欧州バスケ界に変化の兆しか バスケットボール・チャンピオンズリーグへ参入するクラブが続出+背景事情
新型ウイルスの影響はバスケットボールにおいても色濃く影響があり、特に欧州主要リーグでもシーズン打ち切りが続きました。
なかなか先の見通しを立てるのも難しい状況下ではありますが、20-21シーズンのバスケットボール・チャンピオンズリーグ(以下BCL)へ参入する有力クラブが続出してきました。今回はそのニュースについて語ります。
①欧州バスケの各種大会について
あまり欧州バスケについて詳しくない人に向けて少し解説しますが、ヨーロッパのバスケではユーロリーグが一番の主要大会として存在しています。
一方でFIBAによる大会として設立されたのがBCL。ここまでに至る経緯については長くなるので割愛させてもらいますが、一般的にBCLはユーロリーグと比較して下位のリーグであるというのが業界内での認識でした。
②有力クラブの参入とその裏事情
ところが、来期に向けての参加チームのアナウンスにおいてガラタサライ、トファス、ダルサファカ、リータスといったユーロリーグ参加経験も持つ(トファスのみユーロリーグ経験なし)有力クラブがユーロカップからBCLへと次々と"移籍"を発表。
これらのクラブはユーロリーグにこそ定着はしていないものの、国内リーグではエフェスやフェネルバフチェ、ジャルギリスといったナンバー1クラブに次ぐ第二勢力として位置づけられています。
そういったクラブがBCLに移った大きな理由として、BCLを主管するFIBAから多額の資金が提示されたという背景・実情がありました。
何より新型ウイルスによる影響は欧州クラブの経営面においても影響は強く、少しでも財政的に魅力ある条件ならばという理由でBCLへ移ったのではないか、という見方もできます(EUROHOOPSの記事より)。
(レバンガ北海道でもプレーしていたグレッグ・ウィッティントンも在籍するガラタサライ。トルコでは第二勢力的な位置づけではあるが15-16シーズンのユーロカップにて優勝の実績がある。)
③影響は名門パナシナイコスにも及ぶ
パナシナイコスといえば欧州のビッグクラブの一つでもあり、ユーロリーグでも長く戦っているクラブで、日本のバスケファンのでもその名前や影響力を知る人も多いと思いますが、つい先日会見を行いクラブの現状について説明しました。
様々な話がありましたが、オーナーのジャンナコプーロスからは財政状況の悪化が強くクラブを売却することを望んでいるという話が大きく報じられました。
一方で財政的なメリット・条件を考慮の上で新経営陣によってのBCLへの"移籍"を希望していると発言がありました。かねてからパナシナイコス(ジャンナコプーロス)はユーロリーグ(とプレジデントのバルメトウ)と関係悪化しているというニュースはよく聞かれており、リーグから離脱するのではないかという噂も流れていました。
とはいえ業界内では老舗でもあり、欧州バスケ全体においても影響力のあるパナシナイコスがBCLへ移る可能性があるというニュースはなかなかのインパクトある一報で、欧州バスケ業界にまた新たな変化が起きるのではという兆しの一つと捉えることもできます。
(世界中のバスケファンからの知名度も高いパナシナイコス。ユーロリーグからBCLの移籍の実現は近いのか。)
④ユーロカップは”Third Division"になるのか?
今回の有力クラブのBCL参入続出の影響を大きく受けそうなのが、参加クラブの離脱が相次いだユーロカップでしょう。
元々これまではBCLと同格レベルではないかとも比較されてきたユーロカップですが、財政的な面も含めてリーグ立ち上げから底上げ・レベルアップが続くBCLとの競争に負けそうな見向きも出てきました。
優勝チームはユーロリーグへ参加できるというメリットが大きいというのがこれまでの各クラブの考えではありましたが、離脱クラブの続出に加えパルチザンまでもクラブ内からは財政的に魅力的なBCLへ移るべきという声も大きかったという実情がありました(その後パルチザンはユーロカップに残ることを発表)。
現地時間の月曜日頃に20-21シーズンのユーロカップ参加クラブについての発表がされる予定ですが、参加するクラブのレベルにThird Divisionと呼ばれてもやむなしと思えるようなリーグ構成になる可能性もあります。
(出る者がいれば加わる者もあり。ベルギーのアントワープ・ジャイアンツには逆にBCLからユーロカップへの移籍・出戻りの噂がある。)
まとめ・総評
新型ウイルスによる影響・財政的な事情であったり、各クラブの相次ぐBCL移籍に引っ張られる形で勢力図や力関係に変化が見られそうな欧州バスケット業界。
一つ二つ大きなクラブが動けば、その影響を受けて玉突きのように連動した動き・変化が見られるのはバスケットだけでなく多くのプロスポーツでも見られる光景ではありますが、着実と欧州バスケにおいても時代や勢力図の変化を、ひしひしと感じるニュースであるなと今回のユーロカップ→BCLへの各クラブ移籍劇を見て思いました。