勝手に越境していくのは私じゃないから

最近、越境ECとかいって海外相手にネットショップで販売するのがトレンドというか注目されているらしいのだけれども。

これを実はあっさりとやったことがあるのです。
それもそうしようとして営業をかけたとかではなく、もう勝手に自然発生的に気づいたらそうなっていたという感じで。

わたしは義務教育課程にあった英語さえ話す気が全くない。
交流?いやー、別にいいです。
旅行?飛行機の気圧変化が嫌いだから苦手です。
そんな感じなのに、私の考え出したものは、ひょいひょいと国境も、言葉の壁も通り越していってしまう。

一回目は結構うまくいったな、と思ったんだけど、二回もそれが続くと、もうそういう星の下に生まれているか、生まれついての天才かのどちらかだと思っている。

一回目のビジネスは、超ド田舎で手作業で作るようなものを粘りに粘ってバズらせて(結果としてだけど)、まあ実家の借金を返すためにビジネスを叩き上げたわけです。
でももともと借金のある家だから、骨肉の争いになるのは時間の問題だった。こっちは命がけでビジネス叩き上げたのに、「なにもしていない、働いていない」と一方的に首にされたという感じ。向こうは向こうで金を持ち逃げしたぐらいに思っているかもしれない。
まあ、その後、私が作ったベースがあったので、根強いファンもいて、情報もネットの中を漂い、とにかく金が欲しい実家は商品を作り続けるしかなくて(利益率とかはあんまり考えてないだろうけど)やっているうちに、情報はアメリカのYouTuberに届いて今度は英語圏でどーんと情報が拡散されたらしい。
その前に台湾で一度取り上げられたから、中国語になった情報はウェイボーとかでも確認できた。

そんなわけで、あっという間に越境してしまったらしい。
最近も超メジャーな某ビジネス系ウェブマガジンに取材されていたよ。わたしの存在はばっさりカットされていたけど。

それは造形に特徴があるものだったのでとてもわかりやすかったけど、今度作っているものはまったく違うものだ。
いろいろと説明が必要なものだけど、見た目に特徴があって、なんだかわからないけど「効きそう」な感じがする。
もちろん商品としての説明はたくさん必要なんだけど、全体的に「あー、女のひとこういうの好きだよね」っていう気配のあるもの。

でも、まあなかなかね。簡単に言葉の壁を超える事はできないし、まだ国内での販売だって、素人スタートとしては破格の躍進だけれど、極めてマイナーな存在で、これからメジャーになっていかなくちゃっていう段階。
だから海外とかは後回しというか、機会があったらねくらいのはなしだった。

のだが、あっさり機会のほうがきよった・・・。

それは単なる可能性としか言いようのないものだけど、ここは種をまくべきだ!と何かが囁いていた。
ヘタでもいい、とにかく作って、タネをまくのだ。
それが育つかどうか確かめるためだけでもいい。結果として大きく育っていくかもしれないが、それはそれだ。あとのはなしだ。

可能性があるなら賭けるべき、という判断はしない。
そんな事言ったら、賭けてばかりになってしまう。この世は可能性しか存在しないのだから。
だた、いくつも可能性を見逃してきた者だけにわかるものがある。
それは「これがチャンス」というあまりにも小さな小さなひずみだ。
これはいくつもいくつも可能性をつぶしてきた人間にしかわからない、痛みと喪失の結果得られる感覚だ。
それが囁く。種をまけと。

越境していくのは、わたしではない。
商品だ。
だから、なんでもやれる。自分を出す必要はない。
それは望まれているんだ。
それは私ではなく、その商品が。

なら、一歩を進めるしか選択肢はない。
数時間の作業で、その種が作れるのなら、いまこそそれを作らなくてはいけない。そしてそういう時でなければ、作ろうとはしない。人間は怠惰だからこそ、一瞬のひらめきを捕まえなくてはいけない。

だからどうなるってもんでもないんだけど、なぜか時にそうやって捕まえておかなくちゃいけない瞬間がある。

わたしは別に越境していこうとか、海外に展開するために計画を、とかは考えていない。でもなるときはなるし、それはそうならざるを得ない。
わたしのビジネスは、透明なチェスだと思っている。
これは永遠に続く。その局面、局面にチェックメイト的な瞬間はあるのだけれど、ゲーム自体は永遠に続いていく、どこまでも膨張していく宇宙のように盤面が広がり続けているチェスだ。
その中で、たぶんこういう小さな声が聞こえてその通り動いた瞬間だけ、チェックメイトになるのだろう。
それは外から見たら全くどうにも受け取れない、ささやかな何かでしかない。
なにかに受賞するとか、世界に影響を与えた100人に選ばれるとか、バカみたいな売上で億万長者になるというのは、その盤面が単純に広がっている最中でしかない。本当のチェックメイトは、そんなところにない。

大きな賞を受賞した作品を作っていた地味な日々こそが本当のチェックメイトだったりする。そこには輝かしい他人からの称賛とかは存在しない。

盤面は、いまも広がり続けている。
どっちのほうに広がるか、どのくらいの速さで広がっているのかは透明だから見えなくてわからない。
それでも、ここで小さなチェックメイトをさせれば、それがどっちに広がるのかがほんの少しわかる。

行け。

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