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声をきかせて〔第12話〕

 
 
 
 仁志氏―護堂副社長に会った翌日、予定通り海外営業部向け企画の打ち合わせが行なわれた。今回は企画室一同と主だった営業一同が出席している。

 一連の企画会議が始まってから、既に何度も説明会や打ち合わせを行なっているものの、相変わらず営業サイドからはリスクに対する懸念が多く、永田室長も毎日のように対応に追われていた。

 しかし、今日の打ち合わせで承認を得られれば、土曜日には他の役員も出席する、実質的な決定会になだれ込む予定になっている。企画を形として動かすための、今日はある意味、勝負と言える。

 ぼくは、元々営業側だった立場から、営業が感じているリスクに関する懸念の聞き取り、そして回避の説明、誤解の解消に特に重点を置き、今回、最終的な話を組み立てた。その作業に於いて、雪村さんの力は本当に大きかったと実感する。

 それにしても、この白熱感。すごい熱気だった。

 常である営業サイドからの突っ込み、ともすれば攻撃、ではあるけれど。企画説明において、この時ばかりは片桐課長が一番の難敵だ、と思う。本当に容赦がない。それが営業のトップたる所以なのだが、普段の課長のつもりで相対すると、受けるダメージが半端でないことは身に沁みている。

 と言うか、ぼくが企画室に異動になってから、海外営業部への全地域合同の企画は今回が初めてで、地域別の企画に於いてはいつも、課長が出席するようなプレゼンに発展する前に却下されてお流れ……と言うのが常だった。課長とは、小さなミーティングレベルの話し合いは何度もしたことがあっても、今回のような大きな打ち合わせは初めてと言える。

 しかしそのミーティングですら、別人なのではないかという変わりようで、営業部で課長の元にいた頃は頼もしく感じていたが、相対するようになってからは恐ろしい相手以外の何者でもなかった。

 課長が普段の業務でも時々見せるこの様子。根本先輩はもう慣れているようだが、朽木くんが初めて見る課長の様子に引き気味になっている。あの彼でも慄くほど凄まじい課長の姿。さすがに『営業部の虎』と評されるだけのことはある。個人的には課長は『虎』というより『豹』のイメージなのだが……と、そんなことを考えている場合ではない。

 しかも今回、そこに片桐課長を援護射撃するかのように欧州部の北条くんが加わった。彼は欧州部の中では若い方に入るが、営業的にはトップと言える。課長とはタイプが違うのだが、坦々とした理論展開には定評があった。

 この展開、正直、以前のぼくだけではかなり厳しい状況ではあるが、この企画は退くわけには行かない。海外営業部に提案した前2つの企画は、両方とも片桐課長に却下されたようなものだ。練りに練った今回の企画は得心させたい。

 雪村さんと散々練った資料を元に、ひとつひとつ丁寧に説明し、そして答えていく。とにかく考えつく限りの、ありとあらゆる反論を想定したつもりでも、しつくせていないのが現実であり、営業側はそこを突いて来る。如何に穴の数を減らせるか、小さく出来るかが勝負の分かれ目になるため、本当に野島くんたちにもずいぶん頑張ってもらったのだ。

 片桐課長は納得さえしてくれれば後は早い人だ。課長を納得させることが出来れば、恐らく北条くんも。

 そんな緊迫した状況の中……なのに、ぼくは久しぶりの課長との議論を半分楽しんでもいた。この手応えを感じるということは、逆に望みがある、ということでもあるからだ。望みがなければ、課長はバッサリと切り捨てているはずなのだから。

 それにしても、営業部でずっと、課長のこの姿を追って行きたかった、とつくづく思う。まさか課長を説得する側に廻るとは。

 それでも、今の目標は課長を納得させる企画の稼動。もう、ほとんど課長と北条くんしか言葉を発さず、他の営業たちは資料を見たり、課長やぼくの発言に頷いたり首を捻ったりしている状態だった。

