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ONI - 空と風の哀歌(感想/ネタバレ薄)

※厳しいこと書いてますので本当に閲覧注意※

画像リンクは公式サイトへ

ジャンル:3Dアクション
プラットフォーム:Steam、Nintendo Switch、PS5/4
発売日:2023年3月9日
開発:KENEI DESIGN, SHUEISHA GAMES
販売:Clouded Leopard Entertainment


評価

5段階評価:1
素材はいいが、まとめきれておらず
ユーザー側への配慮が部分部分で欠如している


自身のプレイ環境はPS5。
クリア済で、実績は宝箱全回収のみ残っている状況。
ガイドラインに現在記載されている以上の文面及び画像は載せず、
ネタバレを含まないようにしますが、システム面で触れているかも。


ゲームの評価はどのように決まるのでしょうか?何を基準にしているのでしょうか?レビューを書くにあたり、今一度考えて思ったことは、販売前の期待値を実際にプレイした時に超えるのか、超えないのかが基準になるのではないかと思います。勿論、全く知らずに購入した場合は別物ですが。
 
なぜレビュー前にそんな事をわざわざ書いたのかというと、本作品は発売前に多数の情報がメディアに取り上げられており、注目度が高かった。そしていざ発売してプレイしてみると「ん?」といった箇所が点在しており、上記評価となりました。期待値というのは良くも悪くも基準になると思ったからです。ということで、以下徒然続きます。


ストーリー

鬼ヶ島の戦いでひとり生き残った小鬼の空太。
かつて桃太郎に敗れた鬼達の魂が彷徨う島で、不思議な精霊風丸とともに、強くなるための試練に挑む。
すべては、人にして悪鬼、桃太郎を倒すために…。

公式より

主人公の空太は、無口な印象があるかもしれませんが、登場人物同士の間では意外にもおしゃべりな一面があります。ただし、その会話内容は描画されません。しかし、空太が表情豊かに動く姿を見ることができるため、とても愛らしい印象を受けます。

風丸は突然現れてサポートについてきてくれる詳細不明の幽霊。

英語紹介だと"Ghost of oni"

叶渚(かんな)は何故か鬼世島にいる少女。

ここがどんな島で、なぜここにいるのか自分でもわかっていない

このゲームでは、登場人物たち(および桃太郎)が物語の中心となっています。物語の進行には、会話が重要な役割を果たしており、その内容はとてもほのぼのとしています。ただ、話が進んでいるのか強くなっているのかは、あいまいな雰囲気があります。演出は面白く、ナレーションの文字が一定時間ゲーム内に残ったり、イメージ画像も同様に一定時間残るという斬新な手法が採用されています。

ナレーション文字
残ったままのイメージ映像

ゲームの会話パートでは、詳細な情報はあまり語られませんが、島に落ちている「DIARY」には、少しは補填される情報があります。

島に落ちている光から取得する"DIARY"

ただし、物語の結末は予想外で、EDに至った瞬間には「は?」と言葉を発してしまいました。

グラフィック

グラフィックやキャラクターデザインは、古風な世界観と調和しており、非常に素晴らしいと感じました。

遠くに見える鬼ヶ島

演出の一環として、画面には常に光の点が描画されており、気になる人もいるかもしれません。

画面の周囲にぽつぽつある光

キャラクターの描画は非常に優れており、動きや質感も作品の世界観と調和していました。

おすそ分け空太
ドアップ叶渚

音楽

この作品のBGMには賛否両論があると思います。多くのBGMには歌詞が含まれており、MAP移動中も声が含まれたBGMが続いています。しかも、歌詞は英語。作品のテーマとの関連性を考慮すると、個人的にはあまり合わないように感じました。この癖が強めの雰囲気は、好きな人には心に残るものになるかもしれませんが、作品との連動を重視する人にとっては不向きかもしれません。また、フィールド曲であるため、長時間聴き続けると飽きてしまうかもしれません。

そこまで悪い評価じゃないのでは?と思うじゃないですか、ここまでは

システム面

私がこの作品を低く評価する理由として、以下に記していくものが要因です。私が感じたのは、ユーザーが楽しめるような配慮が不足しているということです。つまり、ユーザビリティが低いということです。この作品にはやりたいことを詰め込みすぎた結果が現れているのかもしれませんが、表現が難しいです。

ゲーム内説明(冒頭)

鬼世島に着いた直後から自由に行動できますが、この時点でキノコを入手できます。ただし、キノコに関する説明はまだありません。大量に出てくるため、通貨用のアイテムだろうと予想されますが、最初に「?」と思わせられる導入です。20分ほど進むと、説明が出てきます。

宝箱にも入っているキノコ

ゲーム内説明(アクション)

