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なんか違う人生を送り始めてた ※夢日記

3時間も昼寝してしまった。いつの間にか寝落ちてた、悔しい。
そして夢を見た。夢の中で3日くらい、現実にあるかどうか分からない町で暮らしてた。

私たち一家はその町に引っ越したばかりで、持ち物の整理をしていた。コンクリートのような灰色の建物の1階で、一応マンションのような体だ。周囲にも似た建物があって、上の方でどこかで繋がっているとかいないとか、ビルだけど長屋みたいなイメージ。アジアのどこかの国にそんなのがあったような気がする。この前見た『コンフィデンスマンJP・ラブロマンス編』にも出てきたような。
部屋は細長い間取りで、壁というよりはパーテーションで仕切られているような構造。廊下の途中にベッドが置かれて、ベッドの長さで仕切られてるだけとしか思えないような部屋があったり。母が新しい家具(ドレッサー?)を買ってきていて、「相談もなしに買わないでよ―」と文句を言っているあたりは社会人っぽい。でも多分、母の姿が今よりもずっと若いので、私も今より若いのだろうと感じる。20代くらいか。

と思ったら違った。私はどうやら高校生らしい。仕事ではなく学校に通っていた。高校と明言はされなかったが、なんとなく高校っぽい。

家は最寄り駅から1kmもないくらいのところにあった。駅前を横に走る大通りを左に行って、路地を右に曲がってすぐ。この道が実は怖い。駅前はちょっとした広場になっていてそれなりに明るいし人もいるのだが、左に向かうと急に暗くなるのだ。よく考えたら、右方向も大して明るくはなかった。そちらの方に高校があって、盛り場みたいなところもあるが、都会のような明るさはなかった。昼間は陽の光で明るいけれど、夜になると町全体がなんとなく薄暗い雰囲気に包まれる。それが日常だから薄暗さに疑問はない。でも、私の家に向かう道はもっと暗い。その上、妙な神社のようなものが2つもある。高さは5m、幅は10mくらいあるのに、奥行きは50cmくらい。石垣だけ残ったようなところに鳥居がそびえている。それが2つ、20mほど間を空けて立っている。暗いせいもあって、私はその鳥居が怖くて仕方ない。油断していると良くないことが起きるような気がする。
(現実でも、私は日が暮れたあとの神社には近寄れない、怖いから)
母にこの話をすると、母はそれほど怖いと思っていないようだった。それでも不安はわかってくれて、駅に着いたら家に電話してみて、母か弟か誰かいたら迎えに来てくれることになった。
最初の日、電話には誰も出なかった。すると、同級生の男子が声をかけてきた。事情を話すと家の前まで送ってくれると言う。親しくしてはいなかったが、送ってもらうことにした。神社1あたりに差し掛かると、やはり同級生の女子と遭遇。男子と二人でいる事情を話してみると、実は彼女が近所に住んでいることがわかった。
「だったら私が一緒に帰るよ」
男子はお役御免だ。彼女は、『映像研には手を出すな』の浅草氏みたいなイメージ。身体の大きさと動きの感じはあのアニメのまんまで、ただ浅草氏より単純で、考える前に突っ走ってるタイプ。話してみると共通点があることもわかり、親友というか同志のような距離感になった。
彼女の名前がどうしても思い出せない。でもこのあともずっと一緒にいるので、仮にヒナ子とする。なっちゃんと呼んでだような気もするけど……。
ふたりでバンドをやろうと盛り上がる。なっちゃんは今は持ってないけどギターが弾けるし、我が家にはもうすぐピアノが届く。ふたりならバンドじゃなくてデュオでは……ギターとピアノならキロロ……と思ったが黙っておく。