「……では、もうひとつ確認したいのですが、この資料11ページの件ですが……」

「はい。これに関しては……」

 そんな感じでやり取りが続く中、ぼくが話している途中で、雪村さんが横から補足の説明を差し込んでくれる。そして━。

「……よくわかりました。米州部からは以上です」

 何故だか嬉しそうな課長の言葉に、身体中の緊張が途切れたような感覚。

「他に何かご質問やご意見はありますでしょうか」

 ぼくの脱力を知ってか知らずか、雪村さんが横から付け足してくれた。誰も挙手する様子はなく、シンと静まりかえる。

 それを見計らい、永田室長が立ち上がった。

「今回の企画について、土曜日の決定会議に持ち込みと言うことで反対ご意見はありませんか」

 ぼくたちも息を飲んで身構えるが、誰ひとり、異論を唱える様子はない。

「それでは、本日を以て協議については終了させて戴きます。土曜日の確定後については、また新たに具体的な日程調整のご連絡を致します。以上です」

 全員が一斉に立ち上がり、一礼する。

 営業の面々が解散していく様子を眺めながら、とりあえず終わった、とホッと息を吐き出す。野島くんたち他のメンバーにも微かに笑顔が浮かぶ。すると、片桐課長が近づいて来て本当に嬉しそうに言った。

「藤堂くん、おつかれ。見事だったよ。実際に動き出すのが楽しみだ」

「ありがとうございます。……課長の情け容赦のない攻撃に満身創痍でヘトヘトですよ」

 笑いながら、冗談のように言ったもののほとんど本音だ。

「何、言ってるんだ。きみが営業でもあれくらい言うだろう。ま、今日は北条くんもかなり本気だったからな」

 ニヤリとしながら返された。確かに営業部に残っていれば、そうなっていたかも知れないが、やはり何事もその立場になってみなければわからないものだ、と実感する。

「雪村さんもお疲れさま。始動を楽しみにしているよ」

「はい。お疲れさまでした」

 雪村さんの挨拶に送られ、片桐課長は営業部に戻って行った。ぼくたちも企画室へと戻る。

「皆、お疲れさま。これで土曜日の決定会議に持ち込める。本当によく頑張ってくれたね」

 永田室長から激励の言葉をかけられた。が、まだ終わった訳ではない。さっそく、土曜日の準備に取りかかる。具体的には、今日の話し合いのまとめのようなものだが、さらにわかりやすく要点をまとめ、事項の補填を行なった。

 概ね作業が済んだところで、ぼくは他のメンバーを早めに帰宅させた。恐らく今日は疲れたことだろう。まだ明日もやることが山積みだし、土曜日の大一番も残っているのだから、せめて今日は休んでおいてもらわなければ。

 ひとり残り、資料の確認と手直しをしていると携帯電話にメールが入った。片桐課長からのそのメールには、

『専務から連絡があった。村瀬のことは話が付いたそうだ』

 それだけ書かれていた。

 専務たちがどんな風に話を付けたのか気にはなったが、とりあえず落ち着いたのならその詳細を訊くのは決定会が終わってからで問題ない。ひとつ心配事がなくなり、ぼくは思わずホッと息を吐き出した。……と、その時、人の気配を感じて扉の方に目をやったぼくは、一瞬、自分の目が信じられなかった。

 扉を開けて静かに入って来たのは、他の皆と同じようなタイミングで帰ったはずの雪村さんだった。驚きのあまり声が出ない。

「……雪村さん?どうしたの?皆と一緒に帰ったんじゃ……忘れ物でもした?」

 やっとのことでそれだけ言うと、雪村さんはいつものように返事代わりの会釈のように睫毛を伏せてから目を開け、ぼくの方に近づいて来た。すぐ目の前まで来ると、手に持っていた紙袋をそっとぼくに差し出す。

