子守唄の話 (幼い日のメモリー)
久々に実家に嫁と帰った。
おかんたちと一緒に飯を食ってたら、おかんの思い出話が始まった………
あれは俺が幼い頃………
俺はあまり覚えていないが、幼稚園で何かあり、落ち込んで帰ってきて元気がなかったらしい。
おかんは心配したそうだ。
そして、夜………
やはり元気のない俺…
布団にはいっても寝つけなかったそうだ。
おかんは心配して子守唄を歌ったとのこと。
「ねぇ~むれ~ねぇ~むれ~母の胸~に~ねぇ~むれ~ねぇ~むれ~あ~し~たは晴れだ~」
俺はシクシク泣いていたそうだ……
おかんは「子どもなりに辛いこともあるのねぇ」と気にかけ、俺が寝付くまで歌うことを決意した。
「ねぇ~むれ~ねぇ~むれ~………」
シクシク、シクシク
「タロの助?どうしたの?何か嫌なことがあったの??」
「あああぁぁぁ!!おかんの歌がうるさくて眠れなーーいっっ!!!」
幼い俺は叫んだらしい。
飯を食いながら、おかんが嫁に言う。
「ホントにねぇ、全然可愛くなかったわぁ……」
「それは可愛くないですねぇ」
おかんと嫁は話をしている。おかんは悪びれる様子もない。
おかんは急に何を思ったのか
「ねぇ、みんなで歌いましょうよ!」
と言い出した。
音大卒の嫁は
「それはいいですね!!」
と共感した。
何が良いのか俺には全然分からない。
しかし、おかんと嫁は指パッチンをしながら
「ねぇ~むれ~ねぇ~むれ~……」
と歌いはじめた……
なぜか奥で新聞を読みながら眉間にシワを寄せていたおとんまで立ち上がり歌いはじめた…
「ねぇ~むれ~ねぇ~むれ~あ~し~たは晴れだ~」
なんかクソみたいな合唱が始まった…
そうか、俺が音楽嫌いで、音楽だけ成績悪かったのはこの家庭の影響だったのか……
俺はよく分からん合唱団を家に置いたまま、1人夜のコンビニへと向かった……
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