#49 謎の技術

始めた頃はこんなの無理だろと思ってたギターがいつまにかちょっとずつ弾けるようになっていた。人間やればできるようになるんだね。

練習はもっぱら家でしている。僕のアパートは周り中からくしゃみや歩いてる音が聞こえるくらいに壁が薄い。僕は騒音を撒き散らすようなことはしたくない。つまり静かに弾く必要がある。そうは言ってもアコギなのでめちゃくちゃ音がする。ピックなんかで弾いてしまえばどんなに静かにしても苦情がくるに決まっている。僕はレフティなのでサイレントギターも売ってない。だから選択肢は一つだけ。指弾きだ。

僕は指で静かにギターを弾くのがかなり上手くなってきている。ピックでうるさく弾いてこそギターなのに、なるべく音が鳴らないように静かに弾いている。
周りに迷惑をかけずに弾く技術が向上していくのは果たしてギターが上手くなっていると言えるのだろうか。それに楽器を音が鳴らないように弾くなんて本末転倒なような気もする。

とはいえ、迷惑をかけるわけにはいかないのでこの技術に磨きをかけながら練習するしかない。この技術が人に誇れる日が来るのだろうか。謎だ。

謎な技術ってある。牛乳パックのふたを綺麗に開けるとか写真を見ただけでどの年のPerfumeなのかを当てるとか内外角と高さを丁寧に制球できるとか足が速いとか。

足が速いって謎だ。いつ誰と徒競争するんだろうか。学生の頃しか使い道がない。学生の頃にたまたま誰が足速いのでしょうか大会が沢山あったから助かっただけで、誰が一番トイレ我慢できるでしょうか大会とかじゃなかっただけだ。本質的にはトイレが我慢できることや指を通常ではない方により曲げられる人と大差ない。左利きであることもそうだ。僕は足が速い左利きだ。賞味期限は学生で終わった。

じゃあ謎ではない技術はなんだろうか。資料作成スキルは役に立ちそうだ。DIYをできるのも良い。絵を描けるとか楽器を弾いたり創作ができるって楽しいし、かっこいい。口が上手いのも技術だろう。現代において口が上手く敵を作らなかったり、競争を勝ち抜ける技術は立派と言えるだろう。格闘技だっていざというときが来たら役に立つ。

このままでは役に立つものは謎ではないという説が導かれそうだが、いくらでもメタに検討できる「役に立つ」なんて抽象的な語彙に関する議論をしたいわけではない。そして今は興味もない上にくだらないので検討はここでやめる。

みんなもあるんだろうか。謎の技術。技術なら継承できるし、鍛えることもできる。内外角に丁寧に制球したい人がいたら僕に声をかけてくれ。伝授してやろう。


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