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シンスメモリーズ 星天の下で クリア感想

 先日にswitch版にて全ルート読破したので、記憶が新しいうちに感想を。過去作はInnocent Fille(以下、前作と呼称)のみプレイ済み。尚、レビュー読み直してみると、攻略ルートによってはネタバレ込みで不満たらたらな感じで書いてあるので要注意。

 まぁなんて言うか、クリアして浮かんだ言葉は練り込み不足、尺不足か?だった。選択肢によるゲーム性がほぼないので、シナリオにどうしても注目してしまうから尚更。特に恋愛要素のあるシリーズだと思っているのだが、今作はそこが薄めになっている。


プロローグ(序盤)

 序盤の掴みはそこそこ良かった。交通事故で亡くなった兄のために親が営む自営業の何でも屋を通じて同じ存在になろうとする主人公が、あるルートでは兄に関係するヒロインと関わり、あるルートでは幼なじみの祖父に縁のある場所での出来事に関わり、あるルートでは日本へと渡った酒杯探しに関わり、と気になるピースが散りばめられ先が気になる土台はできていたように思う。

 ただ、それも幼なじみの祖父の旧宅をリノベする or 酒杯探しをするのどちらかにルート分岐するまで。特に酒杯、あれだけ意味ありげに盛り上げてたのに、何でアイドルの話に変貌すんねん。優梨子ルートが何気に良かったからいいけど。 

各ルート感想(攻略順)

春玉ルート

 中国娘のヒロイン。正論パンチをかます猪突猛進型のあっさりした性格なように紹介されたけど、個人的には単なるKY娘にしか見えず、序盤から自分の中の好感度がよろしくなかったので先に攻略することに。

 酒杯探しを主人公に依頼した張本人でそれが行き詰まる中、もう一人のヒロインである休業中のアイドル・優梨子と出会い、春玉がその子を助けて欲しいと依頼を追加するという流れが個人的になぜ? だったし、そもそも序盤に「何でも屋の仕事だから安請け合いせず金をちゃんと取れ」とか、「受けた仕事は最後まで全うしろ」と正論かました人が、酒杯探しもままならないのに何で気安く依頼を追加するんだろ。多分、中身が別人。

 ここから分岐に入り、春玉とペア組んで優梨子をプロデュースする春玉ルートか、主人公だけで優梨子をプロデュースする優梨子ルートに分かれる。

 んで、春玉ルートなんだが・・・読んでてあまりにも面白くなかったので流し読みをしてしまい、ほぼ覚えていないという。そして最後にサラッと出てくる酒杯。この結末に星天の下で空を仰いだよ、「なんでやねん」という言葉を添えて。

優梨子ルート

 春玉ルートから新たな分岐として攻略する休業中のアイドルであるヒロイン。正直、最初の分岐は酒杯ではなくこれを理由にした方が良かったのでは? と思えるくらいに春玉ルート同様にアイドルのプロデュースをがっつりやるんよな。そして個人的には5人のヒロインのうち、このルートが全体のストーリーのバランスと出来が良かったと思えたシナリオだった。

 主人公と優梨子の関係を繋ぐ主人公の兄の存在、アイドル業に苦悩する優梨子、そんな中で芽生える恋愛感情、とドラマ性もあって良い構成に思えたし、全体的に読み応えはあった。
 
 多分、主人公の欠けた心に寄り添い、且つ主人公がそこから立ち直る描写があるのはこの優梨子ルートだけだと思うし、恋愛もこっちの方がしっかり描かれていると感じた。・・・まぁ、春玉ルートと違って面白かったから、夢中でシナリオを読んでいたためそう思った、というのもあるかもだけど。

陽詩ルート

 幼なじみヒロインのお付きの眼鏡ヒロイン。先の分岐にて旧宅のリノベを選び、更に幼なじみヒロインか陽詩かを選ぶことで分岐する。他のルートは2人のヒロインが1つの共通の話で進むが、このルートだけは独自の話で展開する。

 このルートは、個人的にストーカー等の少しリアリティある話が出てきて年甲斐もなくキツく感じてしまい、そこを恋愛描写とかで中和できたら良かったのだけど、今作はそこは薄めになっているので終始ハラハラする展開に。因みに今作は複数のバッドエンドが存在するのだが大半は陽詩に集中、中には取り返しのつかない結末を迎えるものもあってとても疲れるルートだった。うん、パス。

ちはやルート

 メインヒロインである長髪の幼なじみヒロイン。分岐にて旧宅のリノベを選び、更にちはやと陽詩の分岐でちはやを選び、更にちはやともう1人のメインヒロインの分岐でちはやを選ぶと通れるルート。何気に3回も分岐で選択させられるのはこのヒロインだけだし、各ルートで主人公の隣に立てないことに各々のルートで必ずお気持ち表明してくるのも彼女だけ。トゥルーエンドの締め方的にも、多分ちはやが公式の正妻ポジションということかな?

 このルートでは、ちはやの祖父や主人公の兄等に関する真相が明かされるルートとなっており、そこに父親が政治家ということもあって政争にも巻き込まれる、という話になっている。真相に至るまでは少し長ったらしくもあるが、最後の駆け引きは作中1番読み応えがあって夢中で読んだかな。

 残念な部分としては、中盤くらいから陽詩に指摘されるちはやの欠けている部分は解決になっているのか? と思ったことと、やはり恋愛要素が薄いということか。まぁ、ちはやと主人公はもともと恋をすっ飛ばして愛を育むという関係性だったので、一心同体な付き合いが好きな人ならアリか。個人的にもアリなのだが、だったら幼少期のエピソードで主人公が特別になった経緯がもっと描かれれば良かったのに、と思った。

英ルート

 もう1人のメインヒロインで、OPではセンターに位置する子。センターにいるのに何でちはやを正妻、なんて言ったかと言うとストーリーに中身がなかったせい。

 英ルートの終盤はちはやと同じ話で展開されるために、どちらかのルートを終えればこれは二番煎じだなと思うこと間違いなし。しかも、展開に若干の差異が見えるためにどうしても比較してしまうし、何なら自分は英ルートのほうがダメだと感じた。ちはやと同じ駆け引きが最後に用意されているが、ちはやほどの大立ち回りをしないからか肩透かしを食らってしまった。あと、この子だけ恋仲になってるか疑問を持つくらい恋愛要素が皆無なため、主人公と親子の関係もしくは兄妹になったと説明されても納得いきそう。

総評

 読み物として見ると、もっとここにこういう描写があったらいいのにとか、その展開に持っていくにはちょっと足りないのではとか、何でそんな話になるのかとか、という感じで終始不満を持ちながら読んでいた記憶が。

 ここまで特に言わなかったが、主人公の兄の死に関する設定にも、え?1年だよね?という感じで疑問を持って読んでいた。酒杯探しだってもっと設定を練り込むか、何でも屋という便利設定を生かして展開出来なかったのかなと思った。前作がかなり面白かったからやってみたが、全体的に期待を下回る出来上がりだと感じた。

 とはいえ、優梨子ルートと終盤のちはやルートは良かったと思ってる。何気にU35さんのイラストも良かったと思うし、もっと練り込めばシナリオは良くなったのかなぁ、なんて思った。

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