モンスターオジサン(現実世界でハーレムは無理なので異世界で作ってみた)

エピソード2   女神から貰う物


彼女が片手を横に軽くふる。
すると、彼女の前に3つ丸い球体が浮かんだ。
1つ目の球体は全体的に黒く紫色に淀んでいた。
2つ目の球体は全体的に霧がかかった様にぼやけていて所々に蒼白い何かが発光している。
そして、3つ目の球体はよく見たことがある元居た世界の宇宙と同じ様な鮮やかな色をした物が数多に光輝く球体だった。
彼女はそれを一個づつ此方へと近付けて、詳しく説明してくれた。
一つ目の球体は虚無と静寂の世界、何処までも黒闇が広がり紫色の招待はあらゆる世界で、誰かの、もしくは何かの命故意に奪い弄んだ愚かな魂が永遠に漂う世界何だとか。
ちなみにその世界に送られた者の魂は永劫に続く寂しさと虚しさを味わいながらやがてその魂にこびりついた意志が完全に消え失せるまで漂い続けるらしい。
まさに生き地獄、その世界に送られた瞬間からあらゆる痛覚が無くなり無限に続く闇の中、寝ることも意識を失うことも出来ずにただ何もない誰もいない闇の中をなにも出来ずに漂い続けるとの事だった。
その過程をある程度続けるとその魂は無垢の魂になり、姉神達が担当する世界へと送られ、綺麗な状態になり、改めて転生するのだとか。
つまり、その世界は前の世界で言う所のいわゆる地獄の世界と言うヤツだ。
てっきり、もっとエグい苦痛と痛みを与え続けるそんなイメージを抱いていたのだが実際は違うベクトルの痛みと言うか苦しみを与え続ける物だったようだ。
確かに、どんな狂った者でも永遠に変わらない景色と永遠に続く1人ぼっちを続けていたらそりゃ自我すら消え失せてしまうのかもしれないと思う、と言うか流石に絶対にそれは味わいたくないと思ったので勿論丁重にお断りした。
と言うかそんな所に進んで行きたいと思うほど変態じゃない。
続いて2つ目の球体は安らぎと安寧の世界。
その世界は転生を望まない魂達が漂う世界で、姉神達から送られて来た罪無き意志のある魂達が永遠に漂う世界何だとか。
しいて言うなら、天国と言う物に近い世界で。
地獄にも現世にも何処にも属さない狭間の世界と言う物らしい。
その世界はあらゆる世界に通じていて、そこを覗く事は出来るが自分から干渉する事は出来ないそんな世界何だとか。
ここに来たがる魂は余程の物好きか変わり者と彼女からは聞いた。
まあ、望めばいつでも自分から完全に意志を消滅させる事ができるらしい。
ちなみに、この世界で意志が消滅した空の魂はリサイクルされて新しい器になって何処かの世界に転生するとかなんとか。
まあ、自分でいつでもどのタイミングでもランダムに転生出来る世界と言う事らしい。
勿論、その際に転生ボーナスは何も貰えない。
当たり前と言えば当たり前なのだが。
少しだけ迷ったが、またランダムに人生が決められると思うと、後の自分の次の器の魂に申し訳ない気持ちもあったのでそれは丁寧に断った。
そして、最後の3つ目の球体が目の前まで近付くとその場で留まりゆっくりと回りだす。
3つ目の球体は美しく輝く天体が無数に光り輝き、その中には何処かで見たことがある色鮮やかな天体がひときわ目を引いた、その星は前の世界で言う地球に非常によく似た星だった。
勿論、全部が全部同じではなく、所々見たことがない星も沢山あったがそのどれもが色鮮やかな星ぼしだった。
その鮮やかさに目を奪われていると彼女が一瞬微笑むとその球体を指差しこう言う。

黒髪の美女『そして、それが私が管轄している世界で唯一生き物が居る世界じゃ。まあ、人間はおらんがな(笑)』

そう言うと彼女は此方を見てどうする?と急かす様なそぶりを見せた。
どうするもこうするも、最後の世界以外は選択肢に入らないんだが、と内心思いつつ恐る恐る訪ねる。

信士『あ、あの!人間以外って動物とか植物だけとか言う事ですか?そ、それともロボットって言うか、機械生命体みたいなヤツしか居ないとか!?』

前世で大好きだった美少女アンドロイドやSFチックな世界を想像してついつい、テイションが上がって声が上ずる。
機械生命体とか、最高かよ!!と内心ワクワクしながら彼女の返事を待つ。

黒髪の美女『?そんな物はおらんぞ?期待させて悪いが、動物と植物、あとは魔物じゃな。』

信士『え?ま、魔物!?それってあの魔物?』

するといい加減に痺れを切らしたのか、急に彼女が急かしてくる。

黒髪の美女『、、、うむ。お主が知っている魔物がどういったものなのかはわからんが魔物は魔物じゃ。、、、、ええい!!さっさと選らんばんかい!!こっちもそんなに暇では無いのだ!ほれ、後ろを見てみぃ!!』

そう言われて、後ろを振り向く。
1度見ているのでそんなに急かさなくてもと内心では思いつつも、ゆっくり振り返るとそこは先程までの様子を遥かに越えた景色が目に映った。
あれだけ綺麗に1列に並んでいたあの黒い何かがギュウギュウになり、最早列を成していない。
今にも此方側になだれこんでくるほどに異常で不気味な数になっていた。
今は透明な何かがそれを塞き止めてくれているが今にも破って迫ってくる勢いである。

信士『ちょっ!!?こわぁ!!?ヤバ過ぎなんですけど!!どうなってんですか!?』

すると彼女が少しだけ不機嫌そうに答えてくれる。

黒髪の美女『ここは魂が辿り着く場所、こうして喋ってる間にも数多の世界から次々と魂が送られてくるのじゃ。しかも、どれもこれも邪悪な魂がの。あれに少しでも触れようなら、お主は正気では居られなくなるぞ。だから、早く選ぶのじゃ!!』

と、しかしそう言われてもそもそも俺がここに居るのは神様達の手違いだしそれはちょっと強引なんじゃとか言いそうになるが、彼女の不機嫌極まった顔にビビって直ぐに考え直し、俺は3つ目の世界を指差して頭を下げつつ声を張って答えた。

信士『み、3つ目の世界が良いです!!いや、それでお願い致します!!!。』

すると、彼女は溜め息を吐きつつ、頷く。

黒髪の美女『うむ。素直で宜しい!!最初から素直に決めていれば強く言わぬのに。まあ、良いだろう。お主にはこれを授ける。そして、あとはその子を通して後日詳しく説明してやろう。』

そう言うと、彼女はおもむろに自らの身体を千切って此方に投げて寄越す。
俺はその千切られた部分を見て内心驚きを隠せなかった。


そう、投げ付けられたそれは千切られた彼女の片乳だったのだ。



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