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新刊『栄光の松竹歌劇団史』の紹介

2022年は3冊の新刊を刊行し絶倫作家という異名をいただきましたが、2023年は共著1冊のみ、そして今年2024年秋は2冊の刊行が決定しております。

今回はそのうちの1冊目である『栄光の松竹歌劇団 憧れの星座たちが歩んだ軌跡』(日本評論社)についてご紹介したいと思います。

新刊の書影です

松竹歌劇団について

皆さん、松竹歌劇団についてご存知でしょうか?
かつて宝塚歌劇団と並び称された女性によるレビュー劇団で、浅草にあった国際劇場を本拠地としていました。すでに解散しています。
そこで近年、再注目を浴びているOSK日本歌劇団を思い浮かべる方もいらっしゃるかと思いますが、そのOSKと姉妹劇団の関係にあったのが松竹歌劇団でした。

松竹歌劇団最大のスター・水の江瀧子

松竹歌劇団(以下、SKD)は1928年に創設し、水の江瀧子というビッグスターを輩出したほか、今でも現役で活躍される草笛光子さん、倍賞千恵子さん、倍賞美津子さんなどを輩出しています。
ほかにも昭和芸能がお好きな方にはお馴染みの、並木路子さん、加藤治子さん、旭輝子さん(神田正輝母)、幾野道子さん、桂木洋子さん、淡路恵子さん、雪代敬子さん、九條今日子さん(寺山修司夫人)、瞳麗子さん、榊ひろみさん、真屋順子さんなどもSKDを出発点とした女優さんたちです。

水の江瀧子と旭輝子

また松竹音楽舞踊学校時代に映画界へ移った方に芦川いづみさん、野添ひとみさんなどがいらっしゃいます。
簡単に名前を並べただけですが、どれだけの大女優・名女優の方々が、SKD から巣立っていったかお分かりいただけるのではないでしょうか。

このように、かつて少女歌劇は芸能ジャンルにおいてメインストリームの存在でした。

戦後全盛期のフィナーレ(1954年 春の踊り)

本書の特色

華麗な歴史を辿った劇団でしたが、長く社史・関係者以外による書籍は刊行されず、芸能史のなかにおいて如何なる存在だったか評価に乏しく、劇団は解散。そして30年の時が経過してしまいました。
従って、部外者による史上初の松竹歌劇団本となるわけです。

そんな2024年、なぜ私が既に解散となった松竹歌劇団について執筆しようと思ったのか?
それは、中学生時代(2000年くらい?)からの水の江瀧子ファンだったからです笑

筆者が水の江瀧子さんから頂いたサイン

以前より、ふわっと書きたいとは思いながらも、なかなかタイミングがなく、今回は日本評論社さんから出版させていただくこととなりました(ありがとうございます、感謝です)

本書を執筆する上で、以前よりお世話になっております戦後2期生の娘役幹部スター・小柳久子さん、また男役大幹部として国際劇場最後を飾った大スター・春日宏美さんをはじめ、直接・間接を含めて、松竹歌劇団OGの方々にご挨拶をしご協力をいただきました(ありがとうございました)。

しかし、お読みいただく上で、一つお断りを入れておきたいのは、本書で取り上げたのは劇団創設から公演本拠地とした浅草の国際劇場閉鎖まで約55年間について、ということです。
本来であれば劇団の解散まで書くべきですが、刊行タイミング、私の執筆の進捗など総合的に判断して、今もショウビズ界で活躍するOGの方々に更にお話しを伺って文章に纏めるには、まだまだ時間が足りません。
そのため今回は国際劇場閉鎖までを区切りとして、いずれ近い将来に後期の松竹歌劇団について執筆できたらと考えております。

戦後全盛期を支えた川路龍子、曙ゆり、小月冴子、南條名美

本書の読みどころ

本書は戦前の劇団の成り立ちから水の江瀧子時代に重きを置いて執筆していますが、読みどころはなんと言っても、小柳久子さん、春日宏美さんという劇団史に残るスターお二人のインタビューです。

小柳久子さんは幼い頃から舞台に立たれており、戦前の松竹少女歌劇団公演もご覧になられている稀有なお一人です。ご本人も1946年に引き揚げてすぐに水の江瀧子さんの劇団『たんぽぽ』を経て松竹歌劇団に所属され、戦後SKD全盛期を飾った娘役幹部スターさんです。
今回のインタビューでは進駐軍への慰問、また戦後初の海外公演の様子などをお伺いしています。

小柳久子さん

春日宏美さんは、説明するまでもない国際劇場最後を飾った男役の大幹部スターさん。今でもエレガントで華やかで、抜群のスタイルは健在です。
春日さんには松竹音楽舞踊学校のこと、また海外公演などについてお伺いし、中でも南アフリカ公演の際に行われた黒人向け特別公演のお話しは、芸能史・歌劇団史に残る貴重な証言となっています。

この偉大なお二人にはインタビューはもちろんのこと、そのほか多大なご協力を頂きました。このお二人がいらっしゃらなかったら、また違った内容となっていたことと思います。
多くの皆様にお世話になりましたが、小柳さん、春日さんには特に御礼を申し上げます。
ありがとうございました。

春日宏美さん

また、近年NHKドラマ『ブギウギ』で話題となった、松竹楽劇部のストライキ「桃色争議」についても詳述しております。「桃色争議」の名称自体は有名ですが、実際にどのように争議が行われたのか客観的に解説された書籍はほぼなく、ふんわりとしか伝わっていませんでした。
その点を今回は明確に解説いたしました。

以上のような内容になっており、すでにAmazonでの予約も始まっています。
ぜひとも多くの方々に読んでいただきたく、『栄光の松竹歌劇団史』を宜しくお願い致します。

国際劇場後期の華やかなステージ。

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