家に帰ると、弟たちが玄関ドアの前に座り込んでいた。母がまだ帰っていないらしい。
「鍵は? 持ってないの?」
「忘れた! だから姉ちゃんを待ってたんだよ」
「え、ごめん。お母さんがいると思って、朝持って出なかった」
「マジか!」
「どうすんの?」
しばし途方に暮れる4姉弟。鍵の隠し場所、決めた方がいいかもなあ。
「あ、俺持ってた」
一番上の弟が突然大きな声で言い、ポケットから鍵を出した。コインロッカーの鍵を長く伸ばしたような板状だった。番号が書いてあるが、それも鍵のひとつなのかはわからない。板を鍵穴に挿入するだけで解錠される。電子キーみたい。
(現実には2人なので1人多い。そして3人共実際の弟とは別人。十代の頃、母が家を開ける時はメーターボックスに鍵を隠しておいてもらっていた)

翌日の学校生活は早回しで進み、あっという間に帰り道。駅の手前で江原啓之と出会う(なぜ?)。
江原さんとは顔見知りなのか家までの道が怖いと相談すると、江原さんはニコニコして「僕が行ってあげるよ」と言ってくれた。江原さんが来てくれるなんて! 何なら怖い原因も視てもらえるかも。
駅横の喫茶店に差し掛かると、マネージャーに伝えてくるからと江原さんは店の中に入っていった。ここで打ち合わせの予定なのかな。江原さんはマネージャーさんと出てきて、3人で駅の改札まで行く。ちょうど列車が到着した直後なのだろう、改札から数人出てきて、その中の女性がひとり合流した。江原さんの付き人とのことだった。
「あなたの家までは彼女に行ってもらうね。彼女も大丈夫な人だからね」
江原さんとマネージャーさんはどこかに行ってしまった。付き人さんは路地の手前まで送ってくれた。彼女を通して江原さんと繋がって、なにかわかるのかも? と期待していたが、そんなことは全然なかった。
そこでなっちゃんと遭遇。これから遊ぼう! と来た道を戻ることにした。

カラオケで歌の練習でもするか、とレジャー施設に向かった。あともう少しで到着というときに、中から人が出てきた。同級生女子だった。彼女は特に美形ではないけれど美人のオーラをまとっていて学年でもモテ女子として有名な人。時々感じ悪いことを言うので交流はない。彼女の後ろからいけ好かない役をやってる時の大東駿介が出てくる。これも同級生。
「もしかしてあのふたり……」
「付き合ってんのかな」
木の陰に身を隠していたつもりだったのに、彼女と目が合う。ものすごい怖い顔で「絶対に誰にも言わないでよ」と脅された。
なっちゃんがお腹が空いたと言い出した。時刻は21時近く。店を探すが、高校生でも入れそうな店は閉店寸前。スナックが集まったビルを覗いてみると、「おにぎり」の看板を発見。スナックビルだけどおにぎり屋なら大丈夫かも、と扉を開ける。なっちゃんは「おにぎりふたつ!」と飛び込み、さっさと空席に座ってしまった。が、中は明らかにスナック。カウンターの中には割烹着を来た女の人がふたり、どちらも女将さんというか飲み屋のお母さん風の雰囲気。カウンターもテーブル席も男性客だけで、皆ウィスキーを飲んでいる。高校生にはあかんやつでは……。お母さん風の女性がニコニコ笑顔でなっちゃんの前におにぎりのお皿を置く。
「なっちゃん、まだ食べないで」
「あ、そうだよね。あの、おかずはありますか」
そういう意味じゃないとは思ったが、それも一理ある。おにぎりスナックってなんなの。スナックだとしても他になにかあるでしょ、おつまみ。女性はにこやかに答えた。
「基本はないんだけど、もうすぐ煮物が出来上がるところよ。うちの仕組みを説明するわね。おにぎり2つで2000円。それとボトルを入れてもらわないといけないの。ボトルと水割りセットで18000円」
ぼったくりかーい!
「ごめんなさい、そんな稼ぎはないので帰ります!」
こういう時、なっちゃんは素早い。私が言い終わる前に店の外にダッシュで逃げていた。
「子供が来るとこじゃないんだよ、お嬢ちゃん」
カウンター席の男性客が薄笑いを浮かべている。そんなこたあわかってるわい。
出ようとすると、背を向けた側から腕を掴まれ、ソファにストンと座ってしまった。知り合いのおじさんだった。
「おじさんがおごってあげるよ。友達も呼んできな」
「いえ、ヒナ子が待っているので行きます」
このおじさんは悪い人ではない。おごってもらってもおかしなことを要求されることはないはずだけど、スナックで高校生が飲食したらまずいだろうと思っただけ。お酒を飲んでなくても学校にバレたらヤバそうだから。
店の外に出ると、なっちゃんが「遅ーい!」とぷりぷり怒っていた。お腹が空いているから余計に機嫌が悪いのだろう。
「うちにおいでよ。ごはん、作ってあげる」
なっちゃんは素直に頷いた。最初からうちに来ればよかったね。トマト玉子炒め、作ってあげるね。
私たちはバンドのことを話しながら星空の下を歩いた。なっちゃんがエアーでギターを弾き始める。私も負けずにエアーピアノの鍵盤を叩く。なんでも弾ける気がする。私たちはきっと無敵。

