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私のお宝本、畑正憲さんとC.W.ニコルさんの共著「森からの警告」

先日亡くなった畑正憲さん。素敵なご著書があります。

森からの警告/CBSソニー出版


私は本の形式として「対談」が好きです。
両者が引き合うので必然的に「魅力的なお二人」の対談本になり、二つの命の生き様にシンクロできるからです。一冊で2~3倍以上のお得感。
この本も畑さんのお相手はC.W.ニコルさん。
夢のような対談ですね。

お二人の共通項は、この世のすべての命への、あふれる愛

1ページ目から、もうお二人のワールドに引き込まれます。
ニコルさんが病弱だった幼少期、おばあさんから強くなる秘訣をきくお話。

おばあさんがいいました。
「妖精の国に行って、大きなオークトゥリーと兄弟になりなさい。ひとりで森の中にはいっていくとわかるようになりますから、その木を見つけて抱きなさい。うんと強く抱きなさい。そして、兄弟になってくれ、兄弟になってくれ、といってじーっと抱いていると、木の脈を感じるようになってきます。そしたら、木が返事するようになります」
返事しましたね、木が。
「それからおばあさん、どうすればいいんですか?」と、僕は聞きました。
中略
「今度はその木に登りなさい。てっぺんまで登って、木に自分の秘密を全部いって、木の秘密を全部聞きなさい」
こうして、僕は12歳くらいになるまでに、他の子どもが行けないようなどんな森にもひとりで行って、木に登れるようになったんです。

森からの警告

この本を読んでいたからでしょうか。
私もニコルさんのように木に救われる体験をします。

木は返事をしてくれます

私は厳しい家庭で育ちました。
母親は、タンポポのような私をバラに育てたかった。
もちろん期待に応えられるはずもなく、私は自分を見失いました。
そして、家を飛び出すようにフィリピンへ行ったんです。

私の心に決定的な変化をもたらしたのは、フィリピンの野性的な荒々しい自然でした。川からくんだ水で洗濯をし、牛やヤギ、鶏たちが闊歩する非近代的な環境、山岳地帯での植林という極限の肉体労働が、私を精神面から叩き直してくれました。
中略
本能的に生きる場所へ突然放り込まれ、私の生きる力に火が灯りました。
私は、抱えきれないような大木に腕を回したときに、自分らしく生きていいよという天の声を聴いたような気がしました。大木との対話だったのか、自分自身との対話だったのか。そのときに誰かの許可をもらって生きる人生は終わりました。

拙著「宇宙はおしゃべり」

対談相手が畑さんだからか、ニコルさんはこの本の中で、安心して心を開いています。自分は木に対して独特の感情をもっていると。それをどうしても畑さんにわかってもらいたい。自然と超自然がごちゃまぜになっていると語りかけます。
本を読みながら「私もごちゃまぜだ!」と二人のワールドに没入。

畑さんは、ニコルさんの幼少期をワンパク坊主と感心し、子どもについて、「生きる喜びというか、大きくなっていく力があふれているというか、そういうものがとめどもなく出てきてこそ子ども」といっています。

それを思うと、私の幼少期は「生きる喜び」を出せば出すほど親から罰を受けたし、今の子どもたちもさほど変わらないのでは?もしくはもっと厳しくなっているのでは?などと考え込んでしまいました。

文章一つ一つに考えさせられ、汲めども尽きぬ泉のように様々な投げかけのある本です。ご興味のある方はぜひ読んでみてくださいね。
他にも、この本には、畑さんの語りで「スナメリクジラの話」があります。その話の箇所には黄色の蛍光ペンで囲いをしてました!
この本を買った当時の私の中で一番印象深かったようです。
今読んでも心が震えてくる神話のようなお話です。
他にも「残したい」と思うような言葉がいっぱい。
畑正憲さん、ありがとうございました。

この記事の締めくくりに私のおすすめ対談本を3つほど。
✦森からの警告 畑正憲/C.W.ニコル(命と自然)
オン 池田晶子/埴谷雄高(命と形而上学)
百歳の遺言 大田堯/中村桂子(命と教育)

気に入ったものがあれば読んでみてくださいね☆


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