「あの……お食事がまだでしたら、軽いものですが、これ……。時間がなくて……近くで買ったものですけど。よろしければ……」

 精一杯、言葉を発しようとしてくれている彼女の姿に、ぼくは再び言葉を失った。

「……サンドイッチなんですけど……お嫌いでなければ」

 我に返り、紙袋を受け取る。まるで好きな女の子に初めてチョコレートをもらった中学生のような自分に可笑しくなる。

「……ありがとう。……このためにわざわざ……?」

「あの……帰りがけにたまたまアジア部の今井さんと会って。ここのサンドイッチが美味しい、と教えて戴いたので……」

 全然、ぼくの質問の答えにはなっていなかったが。確かに袋を見ると、以前、今井さんに泣き言を聞いてもらった時、ごちそうになった店の袋だった。

「ありがとう。さっそく戴くよ」

 そうは言ったものの、机の上は資料が山積みでスゴい有り様だった。かと言って触ると訳がわからなくなりそうなので、ミーティングルームを借りることにした。パソコンのバックアップをして、画面を暗くする。

「気をつけて帰って」

 ぼくの言葉に、雪村さんは、一瞬、間を置き、

「あの……コーヒー入れますね」

 躊躇いがちにそう言って給湯室に行こうとする。

「そんな、いいよ。自分でやるし……何なら自販機で買って来るから……」

 慌てて止めようとするも、

「いえ、すぐですから」

 足早に給湯室へと去って行く。その後ろ姿を見ながら、手の中にある紙袋を強く握る。何がどうして、こうなったんだろう。予想外だった突然の出来事に混乱していたぼくは、紙袋を握ったままミーティングルームへと入る。

 取り出したサンドイッチは、ハム・チーズ・野菜のシンプルなものと、タマゴサラダやポテトサラダなどがミックスされた具だくさんのもの。好みがわからない時の無難な選択と言える。

 ありがたく食べ始めると、やはりここのサンドイッチを美味しいと感じたのは間違いではなかった、と再認識する。さすがに今井さんのように4個も食べられるかは自信ないが、と思い出し笑いがこみ上げた。

 少しすると、ノックの音がしてカップを持った雪村さんが入って来た。ぼくの前にカップを置き、小さく会釈する。

「ありがとう。美味しいよ。とても」

「そうですか。良かったです」

 帰ろうともせずに、そのまま立ち尽くしている彼女を不思議に思いながらも、傍にいてくれる安心感を自ら壊すのがもったいなくて、気づかないふりをして食事を続ける。……と、彼女が控えめに声を発する。

「あの……」

「うん?」

 サンドイッチの最後のひと口を飲み込む。

「営業部向けの説明会のことですが……」

「うん」

 包み紙を潰して紙袋にまとめ、彼女が入れてくれたコーヒーをひと口含んだ。

「国内外向けを問わず、営業部向けの説明会において、かつて営業部に所属していらしたことは……やはりご自分でも役に立っている……と思われますか?」

 ありがちな質問ではある。が、彼女から、としては意外な質問だった。直接、業務の内容に関わらないような話を振られた記憶はほとんどなかったし、人のそう言う背景にあまり関心があるような様子もなかったから、なのだが。

「……そうだね。向き不向きは別として、どんな部署にしろ実際に経験してみないとわからないものだ、と言う点に於いては……ね。そう言う意味では、企画を立ち上げる立場になる前に、その企画を実行する側の視点を垣間見れたことは役に立っている、とは思う」

 彼女は黙ってぼくの話に耳を傾けていた。

「両者の立場がわかってしまうことで、却ってキツい場合もあるけどね」

 これは本当にイヤと言うほど実感した。はじめの頃は、営業の立場ばかりが頭に立ち、経営面から見てどうにもならない案を思いついたりしたし、逆に上層部からのムチャクチャな話をまとめられず、営業側……主に片桐課長にメッタ切りにされた企画もある。思い出しても苦い経験だ。

