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放牧民生活記 #2 放ってさらく 2024.8.14wed

2回目の放牧民生活記は、「放ってさらく」として、一昨日の福岡への小旅行について書いていこうと思う。

どうでもいい情報かもしれませんが、動物占いはペガサスです。
本当にどうでもいい情報から始まりましたが、動物占いの中で唯一実在しないペガサスの特徴は、自由に空を駆け回ります。
とにかく拘束・束縛、執着、干渉、そうしたことがとにかく嫌いで、何にも縛られずに自由気まますぎて、時折個性的に見えるそうです。
一言でまとめると、気分屋です。

はぁ、とても自分で納得してしまう特徴です。
やっぱり放牧されている間は元気になります。
放牧されているのに、敷地の内も外も関係なく、好き勝手どこそこいくので大変です。でも動ける敷地を決められると恐ろしく窮屈に感じてしまいます。だから行動、時間、小さな教室という箱、全てにおいて枠がある学校という場所はどうも苦手でした。

脱線しますが、何かと書類には職業欄というものがあると思います。
学生、パート/アルバイト、会社員、自営業、主婦、、、とざっくりとした区分の該当するものに丸をつける欄は見たことありか、実際に書いたことがある人の方が大半だと思います。

昔からなんでしょうか…私が単に最近気づいたのか、それとも最近記載されるようになったのか、「自営業」とある隣に「自由業」なる文字を見つけました。

一応のところ、写真業で仕事は少ないですが、個人事業の開業届は提出しています。だから自営業と言えば自営業ですが、心苦しいのはバイトの方が収入は多いので、フリー、フリーなんて言いながらフリーターのような部分があります。

だけど、この「自由業」。
これを見つけた時に、こんなに自分に合った職業はないじゃないか!!と思って最近は迷わず「自由業」を選んでいます。

本当にどうでもいい話ですが、とにかく自由を好む、自由に動き回ることだけが生きがいのような人間なので、自由さは時に大変ですが、生きている時間はそう長いものではありません。
ぼーっとしていたら寿命はすぐにやってきます。ぼーっとしていなくても、毎年毎年、すぐにすぎていくのに、大事な時間を他者から拘束されるなんて勿体無い!と思いませんか?

一人で奔放に動き回ることを好んでいながら、一人でいると時々寂しくなる、少しめんどくさい部分もあります。
だけど孤独なことはネガティブでもなく、ものを創り出す時には、必ず必要なことです。探すものは自分の内にある。
孤独で静かな沈黙の、白い箱の中でひたすらに自分と向き合うこと以外に方法はありません。

だから、他者の言語で"装う"のではなく、苦を伴うことも多いのですが、もがきながらでも自身の言語を"獲得"していくものと思います。

随分と話が逸れてしまいましたが、本題です。
一昨日、久しぶりに福岡へ行きました。
見たかった写真展やずっと行きたかった本屋へ行きたかったからです。

昨年、三池関連のことを調べるのに度々大牟田へ通っていたいました。
その時に、福岡までは水俣から大牟田までバイクで行き、西鉄に乗り換えて電車で行くと随分体力も楽に、節約できることを学びました。

内訳は以下のようになっています。
水俣ー大牟田 かなり大雑把に、約150km
125ccのバイクは下道移動なので3時間半、ガソリンは片道3L。
往復でも1000円くらいなもんでしょうか。

西鉄・大牟田駅〜天神で片道1050円。
ちなみに車で大牟田まで行ったら、駅近くのこめやさんの駐車場に停めると西鉄の株主優待券が借りれ、ほんの少しですが電車代が安くなります。
これも昨年たくさん町の情報を教えてくれたtaramubooks&cafeのオーナーみゆきさんが教えてくれました。
taramuさんは3年前にドネーションブックREBORNを作った時に知人の紹介で本を置いていただいたことが始りでした。

個人店って扱っているものも大事かもしれませんが、店主の魅力に人がついていくものだと思います。扱っているものが…というより、その人が選んだものが並んでいる。だから扱っているものにも店の色が写っているのでしょう。そんな書店が増えているし、私も静かにひっそり営まれるような本屋さんや喫茶店が好きです。taramuさんはファンが多くひっそりとは違うかもしれませんが笑、面白いお客さんが集まってくる場所です。
平日7時からモーニングが始まるもの魅力で、本当は朝から到着してここで一息ついて出発したかったのですが、祝日は11時から17時。帰りも間に合いませんでしたが、また寄ろうと思います。

往復3000円ほどなら負担も少なく行け、かつ九州はどうしてもカルチャー文化に触れようと思うと福岡が中心になってしまいます。
熊本の人は、何かしようと思うと北へいくので、南の水俣は何かと来る機会自体がありません。
熊本の中心地と言ってもアーケードとその周辺くらいなものなので、最初に一人で福岡へ遊びにいくようになったのは中3の夏休みでした。
流石に中学生では親も…と思い、7つ上の姉が共犯者になり、福岡までは一緒に。ついたら各自で遊んで夕方また一緒に帰っていました。
それ以降、高校に上がったら、バイクで、高速バスでしょっちゅう出かけるようになり、旅行も一人でいくようになり、奔放に過ごしている時は楽しそうにしていたからでしょう、両親も何も言わず慣れてしまいました。こうなったらラッキーでした。