翌日も学校生活は早回しで進む。放課後の校庭を歩くなっちゃんと私。今後のバンド活動について熱く語り合っていた。
「放課後は練習にあてるとしても、毎日10時までは良くないんじゃないかな」と私。
「なんで?」となっちゃん。
「一応は勉強もしないといけないし、今のところ私たちにできるのはエアー練習だけだし、毎日10時過ぎに帰宅して親に禁止でもされたら、楽器を手に入れた頃にはバンドできなくなるかもしれないし」
「たしかにそれは困る」
なっちゃんは不満そうだが、渋々納得してくれた。
「ピアノが届いたら、週に何度かはうちで練習すればいいし」
「ユウキママの信用を勝ち取らないといかんな!」
なっちゃんに笑顔が戻る。
ちょうど公園にたどり着いたところだった。公園に目をやると、木製の大きな遊具に目が留まる。半分に切った丸太を壁のように組んだものとその脇に丸太の登り棒、壁の上にも太い丸太が横に通っていてそこからロープが下がっている。丸太の壁には大小さまざまな穴が開けられていて、そこに足をかけて登る仕組み。
上の方にある穴のひとつに人の顔が見える。穴の周囲を太いロープが囲んでいるので、人の体は首吊してるみたいに見える。それにその人、知り合いのような……。
なっちゃんと走っていく。おにぎりスナックで会ったおじさんが登り棒をよじ登っていた。なっちゃんが見上げて話し出したので、そっちは放っておいて平気そう。
穴に足をかけて上に登る。壁は同じ大きさの2枚を立てかけあっていて、上部には板を渡して歩けるようになっている。そこから見ると、穴のおじさんは首を吊ってるわけでもなんでもなく(そりゃ当然)、内側をよじ登って穴から顔を出しているだけだった。
「大丈夫ですか?」

急に現実が侵食してきた。
穴から顔を出していた人は現実の知人だ。毎年この時期にやっている公演の座長。今年は公演中止だ。
座長が話し始めた。
「あのさ、あの場面のあれだけど、ちょっと変えたいんだよね」
「はい」
私はポケットからメモ帳とペンを取り出して記録する。
「あと、あそこ。あれだと長いからカットしようと思うんだけどどう思う?」
「いいと思います」
なんだなんだ、バンドやりたい高校生じゃなくなってきたぞ。なんだ、この急な仕事モード。

そうか、これは夢!

ハッと目が覚めた。3日も別世界で過ごしたから一瞬もう朝なのかと焦った。夕方で良かったけど、1日を無駄にした罪悪感。

夢の中の町はどこかわからない。駅はどこかの地方で見たことがあるような気もするし、知ってる駅がごちゃまぜになっているような気もする。
登場人物も殆ど知らない人。現実でも知っているのは母と芸能人と最後の座長くらい。
ピアノももう弾けない。小学生の頃に少し習ったけど。トマト玉子炒めは今すぐ作れる(材料が揃っている)。
壁神社とか、夢解析したらなにかわかりそうな気もするし、ただのダラダラした夢のような気もするし。
3時間に詰め込みすぎ。

でも。
なっちゃんと楽器を演奏できる頃までいっしょにいたかったなあ。

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