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【相場観】現在の相場見通し(24/7/7)

【大局判断】
●株・景気・金利・為替サイクル
株価サイクル 上昇相場(1年9ヶ月経過:安値22/10)
景気サイクル 好景気(4年3ヶ月経過:不況終了20/4)
金利サイクル 横ばい(12ヶ月経過/FF5.25%~5.50%)
為替サイクル 円安ドル高(6/26介入後の新値更新、160.3円)

●景気サイクル 拡大期
米国GDP +1.3%
新規失業保険申請件数 238k
米国雇用統計 非農業部門雇用者数206k失業率4.1% 前月比平均時給+10¢(+0.3%)
米国ISM製造業指数 48.5
米国ISM非製造業指数 48.8
米国小売売上高 +0.3%
米国個人消費支出(PCE/CorePCE)2.6%/2.6%
米国消費者物価指数(CPI/Core CPI) 3.3%/3.4%
米国生産者物価指数(PPI/Core PPI) 2.2%/2.3%
米国消費者信頼感指数 100.4
ミシガン大学消費者信頼感指数 68.2
米国住宅着工件数/建設許可件数 1277k/1386k

総評:景気の強さを示すトレンドに変化なし、失業率4.1%は依然として歴史的低水準

●株価サイクル 業績相場
S&P500 上昇局面
NASDAQ 上昇局面
S&P500はPER21.0倍(5年平均19.2、10年17.8)
やや高い水準だが政策金利が横ばいであること、これから高いEPS成長が見込まれることから極端な割高とは言えない。仮にAIバブルとなるならば、ITバブル期と同様に激しいPER拡大が起こるかも知れず、PER水準を理由に弱気になってはいけないと考える。景気・企業業績・生産性が拡大しているかどうかがより重要だと考える。

<メインシナリオ>
ソフトランディング→経済再拡大

⚫︎金利サイクル的に次に来るのは景気の腰折れ。しかし、経済指標は強いまま。消費も強い。AIによる生産性向上が通常の景気サイクルの力学を超えて米経済を再拡大へと向かわせている可能性がある。

⚫︎AIによる仕事の代替によって高所得のホワイトカラーを中心にレイオフが相次いでいる。特に高給取りのITエンジニアの求人が急減している。これらがインフレ鎮静化に寄与している可能性アリ。各社の決算コールでも言及されているが、AIの活用が企業間で広がりを見せ始めており、生産性の大幅な向上が起き始めている。状況はソフトランディングが実現した1995年に酷似。本来は実現可能性が極めて低い経済軟着陸がほぼ実現しようとしている。6月FOMCでは24年のGDP成長は+2.1%、25年、26年も+2.0%と示された。FRBはソフトランディングを予想している。

⚫︎AIブームを牽引しているのはGAFAMの設備投資である。GAFAMがAIによって業績を伸ばし、株価が堅調であるならば投資家は高水準の設備投資を許容し続けるはず。GAFAMのAIビジネス(AI課金・クラウド部門)が堅調であるか、株価が堅調であるかがブーム継続の大きなカギである。

⚫︎インフレは3%近辺で下げの勢いが止まった感があるが、米国以外が不況でデフレ傾向であることを考えればインフレがスパイクする可能性は低い。食料品のインフレは既に落ち着いている。原油価格は落ち着きを見せていること、コモディティ価格が下落していることはインフレ抑制にはプラスである。しかし、賃金インフレは根強い。インフレ率がしっかりと2%まで下がってこない限りは、しばらくインフレ抑制のために高金利が続く可能性は高い。市場は複数回の利下げを織り込んでいるが、これはリスクである。各FOMCで利下げ期待が裏切られることが懸念される。

⚫︎6月FOMCでは利下げは年内3回→1回になった。強い経済指標・2%を超えるCPIが続くならば、年内はほとんど利下げが行われない可能性がある。複数回の利下げの可能性はほぼゼロ。