「雪村さんも総合部に所属していたことで、そこから気づいたことや改善点があれば提案して欲しいと思う。違う視点からの指摘なくして、進歩も変化も望めないから」

「……………………」

 ぼくのその言葉に、雪村さんは何故か戸惑うような反応を見せた。何だろう?何か様子がおかしい。

「雪村さん?何か……あった?」

 眉にピクリと反応があったものの、それ以上の変化を見せようとしない。

「いえ……ありがとうございました」

 そう言って空になったコーヒーカップを取り、退室しようとする。ぼくは立ち上がり、とっさに彼女の腕を掴んだ。掴んだ腕がぼくの手の平に丸ごと納まり、その華奢さに一瞬、慄く。……が。

「雪村さん?何があった?」

「……何も………………何もありません」

 少し俯きかげんで小さく答える。ぼくの勢いに驚いたのか、ぼくの目を見ようとしない。驚いたにしても、こんな彼女は初めてだった。この様子は、村瀬の件で彼女を問い詰めた時とも違っている。

「何もないなら、ちゃんとこっちを……ぼくを見て」

 躊躇いがちに顔を上げるが、微妙に目を逸らしたままの状態だった。顔を覗き込むと、目を合わせないように顔を逸らす。瞬きをせずに一点に置いたその瞳が揺れていた。

「雪村さん?」

「……………………」

 どうしたって彼女から話すことはなさそうだ。かと言って、こんな状態で帰す訳にも行かないような気がする。ぼくは一か八かの賭けに出てみることにした。彼女にとっても、ぼくにとっても、大爆発になるかもしれない起爆剤を。

 迷いながら。それでもぼくは、出来るだけ普段通りの声で切り出した。

「雪村さん。ぼくは昨日……正確には昨日は2回目だけど、きみの義理のお兄さんにお会いした」

 ━━━瞬間。

「……………………!」

 彼女の身体が痙攣したかのように反応した。コーヒーカップを持っていた指から力が失われ、樹脂で覆われたミーティングルームの床材が鈍い音を反射させる。かつて見たことがないくらいに瞳が見開かれ、その双眸が放つ光がぼくの目を直撃した。

 その身体は微動だにせず、ぼくの目を見つめたまま唇だけを微かに震わせている。まるで瞬きを忘れてしまったかのようだった。

 そのまま数刻。

「……何故……義兄(あに)を知って……」

 消え入りそうな声で、それだけをやっとのことで絞り出したようだった。正直、ぼくもこれほどの衝撃を受けるとは思っていなかったが。

「米州部の片桐課長は社長や専務と懇意なんだ。ぼくは元々課長の元にいたし、企画に配属された頃も、少しの間だったけど、専務が企画部の責任者も兼ねていたから……」

 その瞳がぼくの目を凝視したまま微動だにしない。掴んだ腕からだけ、小刻みに震えているのが伝わって来る。タイミングを誤っただろうか。だが、ここまで言ってしまって、今さら中途半端で済ませる訳には行かない。

「雪村さん。ぼくが言いたいことと、きみのご家族のことはこの際あまり関係がない。前にも言ったと思うけど、ぼくが知りたいのはきみ自身のことだ」

 彼女はひと言も発さず、ピクリとも動かず、ただ、ぼくの顔を見つめている。全ての機能がストップしてしまったかのように。瞳だけが揺れ、それが却って激しい動揺を感じさせる。

「きみは何故、ひとりで全部抱えようとするの?ぼくには、きみが自分の全てを犠牲にしてまで隠さなければならないことなんて、存在するとは思えない。お義兄さんも同じことを言っていた……」

 見る見るうちに彼女の顔は真っ青を通り越して真っ白になっていた。普段の白さではない、病的なまでに血の気が引いたような、全ての色を失ったような。

「……義兄は……義兄は……あなたに何を……」

 震えながら問う声が掠れている。仁志氏がぼくに、彼女が知られたくない何かを話したと思っているようだ。

「……何も。きみとの関係以外は。きみが隠していることには一切触れなかった。ただ、きみがひとりで全てを抱えていること、きみが自分たちに心を許してくれないこと、を寂しがっていた。きみには何の罪もないのに、と」

