あいつは変わった

あいつは変わった。


あいつと出会ったのは半年前くらいだ
普段あまり巡回しないんだけど
VRC始めましたタグで偶然見かけてXでフォローした。

結構面白いポストをする奴なんだけど
どうも本当に初心者みたいでいろいろ苦労してるみたいだった。
あいつはフォロワーも少ないせいか、リプを送りあってすぐに仲良くなった。
オススメのVRゴーグルとかパソコンのパーツとか、アバターとか、いろいろ紹介してあげた。
まぁ紹介したアバターはちょっと俺の趣味を混ぜてしまったけど...。

そんなんでXではよく絡んでた。
VRCではまだ会ったことがなかったんだが、VR買ったら会おうという話になった。
まだ初めて1週間くらいなのに、もう買うんだ。すごいなぁ...。

VRが届いたらしく、いろいろセットアップに苦労してたようだが、何とか準備が出来たようだ。
NewUserにもなったみたいだからアバターも改変なしでアップロードしたようだ。
もちろん俺がいろいろDMとかでフォローしてあげた。

そしてあいつと初めて会った。
『初めまして!いつも絡んでくれてありがとう!!』

すごく元気なやつだった
声はなんていうか…男の声なんだけど結構かわいい系で正直ドキドキしてしまった。
いやいや…俺はバーチャルホモじゃないから
今後こそお砂糖する時の相手は女性と決めてるから!

.…まぁそれはさておき、デフォルトとはいえ俺の性癖のアバター効果と相まって、すごく可愛かった。
地声であの声はちょっと羨ましい。

Xでよく絡んでるせいなのか、あいつの話が面白いせいなのかはわからないが
VRCの世界でもすぐに意気投合した。

一緒にゲームワールドとか、ホラーワールドとか、景色のいいワールドとかを毎日巡った。
特にホラーはめちゃくちゃ怖がる奴なんだよね。
別に嫌いとかではないらしいが、すごくいい声で叫んでくれる。
ちょっと可愛いなって思った。
いやまぁ、バーチャルホモではないけどな。

まだ始めたばかりにも関わらず、フレンドはXからかなり作ったみたいだったが、気軽にjoinできる相手が俺しかいないらしくて、俺がよくいる界隈で遊んだ。

あいつはどうも人を惹きつけるところがあるらしく、すぐ界隈でも馴染んだ。
すっかりここ数週間で毎日一緒にいることがお馴染みになってしまった。

そんな折、あいつが『イベントに行きたい』と言い始めた。
どうもXでそういうポストをしてるのをよく見かけて、行ってみたいとのこと。

俺は正直イベントはそこまで好きではないのだけど、まぁ嫌いじゃない程度。
とはいえ、いくつか知り合いがキャストをしていて、時間にさえjoinすればだいたいは入れるイベントを知ってはいたので、そこに案内することにした。

「じゃあ明日待機インスタンス立てるから、この人にフレンド申請して、22時前にちゃんと来てね。」

翌日、21:00くらいにあいつは俺のところにjoinしてきた。

「こんばんは!イベントすごく楽しみだね!」

まだ、待機インスタンスじゃなくて普通にフレンドと遊んでいただけなんだが…どうも楽しみで仕方ないようだった。

適当にお喋りしてるとすぐ時間が来て、イベントの会場へ無事に2人ともjoinできた。

キャストさんが初めてのあいつを案内してくれた。
あいつはすごくワクワクしながら、しきりに頷いていた。
このイベントはコンカフェみたいなイベントで人気はそこそこあるが、VRCでは珍しく2時間イベントなので、開始時刻にjoinはそれほど集中しない。
参加離脱も比較的やりやすくて手頃なイベントだった。

あいつは最初こそどうしようとオロオロしていたが、キャストさんに話しかけられるとあいつのコミュ力が発揮されたらしく、すごく楽しそうに接客してもらっていた。
俺はその様子をじっと眺めていた。まぁ後方腕組みおじさんってこんな感じなんだろうな。
あいつが楽しんでるようで良かった。

時間はあっという間に過ぎて、集合写真を撮ってイベントは終了した。
あいつはキャストさんと結構2Sを撮ったみたいだ。

正直言って俺は少し疲れたので、アフターはどうしようかなと思案しているとキャストをしているフレンドに声をかけられた。

「こんばんは、珍しいね?君がイベントに来るなんて」

「まぁな.…あいつの付き添いだよ」

ふぅん?という返事をしながらニヤニヤしている。
正直言ってちょっと不快だ。

「彼が君の次のお砂糖?そういえば今いなかったよね?」

『お砂糖』という単語を聞いた瞬間顔が熱くなったが、すぐに否定した。

「そんなんじゃねーしwただの仲良いフレンドだよw」

(なんで顔熱くなったんだよ…あいつはお砂糖とかじゃないのに...つーか次は女の子とするって決めてるのに…)

頭をぐるぐるしてるとあいつが戻ってきた。

「すっごく楽しかった!また来ようね!」

「ああ、そうだな…」

正直俺はあんまりなのだが…まぁもう一度くらいは一緒に来てやるか。
そう思いつつ、今日は時間は少し少ないものの、いつものように過ごしてからログアウトした。


翌日、いつもの時間になってもあいつが来ないなぁとふと思ってソーシャルを見ると
某有名イベントに入っていた。どうやら昨日のでイベントが好きになってしまったらしい。

しばらくすると、あいつが俺のところにjoinしてきて、かなりハイテンションで喋り始めた。

「こんばんはー!今日もイベント行ってた!昨日のキャストさんに教えてもらったんだけど、join戦争?あるみたいで2人で行けないかもって聞いたから1人で行っちゃった!」

そうかそうか、と話を聞いていたがなんとなくなぜか不快だった。
なぜかはよくわからないけど。

そのままいつものように過ごしたが、モヤモヤが全く晴れなかった。

そうしてモヤモヤを抱えながら過ごすうちに、あいつは最近ログインしてすぐjoinしてくれなくなって行った。
イベント→俺のところに少しくるという感じになっていった。
フレンドも増えたみたいで、他のインスタンスにいることも多くなった。
会いに来てくれないのが、不快だったせいか、俺は自分の界隈のDiscordに籠ることが増えてしまった。
いや、あいつと距離取ってどうにかなるものでもないのだけど.…

そうするうちにしばらく経つとあいつが珍しくDiscordに入ってきた。
ちょっとだけ嬉しかったのだが、その気持ちはすぐ打ち砕かれた。

「ねぇねぇきいてきいて!僕イベントのキャストにスカウトされちゃった!来週から初出勤!良かったら来てね!」

「あ、あぁ、おめでとう。」

あいつは心底嬉しそうだったし、それに水を刺すことはできなかったが、俺はめちゃくちゃ不快だった...。
今日はVRCにも入らずに不貞寝してしまった。

しばらくすると、あいつの所属しているイベントからあいつがキャストになることが告知された。
キャスト用の写真を見ながらそういえばあいつだんだん改変うまくなってるな.…と思ったが、イベントには行かなかった。
なんか行きたくなかった。

あいつは変わったと思った。



このnoteはフィクションです
イベントも人物も実在しません。
また、一部不適切な表現がありますが、作者の考え方とは全く異なります。
ご了承ください。


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