コーヒービジネス

コーヒーと空間とビジネスと|『カフェがなくなったら』 市川 草介

『カフェがなくなったら』 市川 草介

 まず、タイトルに惹かれた。そして考えた。「もし、この世からカフェがなくなったらどうなるだろうか」、と。

 そこには、途方に暮れる自分がいた。

 それだけ、カフェという存在に支えられてきた。そのことにを、あらためて思い出させてくれる書籍である。

 著者の市川草介氏は、北海道のコーヒとして有名な「MORIHICO.(モリヒコ)」のCEOであり、アートディレクターとしても活動している。

 なるほど、各店舗の雰囲気やウェブサイトの端々から、アートディレクターとしてのこだわりが感じられる。その世界観に魅了される人も多いのではないだろうか。

 人を惹きつけるもの。コーヒーとアート。それぞれに共通するもの。

MORIHICO.|公式サイト

 本書におけるテーマは、主に「空間づくり」「人と文化」「コーヒーとビジネス」の3点である。それぞれの視点に、市川氏の想いがにじみ出る。

 本書のキーメッセージを端的に表現するとしたら、次の言葉に集約される。ちなみにこれは、氏のツイッターでの発言だ。

カフェなんかこの世になくても究極的には困らない。
だけれども、この世の中からカフェが無くなってしまったら、僕たちはどの場所で夢想し、愛を語り、希望を見出したらいいんだ。
https://mobile.twitter.com/frenchcoffees/status/928159641627848704

 事実、私たちが暮らす世界は、カフェとともにある。群雄割拠の様相を呈するカフェビジネスに、札幌という地から一石を投じるモリヒコもそのひとつ。

 2019年時点で13店舗、2018年にはフレンチレストランをオープンするなど、モリヒコの世界もまた広がろうとしている。

 すでにモリヒコブランドの豆は、全国で販売されている。一人、また一人と、ファンが増えていく。「コーヒービジネス」という言葉ではくくれない、何かがある。

 その何かを、ぜひ本書で体感してほしい。

http://kojigen.com/post-9397-9397.html

目次
第1章 「森彦」から[MORIHICO.」へ
第2章 コーヒー屋が大好き
第3章 コーヒーのある風景
第4章 コーヒービジネスという魔物
第5章 コーヒービジネスが教えてくれたもの
エピローグ コーヒー大学という構想

著者
市川 草介 (イチカワ ソウスケ) (著/文)
MORIHICO.代表取締役/アートディレクター 市川草介
MORIHICO.CEO、アントレプレナー、アートディレクター、商業空間プロデュ―サー。
世界中を旅をしてコーヒー&ローカルカルチャーをインサイト(洞察)。

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