見出し画像

シャンカラと唯識派──仏教とヴェーダーンタの思想的交差

1. シャンカラについて

隠れた仏教徒
シャンカラ(Shankara)は、アドヴァイタ・ヴェーダーンタの哲学者として知られていますが、彼が「隠れた仏教徒」と言われることがあります。これは、彼の思想が大乗仏教、特に唯識派や空の思想と類似している点に起因しています。シャンカラは、現象世界の本質を認識のプロセスと結びつける見解を持っており、これが仏教思想と重なる部分を持っています。

2. 唯識について

識の概念
唯識派は、すべての現象は心(識)によって構成されているという考え方を持ちます。ただし、最終的には「識」自体も幻想であり、実体を持たないという理解に至ることが重要です。つまり、最終的な真理においては、識さえも存在しないという立場に達するのです。

3. ナーガルジュナと唯識

空の思想
唯識派はナーガルジュナの「空」の思想を深化させたと言えます。ナーガルジュナは、すべての存在が相互依存的であり、独立した実体を持たないことを示す「空」の概念を提唱しました。唯識派はこの空の思想を受け入れつつ、心の働きを中心に据え、認識のプロセスを深く掘り下げました。

いいなと思ったら応援しよう!