田舎暮らし⑴ 火について

田舎暮らし⑴ 火について

『火を焚きなさい』
という、山尾三省さんの詩がとても好きで、
居候で薪暮らしをしていた23歳の冬を思い出します。

寒い朝は、
昨晩寝る前に薪ストーブにいれた大きめの広葉樹が、
ほの暖かく残ってくれていて、
杉っ葉を入れると、すぐ火がついて、
「寒い寒い」と言ってるうちに、
部屋がぬくもり始め、
居候先の子どもたちが起き出して、みんなの1日が始まります。


風呂は薪で、ごはんも七輪で炊いていました。
居候始めてまもなく、
一家が数日実家に行くと言って、
一人留守番をした時は、
簡単なごはんとあったかいお風呂を頂くのに3時間。
そのごはんは、今までで一番美味しいわけもなく、
土鍋の火加減や、水加減、改善の余地ばかりでした。

 
ホストファミリーには、
感謝しきれない思いがありますが、

冬の湧き水の冷たさや、
布団に入る頃、庭先で鳴く鹿の声や、
夜明けの空のグラデーションは、

ぼんやり「自然が好き」と言っていた自分に、
色んなことを教えてくれました。

そして、何より、

『火を焚きなさい
 人間の原初の火を焚きなさい』

この時代に、本当にありがたい経験だったし、
そんな場を提供できたらいいなと思っています。

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