⚫︎FACTSETによるとSP500のEPSはこれから高い成長を見込む。24年は+11.3%、25年は+14.4%成長を見込む。金利の方向性は横ばいであり、企業業績が伸びるなら株の方向性は上と考えるのが自然。

⚫︎上昇相場は3-15年続く(平均8.9年、平均+468%上昇)が今は1年9ヶ月。未だ若い。

⚫︎不況は大抵10年に1回やってくるが、今は4年3ヶ月。好景気も若い。

⚫︎2020年3月、2022年10月と立て続けに株は暴落していること、経験則的には-20%を超える大幅調整は10年に1回程度しかこないことを考慮すれば、今すぐ暴落がやってくるオッズは低い。

⚫︎ソフトランディングが実現した1995-2000年、SP500は+220%上昇。為替は+70%円安に振れた。

<点検ポイント>
AIによる生産性向上(AI導入による余剰人員のリストラ・AIによる企業業績UP等)、GAFAMの株価・設備投資、個人消費、CPI推移、原油価格、長期金利

<結論>
強気

【一年の見通し】
大統領選サイクル 4年目(2番目/4に強い年)
1月相場成績 プラス
金利動向 やや下落かほとんど横ばいが続く
業績動向 拡大へ
注目イベント 11月大統領選挙

<見通し>
景気は底堅く、金利は利下げフェーズ、業績は強い。ゆえに一年を通じて相場は高いと予想。1-3月が高かった。これは現職の大統領が勝つ典型的な値動き。この場合、4-5月がスピード調整になる場合が多い。8月まではサマーラリーが期待できるが、すでにかなり上昇したため、上値はあまり期待できない。選挙直前の9-10月は調整する確率が高いが、大統領選投開票日1-2週間前からは年末にかけて高いと予想。

【7月の見通し】
アノマリー 強い
注目イベント FOMC(7/31) 決算シーズン
投資スタンス キャッシュポジション高め

【来週(7/8-7/13)の見通し】
注目イベント  決算シーズン
意見 キャッシュポジション高め

【現在の投資態度】弱気
米経済はソフトランディングを達成することがメインシナリオ。業績拡大が見込めるAI関連株が良いと考える。

一方でハイパーグロース株の多くは直近の決算を見るに売上高成長率の下落が止まらず、今や+30%台ギリギリである。高金利環境で企業のIT支出に圧力がかかっていることが多くのハイテク企業の決算コールで言及されている。

AI関連株はNVDAが来期+100%、TSMが+28%、AVGOが+41%、成長する見通しである。

30%台ギリギリまで売上高成長率が鈍化してしまった小型グロース株とAI関連株は成長率はもはや同等である。むしろ高いPERである小型グロース株の方が金利上昇に脆い分不利である。

ゆえに小型グロース株は成長率の鈍化がどこで止まるかを観察するため、投資における優先順位を下げたい。少なくとも利下げが意識される年末までは厳しいと予想する。今は小型グロース株でテンバガーを狙う時期ではない。

主要ハイテク株に天井の兆候(ベアリッシュ・リバーサル)が出現したこと、移動平均線からかなり上に乖離した状況であること、X(旧Twitter)、Yahoo掲示板、Youtube等のネット上では株価の下げは買い場であるという楽観的な投稿で溢れ、投資家に何の警戒心もないことから、今は短期的な天井だと考える。ゆえに積立投資枠以外のトレーディング資金はすべてキャッシュとした。10月末まで相場は苦しいと予想する。

市場は複数回の利下げを織り込んでいるが、これはリスクである。株価が史上最高値を更新している中、高インフレも鎮静化の兆しが見えないままに利下げを行うことは考えにくい。今後のFOMCで市場の利下げ期待が裏切られる可能性があることは懸念材料である。

<注目セクター>
AI関連株

<現在のPF>株0%/現金100%〔現金は全て米ドル/積立投資分は100%株式のまま〕
[コア]
なし
[サテライト]
なし

〈ウォッチリスト〉
GOOG
AAPL
NVDA
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TSM
MRVL
MU
NTAP
ALAB
AI
MNDY
CRWD
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NET
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