試練が始まると肝心な3Dアクションが始まります。
攻撃ボタンでの攻撃が基本行動ですが、3回押すと連続攻撃になることについては説明がありません。わかるよね?という感じ。

画面はPSのものなので攻撃は□ボタン

ストーリーを進めると、武器を購入して装備を切り替えることができます。ただし、変化があるのは3回連続攻撃後に追加で出せるアクションのみであり、それに関する説明はないため、分かりにくいと感じました。また、武器を変えても威力に変化はないことも記述がないため、注意が必要です。

武器の説明

試練を進めると必殺技を習得していくことができますが、どの敵に有効かや、どのタイミングで使うのが良いかなどの指示は特にありません。
ぶっちゃけ使わなくても勝てますが…

必殺技習得時

アクション性

空太と風丸の攻撃、必殺技、心玉の破壊といったアクションの一連の流れについて、やることは基本的に変わらず、新しいアクションは武器のモーション変更や必殺技の追加程度です。そのため、アクションのステップアップ要素はほぼなく、攻撃や回避、心玉の破壊が試練の全ての流れになります。

試練で発生する視点変更

そんな試練の単調さを打破するためか、時折プレイヤーの視点が切り替わる場面があります。

こんな表示が出てきて
上から視点になったり
横から視点になったり

正直に言うと、この仕様は見にくく、遊びにくいと感じました。特に上から視点に至っては、心玉を連続で破壊すると、終了後に画面中央に表示されるCOMBO数でキャラクターが隠れてしまい、視認性が悪くなってしまいます

まだ敵が周りにいるんですけど!

更に横から視点では、左右の移動だけになったのかと思いきや、手前と奥の座標が存在しているようで、左右の向きを切り替えて攻撃しても当たらず、手前や奥側にずれている敵は少しスティックを傾けないと当たらないというパッと見わからない仕様。これも含めて試練なのか。

銭助の関与する試練

また、空太の腐れ縁の商人である銭助が鬼世島に現れ、試練に直接組み込まれることになります。

守護試練

理由の明示(掘り下げ)がこの辺ほしかったかな、と。
鬼の未練で"大切な仲間が守れなかった、お前は守れるのか"みたいな。
そもそも試練って1人で受けるものではなかったんだっけ…?
 
この試練では銭助が攻撃されると悲鳴を上げたり、攻撃が続くと右上のアイコンが赤く染まります。しかし、体力ゲージが表示されているわけではなく、危険度が全く分からず、常に警戒しなければならないのが難点でした。
私は横スクロールの時に1回失敗しました。

叫ぶ銭助

カメラワーク

試練のビュー変更ついでにカメラワークについて。
連続で敵の心玉を破壊した時にかっこよいカットになりますが、場所が悪いとただ見栄えの悪いカットになってしまうのも気になりました。

決まった例
決まらなかった例
(林の中で比較的多い)
決まらなかった例
(銭助お邪魔編)

また、物語の中盤から仲間の「うり坊」というキャラクターに乗って移動することができるようになります。しかし、傾斜のある斜面を移動する際に、カメラが少々揺れるような描画になるのが気になりました。

うり坊移動

他にも、試練中には敵をロックオンする機能がないため、動き回る敵が現れると不便に感じました。また、R3ボタンを押し込むことで空太が向いている方向に視点が移動することを自分で発見しましたが、ゲーム内の説明には"コントローラの操作方法"でも記載されていませんでした。ゲーム内での案内もなかったので、少し不便だったかなと感じました。

コントローラ操作

アクション面でのテンポ

また、先に挙げた心通連撃のカットに関わらず、必殺技を使用するたびに演出が入り、場面が止まるため、テンポの悪さも気になりました。

必殺技発動時
敵が使ってくる試練の場合も勿論ストップ

個人的に、アクションゲームではテンポも重要だと思っています。そのため、必殺技を発動するたびに演出が入って場面が止まるのは、アクションの爽快感が薄れると感じました。更に言うと、必殺技演出中に少し経過すると動けるんですよね。動いて回避されることもあるという…。尚更使う機会が。

敵への対応について

中盤以降に出る人形を操る敵が本当に厄介。

厄介な相手

風丸が敵に関する情報を教えてくれるか、または一度遭遇した敵については情報が得られる仕組みが欲しかったと感じました。

そうじゃないんだよ風丸

この敵は操る人形を全員倒すと本体が出現するのですが、本体を一定時間倒せずにいると再び本体が隠れ、復活した人形が攻撃してくるので非常に面倒でした。また、幽霊のような敵がどう対処すればいいか分からないというシーンもありました。必殺技や有用なアクションの説明があれば、より快適なプレイができたと思います。

