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【米国株】許される失敗と許されない失敗〜失敗の受け止め方〜

株式投資において失敗は付きものです。勝率100%を目指すこと、全て自分の思い通りに事態が進むことを前提に投資をすることは余りに現実から乖離していると思います。

それは野球で言えば打率10割を目指すことと同じです。大谷選手やイチロー選手といったメジャー屈指のトップ選手でも打率はせいぜい3割強です。将棋の藤井八冠やかつての羽生七冠でも勝率は9割です。10割などマンガでも無いです。

なぜ投資で勝率100%が原理的に不可能なのか?それは投資の結果を左右する要因、それが投資する段階では一部しか明らかになっていないからです。常に情報が不完全なまま投資にしないといけないのです。良い情報が既に周知されてしまっている状況では、誰もがその情報を元に株を買ってしまっていて、株価は上がりきってしまっています。

投資した株の株価が上がるかどうか、それは将来の業績成長によってもたらされます。つまり良い決算が出てくるか、事業環境が好転するか、投資環境が好転するか、などにかかってきます。

しかし、人は未来を予知することはできないので、現在分かっている状況証拠や投資の知見・経験からどのシナリオが起きる確率が高いか、オッズを推定することしかできません。

シナリオAが起きる確率が70%、シナリオBが20%、シナリオCが10%なら、基本的にシナリオAにかけるポジションを取ります。そして、日々更新される情報を基にシナリオのオッズ判定を微調整します。

ちょうど今ですとAIブームが続く、経済は高インフレを抑えつつソフトランディングするということがメインシナリオですので、それが起きる前提でポジション取りをしています。そして、AIブームを支える設備投資はきちんと為されているか?AIビジネスは好調か?どのような技術革新・新サービスの展開がなされているか?といった情報をチェックします。インフレ指標、原材料価格、経済指標、消費関連株の決算などもチェックします。今のところ、AIへの設備投資は増額されているので、ブームが続く確率は高まっています。

一方で、シナリオAが起きる確率が40%、シナリオBが40%、シナリオCが20%と今分かっていることを吟味してもシナリオを絞りきれない状況もあります。こういう時はどっちにも対応できるポジション取りをします。しかし、現実は一つであり、時間が経つにつれて一つのシナリオに向かっていきます。すると、どっちにも対応できるポジションをとっていると、結果として中途半端なリターンしか得られなかったといことになります。これは結果論でありますが、失敗といえば失敗です。しかし防ぎようのない失敗です。このような、妥当性のある投資判断をしていても、判断をした時には原理的に分からなかった要因によって失敗してしまった、そういう失敗は許される失敗だと言えます。気にする必要ありません。仕組み的に防げない失敗だからです。

最近ではDUOL株が決算をミスして急落しました。DUOL株は上場以来連続して好決算を発表してきました。そしてここ数四半期は売上高成長率、ユーザー数の伸びは加速していました。+40%という高い成長率からの加速でした。決算コールはビジネスの堅調さが伺い知れる内容でした。今回も良い決算を出してくる可能性は高いと判断するしかありませんでした。しかし、ここに来て決算ミス。ユーザー数の成長率もガクっと鈍化していました。これは事前には予知しようのない話です。

逆に許されない失敗とは何か?それは過度なリスクテイク、調査不足、投資ノウハウ不足といった自分の投資スキルの不足によってもたらされた失敗です。そして、この類の失敗は防ぐことができる失敗です。投資する人が投資を勉強する一つの意義は、こういった失敗を無くすためであると言えるでしょう。

以上から投資の失敗に対する態度というものも見えてきます。投資で失敗したと感じた時、その経緯を振り返ります。自分はどんな情報を見て、どんな投資の知見・経験に基づいて投資判断を下したのか?日々の新情報をどう受け止めていたのか?シナリオのオッズ判定はどう変化していったのか?投資判断はどう変化していったのか?などについて振り返ります。

そこで自分の判断に妥当性は常にあって、最後に事前には分かりようのなかった要因で失敗となったならば、その失敗はスルーします。しかし、ここは自分にミスがあった、こういう情報や知見が足りなかった、などがあれば、次に同じミスをしないためにどうすれば良いのか防止策を考えます。これが失敗に向き合うということだと考えます。防ぎようのない失敗を前提とし、防ぐことのできる失敗を防ぐために投資の勉強、自身の失敗の振り返りをしてマイルールを更新する。勝率を上げるためにできることはこれしかないと考えます。




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