10話 これから

心とからだが離れた場所にあるような、
そんな気持ちがずっとあった。

だからルルカールは旅に出ることにした。

「心がどこにあるかを探すために」

この頃のルルカールはそんな言葉が建前であることに本当は気づいていたのかもしれない。

ルルカールは心が本当はどこにあるかを知っていて、それでいてそれと共存することに耐えられなくなった。

クマたちは大概ぶつかった問題に直面することを美しいとする。

それは確かに美しいけれど、美しいものは同時に儚い。

儚く散る花は美しいけれど、花は散ることで一度死を迎えるのだ。

ルルカールは、
一際高い丘の上から薄紅の綺麗な花びらを街に降らせる桜じゃなく村の外れに小さく咲いた名も知らぬ花のような、
そんな生き方を選んだのだった。

#ルルカール #花 #旅 #クマ #心とからだ #生きることを選ぶ


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