UI表示、説明文

ここまでの画像でも気になった方は気になるかもしれませんが、説明やコマンドの端々に英語が含まれているのも個人的には気になる点。ここはコンセプトだったのかなと思いますが、やはりテーマとして日本の昔話なので統一してほしかったな、と。いや、タイトルから片鱗はありましたね。

パンツ
最終決戦
天晴

英語表記も気になるところですが、日本語でも漢字が多用され、ルビが振られていない難解な漢字もあるのが気になりました。この作品は若い年齢層をターゲットからは外していたのかな。

冒頭説明の一部
操作説明の一部
結構文章量も多い

MAP

ゲームのコンセプトとして、"スモールワールド・エンタテインメント"と説明されており、本作は鬼世島内で完結する物語となっています。それ故かゲーム内MAPは存在せず、試練の場所など関係のある場所は記憶しておかなければいけません。ゲーム内収集要素は幾つか存在するため、個人的にMAPは欲しいと思いました。実際、終盤の試練では、表示される文字が見つからずに島を探し回ることになりました。

見渡す鬼世島

また、物語の進行に従って新しいエリアが開放され、行動範囲が広くなっていくのですが、そのエリアに入れない理由については解説がされていないため、掘り下げが欲しいと思います。この島に住んでるNPCが活動制限されているのはおかしいような…

せめて通してあげてモグラ族

魂捕獲作業

このゲームにおいて、最も問題だと感じる要素
進行にも必要となる、体力を上げるための作業がこれ。

門前払い

体力を増やすためには、MAPを彷徨う見えない魂を地道に探し回ってお地蔵様の元まで届ける必要があります。

先に言ってよお地蔵様

まず魂を探すことから大変で、地道にMAP内を捜索し、反応があったら風丸で周囲をスキャンして捕まえる必要があります。空太の移動速度もそこまで早いわけではないため、いかに小さいMAPと言えどあてもなく探し回るのは一苦労。

このスキャンも結構引っかからない

魂も同じ場所に留まっているわけではなさそうで、スキャンしても少しずつずれていく感じがしました。

スキャン成功時

魂を捕獲して一息つくも、地獄はここから

ONIごっこの始まり

魂を捕獲した状態のまま行動していると、時間経過なのか一定確率なのか、「くろん」が出現し、追いかけられます

まさにホラー

くろんの移動速度はこちらより早く追いつかれるため、飛びかかってくるタイミングで回避のアクションが必要になります。
※ちなみに、うり坊には乗れません。乗っていても振り落とされます

回避説明

要石で避難して姿を隠すことは出来ますが、あくまで一時しのぎ。

いわゆるセーフポイント

何が面倒かというと、1体の魂を送り届けたところで体力は増えず、4体集めないと1つ分の体力を増やしてくれないことにあります。
最初にまず2つ分の体力を増やすことを求められるのですが、この時点でも大変さにプレイする誰もが気づくはず。
MAP上のどこかにいる魂を足で探して捕獲→戻る際にくろんが出現して回避しながらお地蔵様のところまで運ぶ→といった繰り返しがただただ面倒な作業となっています。
くろんの出現時と退場時に演出が逐一入ることや、攻撃を回避するアクション全てに時間がかかることもあり、正直ウンザリします。
さらには、活動エリアが増えるとくろんの数が増えます。

まさに地獄

攻撃タイミングが揃うなんてやさしいことはなく、ずれて攻撃してくるため、回避してすぐ回避するなんてことをしなきゃいけなかったりでこのBGM含めて嫌いになります。
私はマメにこの作業を繰り返して体力を増やしていましたが、おそらくボス戦毎に体力を一定まであげていないとこの作業を強いられていたのではないかと思います。
 
このような作業を求められる場合、この一連の作業を楽しんで行えるような動機づけがほしいと強く思いました。
典型的ですが例をあげると、『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の祠も、祠自体を見つけてクリアする楽しみと得られる証からハートの器で成長できるといったように、作業を作業と思わないような要素を組み合わせて作られている動機づけが。


ここまで長々と書いてきましたが、以上がこのゲームの評価を決めた要因です。グラフィックや物語のバックボーン、コンセプトなど、良い点はあるのですが、やりたい事を詰め込みすぎてうまくまとまりきらず、ユーザーへの配慮部分が不足する結果になったのでは、と感じます。
 
もう少し、評価要素となる元を考えるとしたら、"集英社ゲームクリエイターズCAMP"作品の為、メディア露出で強く期待されすぎてしまった作品故にハードルが高くなっていたのかもしれません。加えてコンシューマ版展開を手広くした結果なのか、強気の値段設定(DL版:3850円)もこの出来から考えるとどうしても高く感じてしまう。2000円位だったらここまで色々自分でも書かなかったかなと思います。

以上、最後までプレイした1ユーザーの感想でした。

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