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今の学びが楽しいのは、三年後の自分から手紙が一方的に送られてきたおかげです。

  • 第二話

拝啓 二〇一九年のネガ子

 この手紙を読んでいるあなたは夜、濡れた髪を乾かすのも、温かいハーブティーを飲むのも、ネイルにオイルを塗るのも発想に無いだろうね。
 仕方ないよ、それが三年前の私だったんだから。
 毎日仕事、お金のやりくり、母の介護や不満を聞いたり……自分のためのエネルギーが残っているはずがないもん。
 言っておくけど、私「時間が解決してくれる」なんて、嫌いな言葉を自分に言うつもりないからね。そこまで薄情な人間じゃないし、このポジ子は。

 だってそうじゃない。二〇一九年の状況はネガ子が作り出したものではないとはいえ、エネルギーの使い方と考え方次第でしか、未来の状況は改善されないのだから。

 つまり、訪れた事態は不可抗力であっても、その後の展開はすべて自分次第、自己責任なわけ。
 ネガ子が今のままぐだぐだしていると、最期まで今のままだよ。

 大丈夫、ネガ子が変われば母の要介護度も下がるから。
 今回はとりあえず、それだけ。また手紙が届くから、ちゃんと読んでね。

「ぐだぐだ……この私が? 何よ、この知ったかぶり。私がどれだけ大変な状態なのか、全然わかっていないじゃない。読んで損した」
 ネガ子は即ごみ箱に捨てた。充電中のスマホも電源を切った。

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