなく、彼らにとって「今あるベストな選択」であるだろう。
しかし、FRBのハイイールド債券との付き合い方の歴史を探っていくと
「ハイイールド債券は投資家のリスクテイクがどれほどかを計る尺度」として機能してきた。
つまり、市場が行き過ぎであるかどうかを測るアイテムだった。
BBBマイナス以下の格付けという、「紙くず」になりうる可能性の高い、いわば
ハイリスク=ハイリターンの投資により高い見返りを求めた場合の失敗は、当然ながら投資家が自己責任を負うことになる。
ところが、FRBの措置によりそれらの債券を
国費で買い上げてくれるわけだ。

公平な競争の結果、脆弱な企業は淘汰されていくのが資本主義の原理であったはずだが、それを歪める形になる。

バブル崩壊後の日本に
「脆弱な企業が淘汰されることが、経済・金融システムの強化と効率化に繋がる」と主張していた米国がこのような立場を取ることで、
運用を甘くすれば「ゾンビ企業」が米国内で徘徊することになる。

これらの期限は9/30までとなっているが、
それまでにコロナウイルス感染拡大が沈静化し、経済市場も正常化している保証はどこにもない。
個人的な意見では、この救済策はさらなる拡大・延長が見込まれるのではないかと感じる。

そして今は復調な兆しを見せる米国株式市場だが、二番底をつけるような下落があれば、
「S&P500種ETF買入」の可能性も皆無ではないように感じられる。そうなると完全に
「FRBの日銀化」が進んで行くことになるのかもしれない。
※二番底とは
景気や相場が悪化している時に、一度株価が底をつけて好転した後に、再度悪化(下落)して底を打つこと



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