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ゆらぎ系インクの魅力

ゆらぎ系インクが大好きです。
時間経過や使うペン、紙質、塗り方、さらに水でぼかしてみるなどの使い方によって、魔法のように様々な色が現れるインクに惹かれます。
手持ちの推しインクを紹介したいと思います。


前置き

今回はゆらぎ系インクと呼ぶことにしますが、このタイプのインクは一般的には遊色インクや揺色インクなどと呼ばれます。
本題に入る前に、呼び方の整理をしておきます。

遊色インク
いちばんよく見かける呼び方。
元々は宝石などに使う用語で少し意味が異なるようですが、徐々にインクの種類としても定着してきている気がします。
とはいえメーカー等が公式で記載している名称ではないので、ひとまず記事名にするのはやめました。

揺色インク
セーラーのインクブレンダー、石丸さんが名付けた表現とのこと。
この名称のほうが好き、という方も見かけますし、私も好きな表現です。
「遊色」よりはあまり広まっていない印象。

シーンインク
主にフラッシュする(金属系の光沢が現れる)インクを指すので少し違う意味。
じゃあ英語で遊色や揺色にあたる言葉ってないのかな、と思い少し調べてみたのですが、私の力では見つけられませんでした。
元の色と別の色が出てくる、というニュアンスで"purple with pink shading"などの表現は見かけたのと、後述のセーラーの海外向けインクにも"shading" という記載があったので、ニュアンスが近いのはこの単語だと思います。
ただ、日本語と同じく、固有の呼び方として確立されたものはないのかも?
見つけたら追記します。

ゆらぎ系インクは細字万年筆に入れると発色がわかりづらかったりインクが出にくかったりすることも多いため、今回は主に太めのつけペン(セーラーのhocoro筆文字)を使った写真で紹介します。
紙は普通のコピー用紙です。

セーラー ゆらめくink 極光

「ゆらめく」を名前に冠して前面に押し出したシリーズのひとつ。
ボトルに入った状態では緑のインクに見えますが、紙の上に乗った瞬間から徐々に淡いグレーに変わっていき、最終的にグレーと紫・ピンクが複雑に混ざり合ったような色に落ち着きます。

つけペンで書いた極光

発色が淡いことに加えて細字万年筆にはインクがなじみづらく、普段使いは難しいカラーではありますが、太字で書くと色のゆらめきを存分に感じられる素敵なインクです。

水でぼかしてみた極光
下の紙はインクをのせすぎて失敗したもの。
濃淡がわかりづらいのでやり直しましたが、
これはこれではっきり出た緑が面白いので載せておきます。

グレー寄りになるか紫・ピンク寄りになるかは紙質や塗り方によって大きく異なるようですが、インク溜まりの部分や水でぼかした部分にはボトル越しに見えていた緑も浮かびます。
実は私が初めて買ったボトルインクが極光。
絶妙な色味に惚れ込んで衝動買いしたものの細字万年筆ではうまく発色せず、このインクを使うために太字万年筆が増え、太字万年筆を使うためにゆらぎ系インクが増え……という、たいへん罪深い(ありがたい)インクです。
太字万年筆の話はまたいつか、別の機会に。


Pentonote そらゆの色。

福島の文具店、Pentonoteさんのオリジナルインク。
他にも素敵なオリジナルインクがたくさんある中で、ゆらぎ系が好きな方にぜひおすすめしたいのがそらゆの色。
温泉の水面と空の色をイメージして作られたインクとのことで、書いてみると本当に名前の通り、揺れる水面に映る青空、という印象です。

つけペンで書いたそらゆの色。

インク溜まりの部分は鮮やかなブルー、薄い部分は淡い空色の中に紫やピンクも見えます。
細字で書くと画像下半分のようなシンプルな水色ですが、これはこれでとても綺麗な色。

