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NO MINOH,NO MUSIC

昨日はどうにか堪えてくれた雨が、今日は朝からザァザァと降っている。街は相変わらず人ごみで、堪らずワイヤレスイヤホンで塞いで逃げ込む。昨日の一部始終が夢だったかのように世界は何も変わってなくて、何をどうしても、今日は昨日の続きでしかない、なんて思う。
結婚式みたいやな、と笑ってくれたけど、もしかしたら結婚式を終えた次の日はこんな気分なんじゃないかと錯覚する。経験ないから知らんけど。


思いついてからは1年以上だろうか、大切なライブが終わってしまった。
『NO MINOH,NO MUSIC』という芳仲悠人とのツーマンライブを企画した。小学校1年で出会ってから25年もの歳月が経つことに気付き、面白そうだなと思ってそれを銘打ったライブをしよう、と彼をけしかけた。

芳仲悠人という男について、恐らくこれまで関わった人は「歌が上手い」という共通認識を持っていると思う。おれもそう思う。そこに憧れを抱き続けてるのは事実だし、横で歌うことについての劣等を抱き続けてるのも事実。彼はMCでおれがずっと先にいると言ってくれていたが、そう見せないとこっちが挫けちゃうからね。でも彼の劣等感もちゃんと知っているつもりで、我ながらすごいバランス感の関係性だなと思う。
ごちゃごちゃと書いたけれど、シンプルに芳仲悠人の歌が、書く曲が好きでただのファン。昨日のNo Nameとかマジで最高だったし、カンヴァスは普通に泣いた。これ、ただのイチャイチャ。


会場は歌う魚にお願いをした。「結城アツシ」として初めてブッキングライブに出演させてもらったライブハウスだったから。情けないことに、ハコが埋まった光景を僕らはステージから見たことがなかったから、50人集めようという目標を立てた。

最終的には、スタッフである仲間たちを含めて45人の方が会場におじさん2人のイチャイチャを見届けに来てくれた。配信を通して見守ってくれた方もいた。
あらためて、本当にありがとうございました。
こんなに力になることがあるんだなと思った。

色んな人に声をかけて、人数のカウントが増えていく中で、何だか人を数字に見てるような気がして嫌な気分になった。当たり前だけど、お客さんがいないとライブや音楽は成り立たないし、恥ずかしながらライブをすると発表しただけでチケットが売れるミュージシャンじゃないので、必然的に知り合い各位に声を掛けるしかない。

ライブをするたびに、苦しくなっていって、そこに対する努力をやり切れないことに苦しくなっていった。だから、一度逃げ出そうと思った。厳しいことを言われても、何も返せない自分がいた。そのまま消えてしまってもいいかもな、なんて思う日もあった。そんな靄を抱えてステージに立った。


消えてたまるかと思ったんだ。こんなにも受け取ってくれるなんて思ってなかった。直接伝えてくれたり、SNSとかで感想を書いてくれてるのを見たりして、本当に嬉しかったんだ。どう表したらいいんだろうか。恩返しをさせて欲しい。あなたが不安になる夜に、何かの足しになる歌を歌いたい。夜虹探索をやる前に喋ったことは本心なんだ。少し休みがちになるのは変えないけど、「歌いたい」じゃなくて「歌う」と言い切れるように、武器を鍛え直して帰って来る。自分が何者にもなれてない自覚はある。それでも苦しみ藻掻いていく。それが情熱と呼ばれるものだから。

だから、またね。


2024/4/20(sat) 心斎橋 歌う魚
巡り会い25周年記念公演
NO MINOH,NO MUSIC season1

Op.音酒と祝宴with芳仲悠人
1.バナダンス
2.マジックアワー
3.まな板
4.流星群
5.エンドレス(サカナクションcover)
6.湯気と月
7.余裕シャクシャイン(キノミキノママcover)
8.ミュージック
9.春巡
10.夜虹探索
En1.スケアクロウwith芳仲悠人(the pillows cover)
En2.悠縁冒険譚with芳仲悠人


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