 彼女の足が一歩後退した。心ごと、逃げようとしている気配が感じられる。ぼくは腕を握っている手に力を込めた。

「きみが抱えているものは、いったい何?……ぼくに話してほしい。どんなことであっても……」

「……………………!」

 彼女は弾かれたように逃げようとしたが、ぼくは掴んだ腕を放さなかった。完全に顔を逸らしてしまっているが、髪の毛で半分隠れていても、その動揺は隠せていない。

「……や……放して……放してください、主任……!」

 必死で逃れようともがき、掴まれていない方の腕でぼくを押し戻そうとする。ぼくがもう片方の手も掴むと、両腕を上げ顔を隠すようにして俯いた。

「放さない!逃げないで……ちゃんとぼくを見て……!」

 それでも彼女は顔を上げようとはしなかった。俯いた顔は流れた髪の毛で覆われ、ほとんど表情もわからない。

「雪村さん。顔を上げて……ぼくを見て」

 彼女が必死に気持ちを落ち着けているのが感じられる。

「雪村さん」

 少しの間の後、観念したかのようにゆっくりと、顔を上げる。だけど、必死にこちらに向けた視線は焦点が揺れて定まらないかのようだった。初めて見る、キュッと唇を噛み締めた今にも泣きそうな表情が、堪らなくぼくの心を刺激する。

「ぼくでは……ダメ?」

 彼女の瞳が少し拡大し、息を飲むのがわかった。

「ぼくは、きみが……」

「…………いで……さ……」

 再び俯いてしまった彼女の口から、ぼくの言葉を遮るような微かな呟きが洩れ、聞き逃すまいと思わず言葉をとめる。

「…………言わな……くださ……それ以上…………」

 ぼくは一瞬、躊躇った。……が。

「言わないで……わかってくれるの?……違うよね。きみが言葉にしてくれなければわからないのと同じように……」

 頭(かぶり)を振りながら「……お願い……もう……」と繰り返す。

「雪村さん。ぼくは、きみが何を抱えているにしても、もう退くつもりはない」

 彼女が顔を僅かに上げ、頼りなげな瞳をぼくに向ける。

「ちゃんと、納得できるように話して」

 彼女は強く目を伏せた。握った腕から強い震えを感じる。

「…………が……いる……す」

「……え……?」

 次の瞬間。

「……大切な人がいるんです……!」

 吸い込んだ息を一気に吐き出すように、彼女は小さく叫んだ。ぼくの思考が停止する。

「……誰よりも大切に思う人……何よりも絶対に傷つけたくない人……」

 彼女の声が遠くでこだますように聞こえる。

「……その人にだけは……知られたくないんです……!」

 叫ぶなり、彼女はぼくの腕を振り解き、ミーティングルームの扉を開け放って駆け去った。

「……誰よりも……大切な……人……?」

 ぼくは呆然としたまま、床に転がったコーヒーカップを見つめる。
 


 

 今度こそ、完膚なきまでフラれたか……。ぼんやりと駅のベンチに座り、情けなさに頭を抱える思い。完全に失敗した。焦り過ぎた。

 ここからの起死回生が果たして叶うだろうか。

 本当に頭を抱えたぼくの耳に。

「藤堂くんっ!?」

 再び聞こえた、神の如き覚えのある声に、ゆっくりと顔を上げる。

 霧がかかったような視界の中、そこには、見たことがないくらいに驚いた表情を浮かべた今井さんの顔。━そして。

「……藤堂……」

 同じく、見たこともないような表情の片桐課長。

 並んで立っている二人が、ぼくの顔を信じられないものを見たような表情で見ているのがわかった。
 
 
 

 ━━━その後のことは覚えていない。
 
 
 
 
 
~つづく~
 
 
 
 
 
 
 

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