それでも随分熊本やそれ以外の地方のあちこちに素敵な書店ができたり、しているので状況は少し変わったかもしれません。
でも展示やギャラリーはやっぱり東京、ついで大阪、稀に福岡まででしょうか。

今日は昼前に最初に向かったのは、屋根裏貘。
野村佐紀子写真展「serendipity」が18日まで開催されています。
先日東京のbookobscuraで見た時とは全く違った風合いの作品。
私は野村さんの写真をこれまであまり見たことがなかったのだけど、毎年この時期に同じところで展示しており、毎回作風が随分違うそう。
DMになっている男性の写真の前後に、不明瞭な、揺らぎまで写っているようなスナップ的な風景写真が展示されていました。
見ながら何か内側でざわめくような気持ちになりました。

私は何かに縛られているような気がずっとしている。
何かはわからないけど、ずっと窮屈だ。
写真群を見ながら、写真の表現ももっと自由でいい、わかりやすくしたり説明も必要なく、思うままを表現していいのだと受け取ることが多い。

その次は、六本松の月白さんへ。
喫茶スペースと展示スペースがあります。
一人でくることを勧め、展示スペースでも来場者一人一人がゆっくり過ごせるように予約制になっています。
型にはまらず、個でいられる、個でいることを否定されることもなく、むしろ肯定的な雰囲気で、2度目だが店主の方と話していると落ち着くものがあり居心地のいい場所です。
社会へ出ると、人と繋がり、関わり合うことを強要される。
強要されずとも、そうしたものから広がるものがあるのは確かでそれが楽しい。だけども強要された途端にそれらは苦になる。田舎は"選択"というものが難しいとつくづく思います。限りがあるから、選択はせきません。あるものでどうにかするしかない。それが退屈にも窮屈にもなって若い人たちはどんどん流出しているのだと思います。
私が放られると元気にいられるのは、同じようなものかもしれません。

月白喫茶室で、山上新平さんの写真集KANONに出会いました。
山上さんの本は、とにかく、美しい。
本だけでなく、KANONの写真展に先日東京でいきましたが、プリントまで、美しい。綺麗というよりも、"美しい"という言葉を選びたくなります。

そのままLibris Kobacoさんで齋藤陽道さんの写真展。
何かと眼にすることは多かったのですが、普段見ている分野と少し異なるため、写真展、という場で写真を見たことがありませんでした。
でも実際その場所で見る、というのがこんなに印象を変えるのだとも思いました。

KANONの山上さんの序文もとても好きだったのですが、最後のブックディレクターの幅允孝氏の言葉。そして齋藤さんのステートメントにある共通点を見つけました。
共通点、でもあると思いますが、これは私が今一番自分に必要な要素でもあると思ったことから、眼についたのかもしれません。
生きている写真を見ることもですが、二人の言葉が今の自分に刺さってきました。これはメモしておくとします。

その後、taramuさんで少し前に聞いたいた情報で、本屋"青旗"へ。
しかも転々としていたら、今度、山上さんがここで展示をするという話が舞い込んできました。これはいくしかないでしょう。
青旗さんはこれまでに福岡になかった種類の本屋という印象。
アートブックや写真集など、視覚文化を基軸とした本屋として、2020年10月福岡市薬院新川沿いにオープンしたそうです。扱っている本も写真集が珍しく多く、そして少し海外色が強めで、それだけで少し楽しくなります。
ここではインスタで見ていてきになっていた"The Live of Document - Photography as Project"を購入。写真家のコンタクトやワークスペースものにはとことん弱いので、開いたらやっぱり連れてかえってきてしました。

最後は、本屋月と犬。
アパートの一階部分で本屋をされており、最初、通りからはわかりづらく、何度か行き来したのですが、無事到着。
ここでは、里山社との企画でページを持ち寄る会などをされており気になっていました。店主の方もとても話しやすく、始めてきたのに初めてではないような雰囲気がとても居心地が場所でした。
今時本は売れなくなった、と耳にしますが、こうした店主の個性に引き寄せられる場としての本屋さんが増え、密かに熱く思っているのは気のせいでしょうか。

ネットで買うよりも、昔から気になっていた本、たまたま手にとった本。
人と同じで、そこで出会う、ということのほうが私には随分大事に思えます。場所、があることが全てではないかもしれません。
便利なものが増え、情報を手に入れることも易くなりました。
だけど、大事なものは案外、進化せず、する必要もなく、すぐそばに、そしてそこにあるように思います。

栄養補給が完了です。
いい1日を過ごしました。
でもちょっと体力を使ったので、昨日は家の大掃除。
そして今日はこれから畑の仕事へ向かいます。
畑で放牧されると、心身ともに復活します。
雲も増えてきて、いい仕事日和になるでしょう。
さて、もっと撮ろ。



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