水でぼかしてみたそらゆの色。

同じ色でラメ入りバージョンもあり、ガラスペンやつけペンでしか使わない方ならそちらもよさそう。
Pentonoteさんはインク以外にも万年筆やガラスペンなど、たくさんのオリジナル商品を展開されているので、インク好きな方はぜひチェックしてみてください。
また、Pentonoteさんはお正月に福箱を発売されることが多く、オリジナル万年筆とオリジナルインクのセットなど、たくさんの組み合わせがラインナップされます。
毎年オンラインは発売開始後即完売、という激戦ではありますが、頑張って狙いたい方や実店舗に行ける距離にお住まいの方にはとてもおすすめ。


SAILOR MANYO INK NEKOYANAGI

こちらはセーラーの海外限定商品。
日本国内では銀座のancoraで購入できます。
万葉インク、という名前の通り、海外向けに日本の伝統色や自然を表現した色展開になっています。
"NEKOYANAGI" は色味をあえて一言で表すなら「薄紫のインク」かなと思うのですが、書いた瞬間から青や水色、ピンクも見え隠れするなんともいえない色合い。

つけペンで書いた猫柳

紙によりますが、細い線で書いても美しい紫に発色するのも嬉しいところです。(ただし細字万年筆だとインクが弾かれて出にくいので、あくまで太めの万年筆かつけペン向きな印象)

水でぼかしてみた猫柳

この「万葉インク」のシリーズには他にもゆらぎ系があり、どれも素敵な色ばかりなので、このインクに惹かれた方はぜひ他の色も見てみてください!
大きめのボトルしかないのは難点ですが、銀座ancoraで全色の試筆もできます。
ちなみに私は、このインクでカリグラフィーを楽しんでいる海外のインスタグラマーさんの投稿に一目惚れし、調べに調べてancoraでしか買えないことがわかり、地方から銀座へ遠征しました。
遠征の価値もあるインクです!


番外編:セーラー ゆらめくink 花心

前述したゆらめくinkの第2弾として発売されたシリーズで、ベースカラーが暗い色なのが特徴。
ゆらぎ系のインクは淡い色のものが多く、普段使いはしづらいのが難点だったので、濃い色のゆらめくインク!という点だけでも発売当初のSNSが盛り上がっていた記憶があります。

つけペンで書いた花心

花心は写真だとなかなか魅力を伝えづらいインクで、書いた直後は青みを感じる黒、時間経過で赤みを帯びてセピアブラックに落ち着く、という絶妙な色です。

水でぼかしてみた花心

水でぼかすとかなり青が強く出ます。右の青みカラーから左の赤みカラーに変わっていくのがなんとも不思議。

淡い色と比べるとどうしてもゆらぎ具合がわかりづらいのですが、このシリーズは書いた直後からインクが乾くまでの時間経過でみるみる色味が変わっていく、という「書いた人がいちばん楽しめる」ともいえるような特徴があるのです!
私は発売当初の公式PVに惹かれて花心を購入したので、気になった方はそちらをどうぞ。(上のリンク先でも再生できますが、一応改めて貼っておきます)

動画だと色の変化がわかりやすいので、写真よりもかなり印象が変わると思います。
ゆらめくインクの第2弾はどれも万年筆で普段遣いしやすいカラーなので、普段からブルーブラックや「真っ黒ではない黒インク」が好きな方にはきっと刺さるはず。

おわりに

ゆらぎ系インクは他のインク以上に、実物や写真を見ないと魅力が伝わりづらいインクだと思います。
もっと知られてほしい!というインクを紹介してみましたが、他にも紹介したいインクはたくさんあるので、今後も少しずつ書いていきます。
読んでいただきありがとうございました!

おまけ

この記事のために色々と書いていたら、LUSHの空き容器がつけペンや万年筆を洗うのにぴったりすぎることに気づきました。
深すぎず浅すぎず、底が安定していて蓋もできて、透明で汚れが見えやすく、プラなのでペン先が当たっても傷みづらい。完璧。
空き容器を集めてLUSHに持っていくと割引や商品との交換もしてもらえるのですが、1個は手元に確保しておこうと思いました😊

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